女優・三吉彩花が語る仕事のプレッシャーへの対処法「一人で頑張らない。不安はちゃんと口にする」
日々の暮らしの中で、ちょっとしたチャレンジをすること。それが、Woman typeが提案する「Another Action」。今をときめく女性たちへのインタビューから、挑戦の種を見つけよう!
雑誌『セブンティーン』の専属モデルを7年間務め、現在は女優として活躍の幅を広げる三吉彩花さん。今では、ドラマ・映画に引っ張りだこの存在に。

24歳にして、すでにキャリアは17年。
そのクールなルックスと落ち着いた立ち居振る舞いからは、実年齢よりもずっと大人びた雰囲気を感じるけれど、インタビューでは「責任の大きな仕事を任される機会が増えてきて、うれしいこともある反面、プレッシャーを感じることもある」と20代らしい悩みを率直に打ち明けてくれた。
重圧に負けそうなときは、誰かに話す、一呼吸置いてみる
9月18日公開の映画『Daughters』では、阿部純子さんとW主演を務めている三吉さん。東京・中目黒でルームシェア生活を送る二人の女性の物語だ。

本作では、一人が妊娠し、シングルマザーになることを決断するところから、二人の友情の形が変わっていく様子が繊細に描かれている。三吉さんは、妊娠した友人を側で見守る27歳の女性・小春を演じた。
私が特にこだわりを込めたのは、小春の『実在感』。
小春という一人の女性が、東京の街に生きていて、普通に働いていて、身近に存在している……映画を観ている方にそう感じていただけるように、なるべく自然体であることを心掛けながら演じました。
ただ、実在感を出そうと意識すればするほど、わざとらしくなってしまうので、ルームメイトの彩乃役の(阿部)純子ちゃんともいっぱい会話を重ねて、親しくなって、人間関係をつくりながら演じていきました。
そうすることで、身近にいそうな“女友達二人”という感じが出せるようになっていったと思います。
三吉さんは現在24歳。まだ親しい友人が妊娠・出産をするのを側で見てきた経験はない。撮影中は、「小春として生きることだけを考えた」と当時の心境を明かす。
友達の妊娠が分かったとき、『小春ならどう感じるか』『小春なら何を伝えるか』常に主語を小春に置いて考えるようにしていました。
ただ、こうやって、自分より少し先の年齢の女性を演じさせてもらったことで、自分自身の将来についても考えるきっかけをもらいましたね。
主演映画は、今作で4本目。7歳で芸能界デビューして以来、モデル、歌やダンス、女優とさまざまなジャンルの仕事にチャレンジし続けてきた。
新しいことに挑戦するのは誰しも勇気がいるし、プレッシャーを感じるもの。重圧とはどのように付き合ってきたのだろうか。

10代のころは、とりあえず何でもがむしゃらにやって、ダメだったらしょうがない、というマインドでした。
ですが今は、自分が仕事において背負う責任が大きくなっていることや、周囲からの期待値がだんだん大きくなってきていることも感じていて、そのプレッシャーを消化しきれないときも実はあります。
そんな時の“三吉流の解決策”は、一人で抱え込まず率直に不安な気持ちを打ち明けることだという。

不安を感じたときは自分から口に出して、信頼できる人に相談するようにしています。
不安な気持ちを言葉にすることで、自分が何に悩んでいるのか、クリアになることもあるので。それでも、理想と現実のギャップに苦しくなってしまうようなら、一回立ち止まってみることも大事。
一呼吸置くことで、気持ちの整理がつくこともありますね。
明確なゴールを決めることで、挑戦に一歩踏み出せる
また、三吉さんがいま目指しているのは、周囲の人に“ポジティブな影響”を与えられる人になることだという。なぜ、その境地にたどり着いたのか。

10代の頃の私は、どこか人生に対して悲観的なところがあったんです。でも、20代になって、いつの間にか自分の考え方が楽観的になっていることに気付きました。
その理由を考えてみると、周りの人から受けた影響が大きくて。一緒に過ごしている人たちがすごくポジティブなので、自分も変われたんだと思います。
今も仕事に悩むことはいっぱいありますが、それでも、以前よりずっと楽しめるようになっていますね。
そう話す三吉さんは、「私、年々ポジティブになっていっている気がします」と言って無邪気な笑顔を見せた。

さらに、モデルや女優業に限らず、監督業や本の制作など、「ものづくりを裏で支える仕事にもチャレンジしたい」という。
一回、自分の手で何かをゼロから作り上げてみたいんです。監督業もやりたいし、アートブックみたいなものも作ってみたい。
私はいつも表に出る立場なので、いつか、ものづくりを裏で支えるような『作り手』も経験してみたいなと思っています。
新しいことにチャレンジするときに不安は付き物。弱気になってしまうときには、「目的をクリアにするといい」と三吉さん。
何のためにやるのか、誰のためにやるのか、そういうものがはっきり腹落ちすると、やる気が湧いてきます。
ただ闇雲に頑張るのではなく、ゴールを決めて、そこにたどり着くためのマイルストーンを置く。
そうしたプロセスが、チャレンジを後押ししてくれます。

長い休みを経て、前のめりになれた
2020年5月には舞台に初挑戦する予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により上演が中止に。
当たり前の日常が急変し、「エンターテインメントを今までのように届けることができないやるせなさを感じた」と当時の気持ちを三吉さんは明かす。しかし、今ではこの変化を前向きにとらえている。
舞台が中止になったことで、少し長めのお休みを頂きました。その期間を経て、今やっと新しいことに取り組めるようになって、一つ一つの仕事にすごく愛情が入るようになりました。
こうして取材をしていただけるときも、自分のパーソナリティーや想いをできる限り伝えたい。昔の自分より、ずっと前のめりになりましたね。

重圧に押しつぶされそうになる不安な気持ちも、挑戦したいことも、作品に込めた強い想いもーー。その全てをしっかりと言葉にして周囲に伝えようとする三吉さんは、「言葉にすること」の重要性を次のように語る。
私はよく、『黙っていると、何を考えているのか分かりにくい』って言われるんですよ(笑)だからこそ、やりたいことも、今感じていることも、どんどん周りの人たちに言葉で伝えるようにしていて。
実際、『やってみたいこと』を口にしたことで、叶ったことはいくつもあります。『前にこういうことやりたいって言ってたよね』と企画に誘っていただいたり、『やりたいことがあるなら一緒にやってみよう』と声を掛けていただけたり。
黙っていたら叶わないこと、訪れなかったチャンスって山ほどあると思うんです。
静かに情熱を燃やしながら、周りの人を自然と巻き込みキャリアをひらいていく三吉さん。彼女の眼差しは、力強く輝いている。これからも、新たな一面を私たちに見せてくれるに違いない。

トップス、パンツ共に「tiit tokyo」/ネックレス、ピアス共に「irolier」/その他スタイリスト私物
【プロフィール】
女優・モデル
三吉彩花(みよしあやか)
1996年6月18日生まれ。埼玉県出身。 B型。2010年、『ミスセブンティーン2010』に合格し、雑誌『Seventeen』の専属モデルとなる。現在は「25ans wedding」のカバーガールとして活躍中。女優としては映画『告白』、『ダンスウィズミー』、『犬鳴村』、ドラマ『GTO』など話題作への出演が続く
Instgram:miyoshi.aa
取材・文/太田 冴 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) 編集/栗原千明(編集部)ヘアメイク/RYO スタイリスト/高梨未希
映画『Daughters』作品情報
脚本・監督:津田肇
出演:三吉彩花、阿部純子、黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々
企画:CHAMELEONS INC.
制作プロダクション:and pictures
制作協力:Lat-Lon
配給:イオンエンターテイメント/Atemo
製作:CHAMELEONS INC./and pictures/キングレコード/ワンモア/沖潮開発
©「Daughters」製作委員会
『Another Action Starter』の過去記事一覧はこちら
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