20 JUN/2019

幸せ度数は100倍に!「太ってる」って認めたら人から愛されるようになった【肥満落下系堕天使アイドルびっくえんじぇる】

「太ってる自分だってステキ」「背中のお肉がかわいい」と、“おデブな自分”を愛する『肥満落下系堕天使アイドル びっくえんじぇる』の3人。太っていることやぽっちゃり体型を気にする日本人女性は多いが、彼女たちはどうしてこんなにも明るく、自分たちのおデブ体型を愛せるのだろうか。後編では、ボディ・ポジティブでいられる理由を聞いてみた。

>>【前編記事】はコチラから

びっくえんじぇる

肥満落下系堕天使アイドル びっくえんじぇる えりぴよ(写真左)、いのりん(写真中央)、みっちゃん(写真右)

私たちお空から落っこちた肥満落下系堕天使アイドル'びっくえんじぇる'(びくえん)です!総重量3人で291kg!人間界に落っこちてからもぷくぷく成長中!天界にもどるために、歌って!踊って!痩せて! ファンの呼び名はヘルシー!
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自分の体を愛せるようになったら、人からも愛されるようになった

−−「ボディ・ポジティブ」という言葉が生まれて、自分のありのままの外見を受け入れようという動きが世界的に起きています。「太っている自分」を受け入れてから、皆さんの人生はどう変わりましたか?

みっちゃん:体型に悩んでいた時は、頭の中が「痩せなきゃ」で占められていて、とにかく食事のことばかり気にしていました。食べるのが嫌で、友達とご飯に行くことすらできなかった。でも、太ってる自分を受け入れちゃえば、そういうことを考える必要がないんですよ。

えりぴよ友達は確実に増えましたね

いのりん:自分の体型を自分で認められていなかった頃は「太ってる」って公言できなくて。だから周りも気を使うし、誰にも受け入れられてなかったなと思います。そこからスポーンと抜けて「私デブだけど気にしない」って思えるようになってからは、もう、まるっきり人生が変わりましたね。お腹空いて我慢できなくなってマクドナルドのハンバーガーを食べながら道を歩いちゃってる私、かわいいな~って

みっちゃん:いやいや、「だからデブなんだな」って思われるんだよ(笑)?

いのりん:ふふ。私が幸せだからいいの!

びっくえんじぇるいのりん

フライドポテトとコーラが大好き♪(いのりん)

いのりん:あとは洋服も変わりました。前は「太ってるのにあんな可愛い系の服着てる」って思われるのが怖かったんですよ。でも今は「それが何か?」って思うし、むしろ「見て! 太ってるのにこんな可愛い服着てるんだよ!背中のお肉が乗ってるんだよ」みたいな感じ(笑)。 最近は自分の贅肉さえかわいく思えてきました。

みっちゃん:たしかに私も洋服は変わったな。自分の体型を認められていない時は、ひたすら太っているのを隠すための服を選んでたけど、今は好きなものを着ておしゃれを楽しむようになった。

えりぴよ:私は3歳から太ってたので、学校のプールや健康診断、野外学習でのお風呂の時間は絶対体型を隠してたんですよ。健康診断結果の体重も人に見られないようにしてたし、デブって思われないための細々した努力をしてました。

でも「太ってる自分でいいじゃん」って受け入れられるようになってからは、堂々と体重をさらけだせるし、「マヨネーズかけたい」みたいなことも平気で言えるようになりました(笑)。自分が楽しんでるからこそ「愛されキャラ」みたいになりつつあって。自分が体型をポジティブに受け入れられていると、周りもポジティブに受け入れてくれるんですよ。

びっくえんじぇるえりぴよ

いのりん:下剤を飲んで一切飲み食いしないっていう危険なダイエットをしたこともあったけど、自分のありのままを受け入れられないって悲しいことだったなぁと今振り返って思います。自分の体を愛せるようになったら、人からも愛されるようになった気がするんですよ。すっごく生きやすくなったし、幸せ度数は100倍ぐらいになりました。

デブのままでいいなんて思ってないけど、今の自分を否定する必要もない

−−たとえ標準体型であっても、自分の体型に否定的な若い女性はたくさんいると思います。どうすれば自分の体型を好きになれるんでしょう?

みっちゃん:まず、「私たちを見て!」ですね。だって、「痩せたいな」って思って悩んでいるたいていの女性たちより私たちの方が絶対にデブですもん(笑)。それでも私たちはこんなに笑顔でいられるんだから、考え方次第だし、皆さんも絶対に大丈夫です!

えりぴよ:私たちがケーキにかぶりつく動画だって、いっぱい可愛いって言ってもらってるしね(笑)

いのりん:私たちも過去に見た目のコンプレックスでつらかった時期があるけど、今は誰よりも幸せな自信があるんです。私たちがこんなに幸せなので、皆もっと幸せになれるはず。「悩まないで!」って言ってもやっぱり悩んじゃうと思うけど、生きてればいいことはたくさんあるんだよっていうのはすごく伝えたいです。

みっちゃん:痩せたい人は一緒にダイエットしましょうよ! YouTubeにダイエット動画もアップしてるので、楽しみながら理想に近づけるための努力を一緒にできたらうれしいですね。私だって体型を受け入れてはいるけど、やっぱりお腹とか気になるんですよ。誰だって自分の体型で気になる部位って絶対あるじゃないですか。

−−皆さんも「痩せたい」って気持ちはあるんですもんね。

びっくえんじぇるみっちゃん

みっちゃんデブのままでいいなんて思ってないですよ!私たちだってできることなら痩せたいし、「デブ売りをするためにデブでい続けなきゃ!」みたいなことも全く思ってないです。ただただ今現在太っていて、どうにも痩せられないだけ(笑)

だからといって今の自分を否定してるわけではなくて、痩せたいと思った時は無理せずに頑張って、楽しんでやっていけたらいいなって。そんな思いもあって「痩せたら天界に帰れる」ってコンセプトを前面に出しているんです。

えりぴよデブを推奨してるわけじゃないけど、デブの自分も受け入れちゃえばもっと人生が楽しくなるよっていうのが私たちのメッセージ。「どんな自分でも受け入れて大丈夫だよ」っていうのを伝えたいんです。元気に楽しく生きられれば、どんな体型だっていい。

いのりん:逆に痩せてることがコンプレックスな人だっていますしね。痩せてたって、太ってたって、どっちでもいいし、ありのままでいいんですよ!

ありのままのびっくえんじぇるは、ランチの大盛りも食べ切れない

−−「太ってるのがいい」とか「ダイエットしなくていい」ではなくて、「どんな時だってありのままの自分がステキだよね」っていうのが皆さんのメッセージなんですね。

みっちゃん:その通りです。だから最近は、YouTubeで大食い企画をやるのもやめたんですよ。大食い動画は反響がいいから、最初の頃はびっくえんじぇるを知ってもらうためにやっていたけど、実は私たち、あまり食べれなくて(笑)。「ランチの大盛り、食べ切れるかな……?」くらいの食事量なんです。

いのりん:「デブなのにそれしか食べられないの?」って言われることもあるんですけど、「デブ=食べる」って偏見ですよね。そういうのをなくしていきたいっていうのも活動の趣旨の一つ。だからこそ、無理に大食いするんじゃなくて、ありのままを知ってもらいたいなと思っています。

えりぴよそれでも太っているのは、高カロリーなものをちょっとずつ毎日食べているからなんだよね(笑)

びっくえんじぇるえりぴよ

「私とみっちゃんはご飯にラードやマヨネーズをかけて食べる油系のデブで、いのりんはお菓子系のデブです」(えりぴよ)

みっちゃん:デブだから不規則な生活をしてるって思われることも多いですけど、そんなことはないし、私たちは私たちなりに健康を気にしてるんですよ(笑)。今日はストレス溜まったからハンバーガー食べようって日もあれば、時には体に気を使ってサラダランチを食べることだってありますし。運動もしますしね。

−−今現在たまたま太っているだけで、基本的には一般女性と同じような感覚ですね(笑)。では最後に、びっくえんじぇるの今後の目標を聞かせてください!

みっちゃん:最終的にはワールドツアーをやりたいんですけど、まず目指しているのは、武道館で無料ワンマンライブをすること。ファンの方への感謝祭として、いつか開催できたらなって思っています。そうやって私たちの活動が大きくなっていくことで、いろんな方々に希望を届けられるんじゃないかな。

びっくえんじぇるみっちゃん

いのりん:これまでに、「ライブで歌って踊るアイドル」をデブは誰も成し得ていないと思うんです。普通に考えたら、デブに歌とダンスを求めないじゃないですか。だからこそ「デブなのにアイドル」を築き上げていけたら絶対に面白いだろうなって。細くてかわいいアイドルがいくらでもいる中で、今の私たちは唯一無二。太ってるアイドルっていうのは私たちの最大の武器だと思ってます。

えりぴよ:まずは「なんか面白いな」って興味を持ってもらって、そこから私たちが活動する理由とか、芯の部分を知ってもらえれば、共感してもらえたり真面目に受け取ってくれたりする人はたくさんいると思うんです。昔の私みたいに自分を受け入れられない人が、自分のことをポジティブに受け入れられるような世の中になればいい。そんな気持ちで今後も活動していきたいですね。

いのりん:皆さんには、私たちを利用してほしいんですよ。「この子たちデブだけどこんなに楽しそう」って面白がってくれてもいいし、「こういうデブにはなりたくない」って思うことでプラスの方向に頑張れるんだったら、蔑んでくれてもいい。いっぱい食べてる私たちを見て「お腹いっぱいになった気がして無駄に食べなくて済んだ」ってコメントをくださる方もいるし、私たちをうまく使って、人生を楽しく生きてほしいなと思います。皆を元気にできたら、私たちもとっても嬉しいから!

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びっくえんじぇる LIVE情報

びっくえんじぇるワンマンLIVE~大阪に落っこちた!?真夏の激痩せの陣~
日時:8/3(土)OPEN 15:30 / START 17:00
会場:ROCKTOWN
料金:3500円+ドリンク代(当日)
LIVEの前後に物販&特典会あり
>>チケット購入はコチラから

取材・文/天野夏海 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) 企画・編集/栗原千明(編集部)


分岐点

生き方に「正解」はない時代。ライフデザインは自由だけど、人と違う道を行くのは、やっぱりこわい。だから、この特集で届けたい。自分らしい人生を謳歌する女性たちの声を。誰かと一緒じゃなくていい。あなたが選んだ道が、一番正しくて、一番素晴らしい――。