「アラサー女性は誰もが“想定外”の当事者」乳がん・不妊治療を経験した私が学んだ逆境を転機に変える方法

持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

皆さんこんにちは! 今回が連載第2回目となります、Mentor For公式メンター・株式会社ライフサカス代表の西部沙緒里です。

>>【初回記事】
30代半ばで乳がん・不妊治療を経験した私が、アラサー&アラフォー女性に伝えたいこと

今回は、アラサー・アラフォー女性が直面し得る逆境、ネガティブな出来事からの「転機」の導き方について、書いていきたいと思います。

女性特有の体調不良に不妊治療……
誰もが逆境の当事者になり得る

逆境を転機に変える

逆境は転機の入り口であり、自分をアップデートできる機会にもなる。これが、これまでの半生から私が見出した仮説です。

自分が望んでいなくても、人生には何度となく逆境が訪れます。そして、私たちはそれらの出来事に、イヤでも向き合わなければいけません。特に、20代後半からは女性の人生に「想定外」のことが増えていく時期

ライフステージの変化やホルモンバランスの影響で心身の不調に苦しむ人もいますし、不妊治療に悩む人もいて、統計的に見てもそうした女性たちは少なくありません。だからこそ、読者の皆さんも「誰もが逆境の当事者になり得る」ということを心得ておいてほしいなと思います。

では、本題です。

人生に訪れる想定外の逆境を、私たちはどうすれば乗り越えられるようになるのでしょうか。

これまで、WEBメディア『UMU』での不妊、産む、産まないにまつわる困難を転機に変えてきた幾多の女性たちへの取材と、乳がん・不妊治療・高齢妊娠・高齢出産…という私自身の経験から得た学びを、本稿では、三つのポイントにしてお伝えしていきます。

1.ままならないことを「受け容れてみる」

一つ目は、まず現実を受容すること。人生にも仕事にも意欲的な読者の皆さんですから、「自分のやり方で困難を切りひらいてきた。だから、今回もできる」というメンタルモデルをお持ちの方が多いはず。これは、決して悪いことではありません。積み重ねてきたキャリアと経験を、どうか誇りに思ってほしいのです。

ただ、同時にお伝えしたいのは、過去の成功パターンは成長の足かせにもなりうる、ということ。「いかなる問題も、それをつくり出した同じ意識によって解決することはできない」と、アインシュタインは言いました。

逆境に直面し、今自分にできることは全てやった、でもなお、出口が見えない……そんなときは、人事を尽くして天命を待つ。現実のコントロールを少しだけ、手放してみます

その際、もう一つ大切なのは、底まで“落ち切ってみる”こと、負の感情をとことん感じることです(もちろん、心身の安全を必要十分に確保した上で、ですが)。中途半端に起き上がろうとすると、足元をすくわれます。

2.“転機”予報を「妄想してみる」

逆境を転機に変える

次に、妄想力です。真っ暗な沼底に一定期間いると、目には見えなくとも変化が水面下で起こり始めます。Mentor Forの講座でも、講師からは「人の(キャリアの)アイデンティティーは3~5年周期で変化する」ということをお伝えしています。良くも悪くも私たちは、本来ずっと同じ価値観と関係性の中には、留まっていられない存在なのです。

まさに、その転機を今こそ、迎えようとしている。そう仮定して、来たる未来を観察予測しているような気分で妄想します。「この大雨の先に、どんな素晴らしい青空が待っているか。次に拓ける私の人生は、どんなに素敵か」と、脳内シミュレーションするのです。セルフ妄想が苦手な方は、家族や近しい人に聞いてもらう、必要に応じてメンターを活用する、なども有効です。

3.少しの勇気で、私を「開いてみる」

最後は、自己開示です。身に起きたことと、辿っている渦中のプロセスを語れる範囲で、語れる人や場所に発信していきます。心の準備ができてからで大丈夫です。

その際、無理に前向きな言葉にしなくていい。受けた傷や毒についても、心理的安全性が保たれた場所であれば、いくらでも吐いていいと私は思います。じわじわと吐露しつつ、“清濁併せ吞む(せいだくあわせのむ)”感覚を体に染み込ませていく。そうすることで、心身ともに、また現実世界に馴染んでいきます。

そして、自分のことを「語ること」を始めてみると、間違いなく外部環境にも何らかの変化が起こり始めます。自己開示することは、現実を変えるための大きな一手なのです。実際、『UMU』で取材したインタビュイーの方々からいただいた、「体験を語ったことで道がひらけた」というご報告はこれまでに、数え切れません。

ここまで来たら、もう次の人生の扉は、目の前です。

近年大流行した『ライフシフト』著者のリンダ・グラットンさんは、「世界で最も重要な能力は、レジリエンスだ」と言いました。レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに適応できる精神力」のことですが、それこそがまさに、沼から這い出て新しい現実をまた生き直し始めたあなたが今、得た力のことなのです。

自分が経験した大切な学びを、世界にぜひ伝えていってくださいね。

次回最終回では、全てのアラサー・アラフォー女性が知っておくべきOS、基礎知識とも言える、「未来の逆境や想定外に備えるための『ライフプラン』や『ヘルス・リテラシー』の重要性」などをを取り上げる予定です。

最終回もどうぞ、お楽しみに!

西部 沙緒里さん

【この記事を書いた人】
西部 沙緒里さん

博報堂をへて16年(株)ライフサカス創業。「現代女性の健康と生殖」をテーマに、不妊体験などを紹介するウェブメディア『UMU』運営、企業や学校で研修・講演活動も担う。Mentor For公式メンター、中小機構人材支援アドバイザー。女3人ユニットでポッドキャスト番組『edamame talk』も放送中

>>Mentor for