27 OCT/2014

女優・新垣結衣さん『トワイライト ささらさや』で挑んだ母親役に「新しい挑戦は苦手なんです」

another action starter
新垣結衣

不安の中に楽しみを見つける。
それが一歩踏み出す勇気になる

振り返れば、女優という道を選んだ時から、常にいろんな挑戦を選んできた。地元の沖縄を離れ、上京したのは高校入学の時。故郷を離れる寂しさに「最初は東京へ行くのが嫌だった」と打ち明ける。挑戦が苦手な新垣さんの選択を支えてきたものは何だったのだろう。

「上京を決める時も、嫌だったけど、いろんな人に説得されて、気持ちが揺らいだ瞬間があったんです。その揺らいでいる間に、中学の先生に『高校の推薦書いてください』ってお願いして決まったみたいな感じです(笑)。ただ、中学のころから仕事で東京に通ってはいたので、こっちに友達や親戚もいたし、本当にゼロって感じではなかった。だから、どうにか不安を乗り越えることができたんです」

一歩踏み出すために必要な勇気。それをくれたのは、周囲にいるたくさんの魅力的な人たちだった。

「私の周りには新しいことに対して不安だけじゃなく楽しみなところをちゃんと見つけられる人がいっぱいいるんです。だから、私も楽しみなところを見つけようと思える。やっぱり人が関わって動いているなって思いますね」

その瞬間になってみないと分からないことは
今から考えないでいい

女優デビューは2005年。いくつもの映画やドラマでヒロインを演じてきた新垣さんも、今や元気100%の“ガッキー”という愛称が幼く感じられるほどに大人の女性へと成長した。しかし、当の本人は「思っていた26歳より全然子どもだなって」と等身大の戸惑いを口にする。

「私が思う“大人”は、仕事がちゃんとできる人。私は10代のころからこの世界にいるので、パソコンで書類を作るとか、取引先との電話対応とかどうすればいいのか全然分からないし、お礼状の書き方も知らない。そういう当たり前のことがちゃんとできた時に大人になったなと感じるのかもしれません」

将来についても肩肘張って何かをやろうと意気込んだりしない。結婚、出産、仕事……。その両立や取捨選択に悩む女性も多いだろう。しかし、あらゆる選択を迫られる年齢に近づいてきた今も、過剰な気負いは背負い込まないのが新垣さんのスタンスだ。

新垣結衣

「やっぱり結婚して、子どもを産んでみないと自分にどれだけ余裕があるのか分からないですし、そういうことって人それぞれだと思うから、『人の話を聞いて参考に』というのはちょっと違う気がするんです。どの可能性もある分、自分がその時の状況になってみないと、何を選ぶのが正しいのかは分からない。だから、絶対こうしたいというのはあんまり考えていないんです」

多様な生き方を選べる現代だからこそ、まだ起こりもしていない未来のことばかり考えて不安になってしまいがち。新垣さんの自然体の考えは、あれこれ悩みをつめこんでパンクしてしまいそうになる私たちに、そっと涼やかな風を運んできてくれる。

「だから敢えてチャレンジしたいことっていうのは何もないんです。何事も楽しみたいというのが、私の夢。この先どんな役をやるにしても、どんなお仕事をするにしても、全て挑戦になると思うから。それをいかに楽しめるかが目標です」

何事も楽しむこと。私たちを元気にしてくれるガッキースマイルの秘訣はこんなところにあるのかもしれない。

「やっぱりビクビクしながらやっても楽しくないですから。つらかったで終わりたくないんです。大変だったけど、最終的には楽しかったって言えるような時間を過ごしたいし、仕事や挑戦がしたいですね」

トレードマークだった学生服を脱ぎ捨て、着実にステップをのぼる新垣さん。さあ、次はどんな新しい表情を私たちに見せてくれるだろうか。

『トワイライト ささらさや』 2014年11月8日(土) 全国公開

『トワイライト ささらさや』
2014年11月8日(土) 全国公開

ファンタジーとミステリーを見事に融合したベストセラー小説『ささら さや』(幻冬舎文庫)の待望の映画化。主人公【サヤ】を演じるのは、本作が初の母親役となる新垣結衣さん。これまで数々の映画やドラマで正統派ヒロインを演じてきた彼女が、不幸を乗り越え、子育てに奮闘しながら、母親として一歩ずつ強くなっていく女性を演じ切り、女優として新たな境地に挑む。お人好しで頼りないサヤと息子・ユウスケが心配で、他人の身体に乗り移ることで二人を助ける亡き夫・ユウタロウという難役を演じる実力俳優の大泉洋さんとのユニークな掛け合いも必見。
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2014「トワイライト ささらさや」製作委員会

取材・文/横川良明 撮影/吉永和志

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