05 JUN/2019

部下に見下されている?「自分のマネジメントに自信がない」女性管理職が見直すべきこと

持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『育キャリカレッジ』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

こんにちは! 働く女性にキャリアを育むメンターをマッチングする、育キャリカレッジの公式メンター、梶本由美です。私はメンタリングやコーチングをベースに、「大人が元気になる」活動をしています。具体的には、育キャリカレッジでの公式メンターとしての活動に加え、ストレングスファインダー®(アメリカの調査会社ギャラップ社開発の強みを知るツール)を活用したセッションや企業研修、勉強会、セミナーを通して、働く人と企業との幸せな関係づくりをしています。

前回は「自分らしい働き方」についてお話しました。最終回は、働く女性が多く感じている「キャリアを積み上げていく自信がない」について、考えてみたいと思います。

自分のマネジメントに自信が持てない
管理職女性の悩み

マネジメント 悩み

育キャリカレッジのメンターとして企業で働く女性リーダーとお話する機会があります。しかし、彼女たちは、周りから認められてリーダーになったにも関わらず、心の中で「管理職としてやっていく自信がない」という悩みを抱えています。

その背景には、まだまだ男性中心で組織が回っているという現状があります。パワフルでなければならない、だけど男性のように働きたいわけではない……と、葛藤を抱えているのです。「旧来の男性スタイル」で働くのではなく、リーダーになっても自分らしく、しなやかに仕事をしてプライベートも楽しみたいという女性は増えています。

とはいえ、男性が長時間働き、女性は育児と家事を担う……。このようなスタイルはまだまだ健在。これに加えて「リーダーとして責任ある仕事をしよう」というのは、一層女性にとっての負担が増したように思います。

そんな外からの圧力もあり、多くの若い女性の中に「キャリアを積み上げる自信がない」という感覚が生まれているのかもしれません。

私が関わってきたある「自信が無い」メンティの方が、自信を得て行った事例をお話したいと思います。

地方の老舗企業で働く中間管理職、A子さん。数年前に女性初の管理職として昇進し、現在はマーケティングのチームを率いています。

当初「私のリーダーシップが弱いので、チームがまとまり切れないのではないか」という不安を持っていました。彼女の前任の男性リーダーは、声が大きく、部下をグイグイ引っ張っていく、指示命令型のリーダーで、A子さんとは全く違うスタイルでチームをまとめていたからです。

さらに、マネジメント方法の違いからから、A子さんがそのチームのリーダーになってからは、部下が自分を見下すようになったと感じているとのこと。「もっと他の男性のように、強く命令したり、夜も部下と飲みにいったりした方がいいのでしょうか?」と相談してきたのです。

彼女は、男性と同じようにできない私=弱い、思い込み、自己評価が低く自信を失いかけていました。「キャリアを諦めて、降格して、リーダーを辞めた方がいいのでは」とまで思い詰め、すっかり自信を失っていたのです。

しかし、私は、感情的になって「もう無理」と思うのではなく、「360度評価や周囲からのコメント」という「事実」を冷静になって集めていくようアドバイスをし、メンタリングのセッションで話をすることにしました。すると、彼女は、周囲の同僚や上司からの評価は抜群に高いことが分かりました。

さらに、話を聞くにつれ、部下たちは、どうやら、前任者とA子さんのリーダースタイルの違いに戸惑っているだけ、ということが見えてきました。部下のちょっとした発言に「見下されている」と捉えていたのは、A子さんの自信のなさゆえでした。

そこで私は、A子さんに「メンバーの話をよく聞くこと」を勧めてみました。

「自分らしいスタイルでチームで率いる」ことを目標にしたA子さんは、まずは部下と心を通わせてみようと、対話の機会を増やしていきました。

・あなたの個性は?
・今の仕事をどう思っている?どうしたい?
・困っていることはない?
・チャレンジしてみたいことはある?
・ライフプランは?キャリアプランは?

などの質問を、面談の時間だけではなく、出張中や、ランチタイムにも心掛けたそうです。

すると、次第に部下が心を開いてくれるようになり、メンバーたちはA子さんを「話を聞いてくれる、柔らかいスタイルのチーダー」だと認めて、距離が縮まってきました。

自分ではない「他の誰か」になる必要はない

A子さんは自分に課していた「男性のように強く、完璧であらねば」という枠から出て、部下に協力を依頼できるようになり、チーム全体の雰囲気が明るくなっていきました。A子さんは「自分らしいリーダースタイル」に自信を持つことができました。

A子さんはセッションで、こう言いました。「他の男性の真似をするのではなく、自分らしい方法でよかったんですね!」と。弾けた笑顔で、自信を取り戻した瞬間です。それからのA子さんは、次のステージに向かって、チームでどんどん挑戦をしていくようになりました。

この事例から言えることは、「自信をつける」ためには、「自分のトラックを走れ」ということです。

うまくいっている人と比較して落ち込むことは誰でもあります。その人と同じやり方をしても、同じ結果が出るとは限りません。むしろ、いつまでもテープを切れない果てしないレースを走っているようなものです。もし、そんなレースに参加している自分に気づいたら、コースを外れて自分のトラックに戻りませんか

自分のトラックの中で、自分に「これでいいんだ」「私はOK!」と言えるとき、自分の中心に軸が通る感覚があります。それは自分への信頼、ゆるぎない自信につながっていきます。

自分に「自信がない」と感じる時は、他の誰かの価値観に合わせていないか、自分ではない他の誰かになろうとしていないか、考えてみてください。

育キャリカレッジには、あなたのちょっと先行く先輩がたくさんいます。社外のプロフェッショナルなメンターだからこそ、本音が言える、弱音がはける。あなたの想いを心開いて話してみませんか? また、後輩や部下指導に活用できるメンタースキルを学びたい方には、対面講座やオンラインでの講座もありますので、ぜひチェックしてみてください。

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【この記事を書いたメンター】

梶本由美さん
「育キャリカレッジ」の公式メンター、ウィメンズキャリアメンター養成講座認定講師。米Gallup社認定ストレングスコーチ、ICF国際コーチ連盟アソシエイトコーチ、福岡市男女共同参画推進サポーター。会社員時代に部門異動や、育児と介護のダブルケアラーを経験し、自分の働き方を変えてきた。現在はパーソナルファウンデーション(自己基盤)とストレングス(強み)を大切に扱うコーチングを軸に、セカンドキャリアを歩んでいる。本人の強みトップ5は、最上志向、着想、親密性、共
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