27 OCT/2014

女優・新垣結衣さん『トワイライト ささらさや』で挑んだ母親役に「新しい挑戦は苦手なんです」

新垣結衣

新垣結衣(あらがき・ゆい)

1988年6月11日、沖縄県生まれ。ローティーン雑誌『nicola(ニコラ)』のモデルとして活躍した後、女優業を中心に活動を始め、2006年放送のCMで注目を浴びる。『恋するマドリ』(07)で映画初主演を果たし、続けて主演を務めた『恋空』(07)が大ヒットを記録、日本アカデミー賞新人俳優賞を始め、数々の賞に輝く。TVドラマでは、『全開ガール』で連続ドラマ初主演を飾り、『空飛ぶ広報室』、『リーガルハイ』、『S-最後の警官-』など話題作に次々と出演。2015年2月主演映画『くちびるに歌を』が公開予定。演技でも凛とした美しさでも、若手女優を代表する存在

“ガッキー”といったら「学生服」
そんなイメージを覆す、初の母親役を演じて

ひとつひとつの質問に悩みながらも丁寧に言葉を選んで話していく。話が自分の中で上手くまとめられなくなった時は、「これ、答えになっているでしょうか」と心配そうに相手に尋ねる。そんな様子からも仕事への真摯な姿勢と周囲への温かい気遣いがうかがえる女優の新垣結衣さん。主演最新作『トワイライト ささらさや』では、最愛の夫を亡くし、生まれたばかりの息子をひとり育てる主人公・サヤを演じている。頼れる家族もいない中、息子を守るため“ささら”という小さな町へ移り住むサヤは、人の体を借りて自分の前に現れ助けてくれる夫と、そこで出会った人々との交流を通じて、少しずつ強さと明るさを取り戻していく。その成長ぶりが観る者に爽やかな感動をもたらしてくれる。

「サヤは一見とても弱いし不幸に見えるけど、本当はすごく芯の強い人。ささらの人たちがこれだけ助けてくれるのも、サヤ自身に魅力があるからこそだと思うんです」

そう話す眼差しは、まっすぐ前を見据えている。その凛とした空気が、自然とサヤの印象に重なる。

「母親になったばかりで、それだけで不安なのに旦那さんも死んじゃって。だけど、(大泉さん演じる夫の)ユウちゃんが他人に乗り移って現れてくれたおかげで、生きていたころにはできなかった夫婦喧嘩とか2人の時間を重ねることができた。それに、息子のユウスケの成長を見たり、ささらで出会った人たちの助けがあったり。そうやって徐々に悲しみや孤独感を拭っていった時に、もともとあった強いサヤが出てきたんじゃないかなって思ったんです。だから私も柔らかくて優しい雰囲気の中に、そういう強さをしっかり出していきたいなと考えながら演じました」

一日掛かりで撮影した号泣シーンは
自分でも「頑張りましたね」って言ってあげられる

新垣結衣

現在26歳。初めての母親役に最初は「不安もあった」と本音を明かす。

「結婚して子どもがいる同い年の友達もいるので、まだ早いかなというような抵抗は全然なかったんです。ただ、新垣結衣を知っている方はたぶん学生服の方がイメージしやすいと思う。だから、赤ちゃんを抱いている姿に違和感を持たれてしまったらどうしようっていう不安はありましたね」

自分自身は、「新しいことへの挑戦は躊躇するタイプ」とキッパリ。プライベートでも「同じゴハン屋さんに行ってばかり」と言うくらい新しい環境や変化は苦手だ。それでも、こうして新境地へと挑む強さは、いったいどこから生まれてくるんだろう。

「たぶんこのお仕事は挑戦しかないような気がするんです。自分以外の人になる以上、どんな役を演じるのも全部初めてのことだから。全てが初めてのことだし、それが当たり前の環境でずっとやってきたから、慣れもあるのかなと思います。もちろんいまだに怖い時は怖いですけど、自分がやらなきゃ終わらない。それに、自分が挑戦することで喜んでくれる人もいるもかもって思ったら、力が湧いてくるんです」

挑戦の先には、きっと新しい自分や成長が待っている。本作でも、新垣さんはその手応えをしっかりと感じている。

「今回、中盤にユウちゃんとの別れの場面があるんですけど、あそこは自分でもよくやったと思いましたね。丸1日掛けての撮影だったので、1日ずっと泣きっぱなしで。私、涙の芝居はすごく苦手なんです。だけど、今回は深川監督の演出や大泉さんの演技にたくさん支えてもらいました。あの空気感を丸1日保って、あのシーンができたっていうのは自分でも頑張りましたねって言えるなと思います」

(次ページへ続く)

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