02
OCT/2020

「店舗閉店で仕事が続けられない」30代アパレル販売員が直面する“未経験転職”の悩み

持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

この連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

はじめまして、『Mentor For』公式メンターの志村綾子です。現在は経営層に対する人事コンサルティングを実施している会社のパートナーを務めていますが、かつては日系及び外資系企業で8年間人事を担当していました。

今回は、コロナショックをきっかけに転職を検討するようになったという30代のアパレル販売員の方のお悩みにお答えしたいと思います。

先輩に聞きたい!今回の相談内容
「30代から新しい仕事って始められるの?」

(Aさん)

これまでずっとアパレルの販売員として働いてきましたが、コロナショックの影響で会社の業績が悪化して、店舗の閉店が続いています。

このまま働き続けることが難しい状況なので、転職を考えています。コロナの影響を受けるのを避けたいので、今までとは違う業種に就きたいです。

ですが、30代になるまでずっとこの仕事を続けてきたので、今から新しい仕事ができるのか、採用してもらえるのか不安です。私自身、特別やりたいことも見つけられていなくて……。

良い転職をするためには、どうしたらよいでしょうか?

後輩たちへ

アパレルの販売員としてずっと頑張ってこられたとのこと。そんな中、このコロナの状況は大変厳しいものと推察します。

アパレル業界そのものがグローバル化、ネット販売、顧客の志向の多様化などの要因で変革期と言われて久しいです。そのような環境下でも、販売員として努力されてきたのは素晴らしいことですね。

さて、転職の話をしたいと思います。

私は今まで沢山の方のキャリア支援をしてきましたが、転職をして成功される方に共通していることが二つあります。それは、次の通りです。

(1)キャリアのビジョンが明確であること
(2)仕事における自分の得意、不得意分野を把握していること

要するに、自分のことをよく理解していることが大切なのです。そこで、初めて転職をする方には、まず自分自身のキャリアの棚卸をしてみてくださいとお伝えします。

その過程の中で、もしかしたら「転職しない方がベターかもしれない」と気付く方もいます。そうなったとしてもいいのです。

転職することは目的ではありません。転職は、その後の人生をより幸せなものにするための手段だということを覚えておいてほしいと思います。

現在は、コロナ禍で世の中の状況もめまぐるしく変わっていますから、いつもに増して慎重に物事を検討する必要があるでしょう。

転職すべき?今の会社に残るべき?
迷ったときの検討プロセス

Aさんは、接客の仕事を長い間続けられていたとのことで、お客さまとのコミュニュケーションは得意だと思います。Aさんが転職を検討すべきかどうか、次の流れで考えてみてはどうでしょうか?

後輩たちへ

(1)自分のキャリアを棚卸しする

まずは、これまでを振り返り、自分が得意なこと、不得意なこと、楽しいと感じること、つらいと感じること、どういうときに仕事で成果を出せたか、モチベーションが上がったのかなどを書き出してみましょう。

(2)中長期的なビジョン、目標を考える

自分はこれから何をしたいのか、自分は何を目標にしたいのか、いつまでにどうなりたいのか、自由に書き出してみましょう。

また、いま自分が好きで関心を持っていることは何なのかを書いてみるのもおすすめです。

例えば、インテリアが好き。カラーコーディネートに関心がある。マーケテイングの仕事に関心がある。趣味でアロマを集めている。ネット通販の裏側ってどういう仕組みなんだろう……。

興味があることであれば、何でも書き出してOKです。

(3)自分の興味に近い仕事はないか調べる

(1)(2)を通じて見えてきた自分の興味に関われる仕事がないか、調べてみましょう。

例えば、「インテリアが好き」であれば、インテリアコーディネイターの資格を取るために勉強してみる。アロマが好きであれば、アロマテラピストを目指すという道もあるかもしれません。

一般的に男性よりも、女性は「好きなこと」に関われる仕事に就く方が長続きする、成功する、幸せを感じられると言われています。人生の中で仕事に費やす時間は長いため、好きなことを仕事にできるといいですよね。

(4)やりたい仕事が決まったら、転職先候補となる会社の「職場環境」をチェックする

挑戦してみたい仕事が見つかり、転職を前向きに検討できるようになったら、候補となる企業の職場環境をよく確認しましょう。

どんなにやりたい仕事ができる環境でも、長続きしなければまた転職を繰り返すことになってしまいます。

女性が職場環境の中で一番ストレスを感じる要因は、人間関係だと言われています。同僚、上司、経営者など、可能な限り転職前にお会いできると良いでしょう。

(5)“転職しなくていい”場合はないか最後によく考える

もし、今の会社の人間関係に不満がないのであれば、それはとてもいいことです。すでに信頼関係がある人たちの中にいた方が、長く働き、成果も出しやすくなるという面もあります。

Aさんは現在「販売の仕事」に不安を感じているということなので、例えば同じ会社の中で、営業職、バイヤー、バックオフィス(事務、総務、経理)などにチャレンジさせてもらえる機会もあるかもしれません。

ご自身が今の会社の他のポジションに興味を持てる、なおかつ会社がそのチャレンジの機会を与えてくれるのであれば、転職しないという道もありますね。

後輩たちへ

(1)~(5)を考えてみて、いかがでしょうか?

年齢は大きな壁ではない。キャリアと向き合う時間を後回しにしないで

最後に、私が以前ご相談に応じた方の転職成功事例をご紹介したいと思います。

その方は、接客系の仕事からマーケターへと職種を変え、現在は自社サービスを持つWeb系の会社でマーケティグ・マネジャーとして活躍しています。

この方はキャリアチェンジをするために、二つの努力をしました。

一つはスクールに通い、Webサイト等の分析スキルを身に付け、資格を取得したこと。もう一つは、実際にマーケテイングの仕事をしている方とのつながりを増やしたことです。

接客の仕事で日々忙しく働いていましたが、目標に向かって自己投資を行い、実際にやり遂げたので大変立派でした。未経験転職ではあったものの、自ら学ぶ意欲や実務経験のなさを補う努力ができたことは、採用の面でも大いに役立ったと思います。

そして、未経験転職に成功した最大の理由は「時代の流れを先読みできた」こと。

最近ではWebマーケターは転職市場ではとても人気の職種で、採用を行っている企業もたくさんありますが、その方が転職活動をしていたころは、まだあまり注目されていない職種でした。

そんな中、「これから必要とされる職種だ」と先読みし、いちはやく勉強を始めたのです。

時代を先読みするのはなかなか難しいですが、新聞やインターネット記事など、日々の情報収集で「次にくるものは何か」トレンドを先取りして感じ取ることはできると思います。

また、自分と近しい業界で働いている人とばかり付き合わず、全く違う業界、職種で働いている人と話をする機会をつくってみるのもいいですね。もちろん、私のような社外メンターや、人材系企業のキャリアアドバイザーなどに相談をしてみるのもいいでしょう。

さらに、転職する・しないに関わらず、実際に転職活動をしてみると、業界について学んだり、自分について深く知るきっかけにもなります。

Aさんは今、ご年齢が30代とお聞きしました。一般的には、初めての転職は35歳までの方が有利と言われています。ただ、昨今は経験や人脈、技能があれば40代でも50代でも転職は可能です。

とはいえ、年齢が上がると求められる条件も上がります。専門性、マネジメント力、営業力、適応性、社内外コミュニュケーション力などを、今のうちに意識して身に付けておくといいかもしれません。

後輩たちへ

少し話がそれますが、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)という有名な本がありますが、ご存じでしょうか?

私は、かつて子育てと仕事の両立でいっぱいいっぱいだった時に、運良くこの書籍のオリジナル研修を受けることができました。それ以降、この本は私のバイブルの一つになっています。

特に大事にしているのが、重要事項を優先するという習慣。物事を緊急事項と重要事項に分けて考えてみようというものです。

多くの人は、緊急性のあることにばかり時間を使ってしまいがち。しかし、そんな中でも緊急性はなくとも「重要なこと」に、無理にでも時間を割いてみましょう。

例えば、Aさんも毎日仕事で忙しいと思いますが、ぜひ時間をつくって、よりよい未来をつくるための「重要事項」であるキャリアの棚卸や関心事をまとめる、調べることなどに時間を使ってみてください。

現在の状況が不安で「何となく転職したい」ということではなく、まずキャリアの棚卸しを行って目標を設定し、情報収集などその他できる範囲で努力をしてみる。

その上で、目標に少しでも近づけるような転職(社内異動でもいいのです)をすれば、きっとAさんのキャリアアップにつながります。応援しています!

志村綾子

【この記事を書いた人】
志村綾子

Mentor For」公式メンター、日系及び外資系企業での人事経験を8年。現在は経営層に対する人事コンサルティングを実施する会社のパートナー。今までキャリアアドバイザーとして20代から50代まで、トータル1500名以上の方々の支援を実施している。 長くお付き合いする方も多く、30代でお会いし、現在ある会社の役員に昇格された方も。 キャリア女性へのメンターとしても活動中。子育てにも苦戦しながら、息子は大学生

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