自信のなさ、完璧主義、子どもに対する罪悪感……働く女性の悩みはどうすれば解消できる?
長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります
皆さんこんにちは。『Mentor For』公式メンターの畑さち子です。
前回の記事では、私個人のこれまでのキャリアや経験から学んだことを書かせていただきました。
いろいろな職場を転々して「一貫性が無い」と思っていた私のキャリアも、今こうして振り返ってみると、無駄なことは一つもなく、全てが自分の糧になっていると感じます。
私は今まで、企業で働く(管理職手前~役員クラス)の女性、医師や公認会計士などの専門職や自営で働く女性たちのメンタリングをさせていただいてきました。
その中でよくテーマとしてあがってくるのが、次の三つ。
「自分に自信がない」「何でも完璧にやりたい」「子どもを預けて仕事をしていることに罪悪感を持ってしまう」というものです。
では、なぜこうした悩みが女性たちから多くあがってくるのか。また、どうすればこの悩みは解消されるのか。
私がメンターとして得た経験に一部編集を加えつつ(個人情報を伏せるため)、具体的な事例をご紹介します。
【1】自分に自信がない

皆さんは「インポスター(詐欺師)症候群」と言う言葉を聞いたことはありますか?
これは、「私は能力が劣っているのでこの立場にはふさわしくない」「私は詐欺師のように、出来るふりをして周りの人をだましている」と考えてしまう症状で、一般的に女性に多いと言われています。
以前、メンタリングを担当した大手電機メーカーで管理職として働くAさん(30代半ば、独身)も、「会社が女性管理職の数を増やしたいから、自分にも声が掛かっただけなんです」と言い切ったのです。
しかし、実際の彼女は必死に仕事を頑張っていたし、「管理職になったからには」と何もかも自分でやろうとして疲弊していました。
そこで、彼女に「上司、同僚、部下、周囲の人に360°フィードバックをもらってみてほしい」と提案してみました。
最初は躊躇していたAさんですが、やってみると、本人もびっくりの高評価。ここでやっと「私はこのポジションにふさわしいのだ」と納得できたようでした。
また、そのフィードバックの中にも、「Aさんは一人で物事を抱え込み過ぎる」という指摘があったそう。それでも「管理職なのだから私が頑張らなくては」という気持ちを手放すのは難しいと相談されました。
そこで、「管理職とそうでない人と仕事の仕方はどこが違いますか?」と彼女に聞くと、しばらく考えた後で「人に任せるというですか?」という答えが返ってきました。
そう口に出してからは、周囲の人に少しずつ仕事を任せるようになったAさん。「『いつ任せてくれるのかなあ、と待っていました』と部下からは言われちゃいました……」と照れ臭そうに笑っていました。
その後はリラックスして働けるようになり、「また自信を無くしそうになったら、この一連のセッションのことを思い出します」と笑顔を見せてくれたのです。
【2】何でも完璧にやりたい

また、上記でご紹介したAさんもそうなのですが、「完璧にやらなきゃ」と思い過ぎるあまりに、自分で自分を苦しめてしまう女性も多い印象です。
もちろん、真面目であることは素晴らしいことなのですが、苦しさの方が勝るようなら、それも見直しが必要なのかもしれません。
例えば、地方銀行のチームリーダーを務めるBさん(30代前半、独身)は、「ちゃんと」「きちんと」「100パー(パーセント)」「がんばります」が口癖でした。
ほとんど完璧で99%出来ていても、残りの1%ができないことの方が気になってしまい、落ち込んでしまうのだそうです。
そんなBさんに私がアドバイスしたのは、次の二つのこと。
1.口癖を「まぁいいか」にしてみましょう
自分の発した言葉を一番聞いているのは自分。根詰め過ぎないためにも、意識的に「まぁいいか」と口にしてみることが大事です。不思議なもので、口にすると、だんだんと価値観や意識が変わってきます。
2.やることに優先順位を決めてみましょう
例えば、やるべきことに順番をつけてみて、「何番目までできたら合格」とボーダーラインを自分で引いてみます。この時、100点満点じゃなくてもいいように、決めてしまうのです。
この二つを実践するようになったBさんはある時、「そもそも、いつも完璧でいることなんて、非現実的ですよね。何でそんな当たり前のことに気付かなかったんだろう」と話してくれました。
また、完璧思考をBさんがやめると、チームの雰囲気も良くなったそう。リーダーが力み過ぎていたため、チームメンバーも緊張してしまっていたのです。自分がラクになるだけでなく、チームも和やかになるという副産物を得られました。
【3】子どもを預けて仕事をしていることに罪悪感を持ってしまう

最後に、ワーキングマザーが抱えがちな「子どもに対する罪悪感」についてです。
子どもを保育園に預けて働く女性たちの中には、「子どもに申し訳ない」という感情を持っている人が少なからずいます。実際、私自身もそうでした。保育園に子どもを預けたときに、「ママ行かないで~」と泣かれてしまうと、私も泣きたくなったりしたものです。
以前、メンタリングに来てくださったCさん(不動産会社役員/40代後半/既婚/子ども2人)も、「子どもには自分の手料理を食べさせたいけど、その余裕がない」と話し、静かに涙を流しました。泣いてしまったのは初めてだったそうで「こんなに子どもに申し訳なさを感じていたなんて……」と本人も驚いていました。しかし、こうして他者に自分の気持ちを話せたことで、気持ちの整理がついたとのこと。
私も過去を振り返ると、同じくワーキングマザーとして働いていた女性と話をしたことをきっかけに、この罪悪感が和らいだ経験があります。40代半ばのころ、ある女性から「子どもを預けてまで仕事をするんだから、私は絶対に『良い仕事をする』って心に決めて頑張っている」という言葉を聞きました。それを聞いてすごく納得感があったのと、「この言葉、もっと早く聞きたかった!」と思ったものです。
わが家の子どもはもう大きくなりましたが、以前こんなことを言われたことがあります。「お母さんは楽しそうに仕事をしていたよね」「お母さんを見ていて、大人になるって楽しそうだなと思った。働くって楽しいことなんだろうなと思っていた」と。これは、すごくうれしかったですね。
子どもの頃からの「国際関係の仕事に就きたい」と言っていた長女は今、外資系企業で働き、夢を叶えています。下の息子は3年前に入社したIT企業を辞め、現在は起業の準備中。二人とも、楽しそうに仕事をしています。子どもはあっという間に大きくなりますし、働いていた母親の背中を見て学ぶこともあるのです。
将来、結婚、出産をしても働きたいと考えている20代の女性たちに改めて言いたいのは、母親が子どもにしてあげられることは、「食事をつくること」や「ずっと一緒にいること」だけではないということ。母親が見せたかっこいい背中は、意外と子どもの記憶に残っているものですよ。

畑さち子
『Mentor For』 公式メンター。ウィメンズキャリアメンター、国際コーチ連盟プロフェッショナル認 定コーチ。日本アンガーマネジメント協会ファシリテーター・トレーナー。航空会社(地上職)を退職 後、二児を育てながら、子育て本の編集・出版、海外での日本語教師を仕事とする。帰国後、コーチ ングを学び、2003年独立。2018年に、メンタリングを学び、「次世代の女性がイキイキと自分らしく 生きる」ことを応援するために、メンターとして活躍の幅を広げている
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