【増え続けるキャリア迷子】「自分らしい働き方」が分からないときに自分に問い掛けるべき7つの質問
長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『育キャリカレッジ』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります
こんにちは! 育キャリカレッジの公式メンター、梶本由美です。メンタリングやコーチングをベースに、「大人が元気になる」活動をしています。具体的には、育キャリカレッジでのメンターとしての活動に加え、ストレングスファインダー®(アメリカの調査会社ギャラップ社開発の強みを知るツール)を活用したセッションや企業研修、勉強会、セミナーを通して、働く人と企業との幸せな関係づくりをしています。
前回は「思い通りにならない現実」をどうやってポジティブに転換し、行動を変えるかについてお話しました。
今回は、メンタリングでテーマになることが多い「自分らしい働き方」について、お話したいと思います。
というのも、職場で真面目に仕事をして実績を積み、リーダー的な役割を担っている方々の中にも、「自分の強みが分からない」「強みを仕事に生かせていない」「仕事はこなしているけど、やりがいを感じられない」「このまま働き続けていく自信がない」など、キャリアの迷子になっている方は多くいます。

私自身の会社員生活を振り返っても、「これでいいのか?」とアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような迷走を何度も経験してきました。企業の終身雇用や年功序列制が崩壊し、働き方が多様化している現在は、これまで以上に先の見通しが立てづらく社会・経済の変化も早いので、不安を抱くのは当然です。しかし、それは裏を返せば、「多様な人材が活躍できる環境が広がっている」ということ。つまり、主体的にキャリアプランを組み替える選択の幅を手に入れたとも言えます。見方を変えてみるだけで、前向きに自分の未来を考えられるようになりますね。
キャリア迷子になったときに自分に問い掛けたい7つの質問
では、ここで7つの項目を質問します。
時間・場所・資金などの条件をちょっと脇に置いて想像してみてください。
もし、あなたが「ジョブチャレンジ」や「転身制度」を利用して新しい仕事を始めるとしたら、何をするのか考えてみましょう(今の仕事が大好き、という方は、ぜひ、その先の未来を想像してください)。
1) やりたいことは何でしょう?
2)一人で始めたいですか? それとも仲間を集めますか?
3)子どもの頃(学生の頃)憧れていた仕事は何でしたか?
4)それはなぜですか? いいな、と思ったのはどんなところですか?
5)時間を忘れて取り組んでいることはありますか?(趣味でも、遊びでも)
6)それはお金になってもならなくても、やりたいですか?
7)あなたの友人が親しい人達にあなたを会わせる場面で、どんな人だと紹介してもらいたいですか?
現実的にできる・できないは一度忘れて、自由に考えてみてください。
これらは「自分のやりたいことが分からない」という方との対話で、私が問いかける質問の一部です。もちろん、自分自身にも問い掛けてきたことなのですが、実は、これらの質問とじっくり向き合うと、身近な日常の中にあなたらしさや本当にやりたいことを発見できるのです。
「自分らしい働き方」は、自分の好きや得意を追求することで見えてくる

私は現在セカンドキャリアを歩んでいるところですが、順風満帆な会社員生活を送っていたわけではありません。「自分らしい働き方を模索して早期退職」と言えば聞こえがいいのですが、それは皮肉にも仕事と家庭のバランスを取りたくて希望した職場異動がきっかけでした。
約2年間の時短勤務からフルタイムに復帰するタイミングで、残業の少ない専門職の部署へ。長期在籍者が多い職人気質の職場は、上位機関から着任した初心者(私)への風当たりはきつかったものの、通常勤務で働ける喜びを全身で感じていました。
ところが、一人暮らしの実母の様子が不穏になり、育児と通い介護のダブルケアがのし掛かってきました。その頃は、会社、スーパー、保育園、実家、自宅を行き来する毎日で、睡眠不足と疲労が重なり、仕事で凡ミスをするように。その職場には介護の理解者がおらず、相談できる場所もなく、さらにそんな凡ミスをする自分をダメだと責めて、どんどん追い詰められていきました。近くに介護を経験した先輩や、必要な情報を教えてくれる人・メンターがいたら、孤軍奮闘しなくて済んだと思います。そんな辛い思いを抱えて仕事を続ける人にはサポートが必要です!
社外にコーチングの先輩や仲間がいたのが救いで、今いる場所で自分ができること、やりたいことにフォーカスすることに立ち還らせてくれました。その結果、「自分の職場の強みが全社に知られていないのはもったいない」と考えるようになり、強みに着目して資料を作成し全社に共有し、職場が活気づきました。
「余計な事よね」。真正面からきつい言葉を投げられたこともありました。確かに、正確な業務処理が最優先です。でも、苦手をなくすため、ミスしないようにだけ時間を使っていたら、ますます精神的に弱っていたと思います。
ここでお伝えしたいのは、普段から「いいこと」や「強み」を見つけるのが私の好きなことで、昼休みに夢中でコツコツ資料を作成していたのが、「自分らしい」仕事をすることになり、さらに成果に結びついていったということです。自分らしい働き方は、どこでもバランスよく平均点をとることではなく、自分の好きや得意を追求する、一見アンバランスなことから始まることもあります。
迷ったり、立ち止まったりしてもいい。キャリアは直線ではない
ここで私の体験談から改めてお伝えすると、仕事と家庭のバランスとは、天秤の左右が均等なことではないということです。仕事を1時間延長したから、家事や育児を1時間長くやれば、バランスがとれるというものではないからです。特にライフイベントに影響を受ける女性の場合は、自分にとっての優先順位は状況に応じて変わるので、仕事7:家庭3がバランスする時期があり、仕事4:家庭6の時期もあり。それを罪悪感など持たず、家族がいればコミュニケーションを取りながら、自分にとってのベストバランスを見つけることが大切だと思います。
自分らしい働き方とは、やはり自分を知ることがベースになります。今回は、私が仕事と家庭のバランスを「時間」を最優先して苦い経験をし、それをきっかけにキャリアチェンジしたことを事例としてお話しました。ほかにも多様な働き方があるはずです。
「しまった」「失敗したかな」と思うことがあったら、その方法があなたに「合わなかった」のかもしれません。自分にとって最高最善の働き方は、自分で歩いて見つけるしかないです。迷ったら、立ち止まって、リ・ルート機能を作動させましょう。だって、道は直線だけではないから。

【この記事を書いたメンター】
梶本由美さん
「育キャリカレッジ」の公式メンター、ウィメンズキャリアメンター養成講座認定講師。米Gallup社認定ストレングスコーチ、ICF国際コーチ連盟アソシエイトコーチ、福岡市男女共同参画推進サポーター。会社員時代に部門異動や、育児と介護のダブルケアラーを経験し、自分の働き方を変えてきた。現在はパーソナルファウンデーション(自己基盤)とストレングス(強み)を大切に扱うコーチングを軸に、セカンドキャリアを歩んでいる。本人の強みトップ5は、最上志向、着想、親密性、共
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