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APR/2020

転職してすぐ産休ってあり?「出産もしたい。その前に転職もしたい」アラサー女性の切実な悩み

持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

はじめまして、今回Woman type読者の方から寄せられたキャリア相談に回答させていただく佐藤幸恵です。私の経験と、マネジメント側の立場からご相談に回答させて頂けたらと考えています。

佐藤幸恵

【この記事を書いた人】
佐藤幸恵

就職経験ナシの専業主婦から、育児をしながら37歳の時に公認会計士試験合格。その後、大手監査法人に勤務をして子育てと両立。退職後参議院議員秘書を経て公認会計士事務所を設立。現在は、ナレッジスイート株式会社の執行役員として経理財務・経営戦略を担当する。女性の自立と子育ての両立の中でワークスタイルを変え続け現在に至る。女性をエンパワーメントとする活動をライフワークとしている

先輩に聞きたい!今回の相談内容

(Aさん/29歳/営業職 

昨年結婚して、これから1~2年のうちに子どもをつくりたいと考えています。でも、今の会社は残業も多くて子育てと仕事を両立するには向かない環境なので、転職もしたいです。でも、転職してすぐ妊娠するというのも申し訳ないな……と感じてしまい、身動きが取れない状態です。こんなときは、どうすればいいのでしょうか?

Aさんは、子どもが欲しいとお考えなのですね。私には二人の子どもがいます。子ども達が私に与えてくれた生きる意味や幸せ、喜びは語り尽くせず、ぜひ応援したいと思います。

最初に私自身のことをお話しますと、Aさんくらいの年齢の時は、子どもを持つタイミングを含め、ライフイベントの計画をほとんど立てていませんでした。

しかしその後、自分がどう働きたいか、生きていきたいかを明確にし、優先順位をつけてやるべきことを絞り込んでいく「選択と集中」のマネジメント思考を取り入れたところ、人生の選択・決断がしやすくなりました。なので、Aさんも自分のなりたい姿や理想から逆算し、転職や出産について考えてみてはいかがでしょうか。

転職は目的ではなく、一つの手段

29歳のAさんは、既にライフイベントとキャリアについて考えていらっしゃる。とても現実的でしっかりしていらっしゃると感じます。また、今回は「転職してすぐ産休に入ってもいいものか」という相談でしたが、まずは、本当に転職しなければ育児と仕事の両立はできないのか、そこから見つめ直してみてもよいかもしれません。

Aさんの本当の希望は「転職すること」ではなく、「子育てと仕事を両立したい」ということだと思います。では、それを実現するためにはどうしたらいいのか。今後のライフプランを考える上で知っておいてほしい3つのポイントをご紹介します。

1)政策や制度などの、国の大きな動きを知っておく

絡み合った課題を紐解いていく中で、まず知っておいて頂きたい国の施策をご紹介します。「子育て」と「仕事」を考えるときに、「難しいから」と嫌煙するのではなく、まず大きな動きを掴むことが重要です。

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」いわゆる、女性活躍推進法が2016年4月に施行され、採用や昇進が平等に行われ、職場環境においても平等が配慮されること、仕事と家庭が両立できる環境をつくる事、女性自身が、仕事と家庭の両立について意思決定が出来ることの実現が義務とされました。

さらに2019年5月の改正により実施義務化対象企業が、常時雇用する労働者が101人以上の企業にまで広げられました。

また、「働き方改革関連法」が2019年4月1日から順次施行され、時間外労働の上限規制の導入がされていますが、2020年4月からは中小企業も対象となります。

つまり、これらの法整備が進むということは、Aさんにとっても、「子育て」と「仕事」の両立の実現可能性が以前に比べて高まることを意味しています。

2)出来ないこと、諦めることを決める

1)で紹介した法整備は女性が仕事と子育ての両立のための明るい未来を国も後押ししているのですから、躊躇せず手に入れましょう。

そのためには、「子育て」と「仕事」の両立とは、どの様な状態を指すのか自分の中で定義しておく必要があります。つまり「Aさんにとっての成果・達成」とはどういう状態か、ということですです。

Aさんは、残業時間の多さから両立が難しいと考えておられるので、成し得たい状態については既に決めている(希望がある)のが読み取れます。

時間は誰にとっても有限で、平等なもの。時間的制約の中での成果・達成の状態は、持っている(利用可能な)リソースに左右されます。「仕事」では、本人の能力(知識、経験値)により、同じ時間でも成果物のクオリティーは変わってきますよね。

同様に「子育て」も自身が持つリソースを客観的に見極め、戦略的に獲得していくと良いと思います。ご家族の協力、親の協力、友人知人の協力、シッターやその他のサービスを利用できる量、世帯収入、貯金、会社の理解。これらのリソースの総量により、「子育て」が変わってくるのです。 

私は、夫と両親の全面的な協力を得たいと思っていたので、両親の直ぐ近くに住みました。通勤時間をかけても、子ども達のケアを共にして貰える両親のいる田舎に住みました。往復3時間も通勤に使うので、子ども達が小さい頃は平日会話ができるのは、朝だけ。夕飯から、寝かしつけまでを両親に頼み、私は仕事をフルタイムでし続けました。

ここで、成し得たい状態を考える時に注意して欲しいのは、したいことから考えるのでは無く、出来ないこと、諦めることを決めるのです。そして最後に残った、「子育て」と「仕事」のどうしても手放せないことが、本質的に成し得たい状態になります。

今、削ぎ落し最後に残ったものが少なく、理想と遠くても落ち込む必要はありません。時間と共に、自分のリソースは蓄積され広く活用できる様になり、想像を超えるプレゼントを沢山受け取れるはずです。

私が働き初めた頃は子どもとの時間は週末のみと諦め、その限られた時間に出来る限りの愛情を注ぐことにしました。平日の習い事も、いろいろさせてあげたくても送り迎えなどを考えると諦めることが多かったです。

しかし、仕事の実績が増えてきて独立した時には、子ども達との時間が増え、旅行にも行くことが可能になりました。

私はフルタイムで働くのが希望でしたが、一方で、時短勤務を選択する女性もいらっしゃると思います。Aさんは、転職が前提のようにも読み取れるのですが、転職は目的ではなく、あくまでも手段、選択の一つと捉えた上で、まずは、リソースの棚卸し、戦略的な獲得と成し得たい状態を考えてみて下さい。

そして、会社にライフイベントとキャリアについての相談をしてほしいと思います。

上記で紹介した法整備が整う中でも、過酷な残業が指示され、社員のライフイベントとキャリアについて考えてくれない、相談が出来ない会社であれば、転職という選択になるでしょう。一つ一つ自身に問いかけ、状況を客観的に見て、決めてみてください。

3)信用貯金をコツコツ貯める

いざ転職しても1~2年で妊娠するというのも申し訳ない、というお悩みもありました。2)のところで、自身のリソースと成し得たい状態を充分考え整理をした後に、会社への気遣いと、仕事上の人間関係の心配を整理してみましょう。  

産休は対象女性の権利です。経営者側からすると、希望者には取得させる義務があります。休んではいけない等の無意識のバイアスがありませんか?

もちろん、休むとどこかに業務のしわ寄せが行きます。しかし、その様な負荷が会社内で常に起こる俗人化した組織では、もう、これからは世界では生き残れないと経営者は理解しているはずです。

1)で紹介した女性活躍推進法の目指す世界は、子ども持つ女性か持たない女性かは問わず、全ての女性が対象です。そのことを踏まえて、会社組織を構築する努力が会社には迫られているのです。

とはいえ、権利と言われても人間関係は別ものですよね。産休を取りやすい状況にするために出来ることは、Aさんの「信用貯金」がどの位あるかによると思います。 

私が考える「信用貯金」とは提供する仕事の成果と人間関係の積み重ねです。仕事をきっちりする人は信用があるので、産休明けも仕事をしっかりしてくれると思ってもらえます。同時に、人間関係が良好であれば、戻ってきてまた一緒に仕事をしたいと思ってもらえます。これが「信用貯金」です。

妊娠し産休を取るまでの間に、信用貯金を貯め、どれだけ有用な人財となれるかで変わってくるでしょう。顧客、社内の仲間達のために、何が出来るか考え行動し続ける限り、リソースはどんどん蓄積され、唯一無二の存在となり、心よく産休に送りだしてくれるはずです。

人生は何が起きるか分からない。それでも「計画」を立てることが重要な理由

上記で紹介した1)~3)は、望む未来の実現のため最大限の想像力を働かせて創り上げる「計画」です。しかし「現実」は、必ずしも計画通りにはいかないのは、誰もが知っている事実です。

それでも、なぜ計画を立てるのかと言うと、先の解らない状況で確実に前に進むには、限られたリソースとエネルギーを何に投入するか決断することが重要だからです。

事業戦略で使われる、選択と集中という思考もこれと同じ。育児と仕事の両立、そしてその先のキャリアも、「計画」と「現実」をこまめに確認し、何が予定通りに行かなかったのか、その修正をどのようにするのかが大切です。

この時に忘れてはいけないのが、「あなたの望む理想の状態」と「今使えるリソース(手段や情報)」の確認です。そして、選択肢を常に並べ、選び、優先順位が低いことは潔く捨てていくこと。この繰り返しを続けていけば、必ず、一歩踏み出すことができると思います。 

最後になりますが、「子育て」も「仕事」も正解がないということを忘れないでください。選択したことを自身の正解とするだけなのです。

私は、子ども達と過ごした時間が圧倒的に少なかったし、授業参観には1~2回しか行けませんでした。何度も悩み立ち止まることがありました。しかし、成人した2人の子ども達とは、ずっと良好な関係です。愛情も沢山注いできたと思っています。

ただ、振り返ると切なさや胸の奥で小さな傷が痛むこともあります。それでも、私は子どもを望む女性には自信を持って伝えたいです、素晴らしい人生が待っていますよ!と。

Aさんの新たな一歩を心から応援しています。

>>Mentor for

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