自ら決めた「25歳での転身」全ての経験はいつか何かにつながる【今月のAnother Action Star vol.15 秋元才加さん】

another action starter
秋元才加

空っぽな自分では何も伝えられない
今は自分にオプションを付ける時期

大きな転機を迎えた25歳の今、「もっともっとインプットしたい」と秋元さんは話す。この思いはAKB48の人気が全国区になってきたころからずっと持っていたものだ。

「AKB48にいたころはアウトプットの連続。たいした趣味も特技もない。ニュースも知らないし、新幹線の乗り方も分からない。自分は空っぽなんじゃないかと、20歳くらいのときにふと気付いて怖くなったんです。とにかく勉強しなきゃと思って、いろんなところにアンテナを張って、本を読んだりニュースを見たりするようになりました。空っぽなままでは人に何も伝えられないですから」

卒業して以前より時間が取れるようになってからは、車の免許を取りに行ったり、自転車でいろいろ所に行ったり、自分で新幹線のチケットを取ってどこかに泊まってみたり、英語の勉強をし直してみたりと、やりたいと思ったことを着実に実行に移している。やりたいことを「やりたい」だけで終わらせない秘訣は「一歩踏み出すこと」。疲れていたり面倒に思う時でも、自分を奮い立たせてやってみると良い方に転がっていくという。

「ジムや教習所に通ったり、電車に乗ったりすることで、今まで出会ってこなかったような人たちの人間模様が見えたりして、面白いんです。これからいろんな役にチャンレンジしていきたいので、とにかく今は選択肢を広げておきたいし、自分にいろんなオプション付ける時期だと思っています。だから車の免許もマニュアル。トラックがマニュアルなので、マニュアル免許を持っておけばいつかトラックの運転手役ができるかもしれないと思って。この仕事がそろそろダメかなと思ったら、トラックの運転手に転職もできますし(笑)」

忙しい仕事の合間を縫って貪欲にインプットをしようとする姿勢は、“替えがいくらでもいる”AKB48の中でどう個性を出していくのかを考える過程で鍛えられたもの。だが同時に、時には自分を大目に見てあげることが必要なことも知っている。

「25歳なのに何でこんなこと出来ないんだと思う事はあるんですけど、まだ卒業してから1年目だし、できないことがあって当たり前と、自分を過小評価し過ぎないように心掛けています」

だから現在、MCに挑戦している経済番組『マネーの羅針盤』でも、「たとえアホだと思われようと、経済用語などの分からないことはガツガツ聞いている」。ストイックに努力を重ねながらもできない自分をきちんと認め、うまくバランスを取りながら取り組んでいるようだ。

失敗を「失敗」と考えなければ
明日に繋がる糧となる

秋元才加

舞台『国民の映画』は成功を収め、6月28日からは『奴隷区 僕と23人の奴隷』、秋には『マンゴーと赤い車椅子』と、立て続けに映画の公開を控えている秋元さん。今月20日にはフィリピン観光親善大使にも任命されている。順風満帆なように見えるが、全ては食わず嫌いをせずに何でもやってきたからこその結果だ。

「やりたいことを最初からできるとは思っていないんです。でもいろいろやっていれば、そのうち何かがつながってくる。だからこそ、これはムダだからやらないと切り捨てるのではなく、とりあえずやってみるようにしています。文句は言いますけど(笑)。三谷さんに舞台のお誘いをいただいたのも、三谷さんが私が出ているバラエティー番組を見たことがきっかけでした。『私は女優だからバラエティーは出ない』と言っていたら、なかったお話かもしれません」

これからは女優を中心に活動していきたいとしながらも、「“何でも屋”でありたい」と話す。何事も果敢に取り組めるのは、失敗を「失敗」ととらえないマインドセットにある。

「やってみないと成功も失敗も分からないし、その時は失敗だと思ったことがいつかチャンスになるかもしれない。明日死んじゃうのに最後にやったことが失敗だったらそれは本当に失敗だと思いますけど(笑)、今のところ明日は続いていくから、まずは今日を一生懸命頑張ることにしています。先のことはあまり考えてないんです。5年後のことより、明日につながる何かができればいいなと思っています。全てのことが女優業につながっていると思うので、何でもやってみたいし、常に好奇心旺盛な女性でいたいですね」

最後に、秋元さんの思うかっこいい女性像について語ってもらった。

「タクシーの運転手が女性だと『おっ!』と思うし、ビシッとスーツを着て背筋をシュッと伸ばした女性もかっこいいなと思います。身近にいるかっこいい女性は……マネージャーさんですかね。良いものは良い、悪いものは悪いとはっきり伝えるところがかっこいいなと。私も『あの人は働いている姿がかっこいい』と言われるようになりたいです」

仕事へのまっすぐな姿勢を堂々と話す姿は、すでに凛々しくかっこいい。自身で大事な時期と定めた20代後半を過ぎたころには、きっととびきりかっこいい女性になっているに違いない。

取材・文/掛谷泉 撮影/柴田ひろあき


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