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JUL/2019

「よく働き、よく遊び、よく学ぶ」ドイツ人女性は人生100年時代のロールモデル【日独ワークライフ通信】

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ドイツ人女性に学ぶ「豊かさ」のヒント
池原真佐子の日独ワークライフ通信

仕事と子育てを両立しながら日本とドイツの二拠点で生活を送る著者が、ドイツ人女性の働き方や生き方を見て感じたこと、学んだことをお届けしていきます。豊かな人生をつくるワークライフのヒントが見つかるかも!

池原真佐子

Woman type読者の皆さん、こんにちは。株式会社MANABICIA代表の池原真佐子です。私は現在、ドイツと東京を行き来しながら、仕事と育児の両立をしています。

連載2回目となる今回は、ドイツと日本の「女性の、働き方と学び方」の違いについて考えてみたいと思います。

ドイツの保育園でのお迎え
夕方5時ごろ行くと、子どもはほとんどいない

息子は現在、ミュンヘンの現地園に通わせています。日本にいた頃は朝9時から午後6時まで保育園に預けていましたが、現在は朝9時から午後5時までの、今までより短い預かり時間です。しかし、5時にお迎えに行くと、ほとんどの子どもたちはもう帰った後……。たまに4時にお迎えに行くと、その時間が引き取りのピークです。

驚くべきことは、夕方4時という時間にも関わらず、お迎えには、ママはもちろん、パパも沢山いること。中には、園の子ども達と一緒に園庭で遊んでいるパパママまで……。

ドイツ人は、なぜこんなに仕事から早く帰れるのでしょうか。

就業者1人当たりの1年間の労働時間を、日本とドイツで比較すると、ドイツ人が働く時間は、日本人より20%(時間にすると年352時間、1日8時間だとすると44日)も少ないとのこと。日本人はさらにここから、サービス残業や休日出勤も行なっているのです……。

では、生産性でいうとどうでしょうか。日本の生産性の低さはあちこちで言われていますが、ドイツと比較すると、ドイツは日本よりも働く時間がこれほど少ないにも関わらず、1.5倍も生産性が高いと言われています。例えばOECDのデータ(2013年)で比較すると、日本の1時間あたりの労働生産性は40.9ドル。一方ドイツでは61.4ドルです。

労働時間が短いのは、会社が個々にワークライフバランスを促しているというよりも、法律で厳格に定めされているからこそ実現していることです。短いからこそ、無駄なことはしない。決められた時間の中でいかに効率よく働くかを考える……その結果なのかもしれません。

余暇の時間は自己研鑽
大人になっても「学び」を続けるドイツ人女性

では、そこでできた余暇をどのように過ごしているのでしょうか。

私が出会ったとあるドイツ人のワーキングマザーは、2歳の子どもをシングルで育てながら、仕事をしながらもPhD(博士号)課程に所属しています。

ドイツでは、特に専門職は、修士号や博士号の取得は必須のようで、彼女のように、働きながら博士号を数年かけて取得する人も多くいます。

仕事をできるだけ早く切り上げ、育児は、親戚やベビーシッターも活用しながら乗り切り、余った時間を勉強に費やしているそうです。「今はお給料のほとんどがシッター代に消えていくけれど、そうやって時間を捻出して、PhDをとることが私にとっても子どもにとっても、とても大切なの」と、たくましい。

学び直し

またもう一人、ドイツのとある機関で働く女性は、お子さんはおらず、パートナーと暮らしています。仕事は決まった時間に切り上げることが「プロの仕事」だと断言します。そして余暇は精一杯遊び、そして一方で、自己研鑽のために常に学びを欠かしません。最先端の技術や情報を学び続けていると言います。

OECDが2012年に実施した「国際成人力調査(PIAAC 2012)」によると、30歳以上の成人のうち、何かのために学んでいると答えた人の割合は、日本が先進国で最低の数字でした。

日本人は、学校にいる間は何かしらの勉強をしますが、大人になった後は、学び直す人が少ないということ。

日本ではますます、ワークライフバランスの意識が高くなり、労働時間が短くなる人も増えてくるでしょう。でもそのような時に、余った時間をどのように使うかというのは、次の問題かもしれません。

もちろん、遊ぶもよし、家族のために時間を使うもよし。でもその中に、「学び直し」を自然な選択肢として取り入れているドイツ人女性たちからは、未来を常に自分の手で切り拓こうという意思を感じます。

特に女性は、男性よりも、同じ仕事、職場であっても経験値が低くなりがちだと言われています。

それは数多いる男性上司が無意識に「難しい仕事を女性にさせたら申し訳ない」とバイアスをかけて仕事を割り振っているからだと言われます。だからこそ女性は、より意識的に、新しい技術や知識、情報を常に学び直していくことが、武器になるのではないでしょうか。

私は現在、事業の中で、女性のキャリアに特化したメンタリングスキルを学べるというスクールを運営していますが、そこには、多忙な中でも、「学びたい」という意識の高い働く女性たちが集まり始めています。彼女たちは、激務であっても、「学び」が未来への投資だと知っていて、そのための時間を工夫しながら捻出しているのです。

このような女性は日本ではまだまだ少数かもしれませんが、これからはドイツ人女性たちのように、よく働き、よく遊び、よく学ぶ。そのような日本人女性がもっと増えていくといいなと感じています。

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【この連載の寄稿者】
(株)MANABICIA 代表 
池原 真佐子(いけはら まさこ)さん

池原真佐子

福岡県出身、早稲田大学・大学院で成人教育を専攻。PR会社、NPOを経てコンサル会社で勤務。在職中にINSEADのパートタイムのコーチングと組織開発の修士(Executive Master in Consulting and Coaching for Change : 現EMC)を取得。同時に、エグゼクティブコーチング等の人材育成を手がける(株)MANABICIAを創業。その後妊娠するも、臨月でパートナーが欧州に転勤、東京でワンオペ育児開始。産後1年半経ったころ、女性のキャリアに特化したメンターを養成するスクール運営、企業の働く女性へのメンターをマッチング事業を行う「育キャリカレッジ」を新規事業として立ち上げる。2年半のワンオペ育児を経て現在はドイツと二拠点生活。2017年に英ユニリーバDOVEでNourishing SecretのCMに、日本を代表する新しい女性として出演。ワーママオブザイヤー2018受賞。「第5回女性起業チャレンジ制度」グランプリ(2019)。その他、日テレNews等のメディア出演も多数。著書『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体』(大和書房:日本と韓国で発売)

■育キャリカレッジ

『日独ワークライフ通信』の過去記事一覧はこちら

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