女性コミュニティがキャリアに与える好影響とは? おすすめコミュニティ5選【連載:ITをカラフルにする現場から】
現在、日本のIT業界における女性技術者の割合は15%以下。日本で理系分野の学部に所属する男女比は、OECDワースト1位。この、テクノロジー分野のジェンダーギャップを解消するには…?一般社団法人Waffleの二人が「ITと女子」を取り巻く問題や、課題解決に向けての取り組みを発信していきます。
こんにちは。一般社団法人Waffleの斎藤明日美です。私たちはIT分野のジェンダーギャップを解消するために女子中高生向けのIT教育と政策提言を実施している非営利法人です。

日本でもジェンダー関連のニュースを目にするようになったこのごろですが、まだまだ女性がマイノリティの職場も多いのではないでしょうか。
そんな方にぜひ目を向けてみていただきたいのが、女性コミュニティの存在です。
今回は、海外やスタートアップの事例をもとに、IT業界の女性コミュニティの活動内容や、女性コミュニティがもたらす効果についてご紹介します。職場に同性が少なくて孤独や不安を感じている方やコミュニティを探されている方、これからコミュニティを始めたい方の参考になれば幸いです。
女性コミュニティの取り組み・効果とは?
女性コミュニティは、その名の通り女性のためのコミュニティで、女性や性自認が女性の方、およびその他のジェンダーマイノリティの方が安心してプロフェッショナルな議論やネットワーク形成が可能となる場のこと。
コミュニティのタイプもさまざまで、トークセッションとネットワーキングを目的としたイベントの実施や、カンファレンスの開催、一緒に技術の勉強をするためのものなどがあります。

女性コミュニティの効果のひとつが、ロールモデルとして尊敬できる女性に出会えることです。
職場環境のもたらす力は意外なほど大きく、例えば管理職に女性がいないような環境では、無意識に自分と管理職の関連性を薄く感じてしまうもの。「アンコンシャス・バイアス」という言葉もあるほどです。
しかしコミュニティであれば、部署や会社の壁を超えて様々なキャリアの女性を知ることができるので、多様なキャリアの選択肢に出会うきっかけとなります。

次に、同質なコミュニティにいることによる心理的安全性が挙げられます。
職場で女性が一人だけ、というような立場にいることで、自分がその場に「所属している」という意識を感じれない……という経験をした方もいるのではないでしょうか? また、技術系コミュニティで異性からの嫌がらせを受けるケースも、残念ながら耳にします。
それに比べて、女性だけのコミュニティでは自分が属しているという感覚が強く、また、セクハラにあう可能性もほとんどありません。
心理的安全性の高い場所で、プロフェッショナルな議論に専念することにより、自分のスキルに対する自信を育む場にもなります。
事例で見る女性コミュニティ≪5選≫
ここからは、コミュニティに興味のある女性にぜひ知っていただきたい具体例を5つご紹介します。
【Women Who Code (WWC)】
世界中で開催されているコミュニティで、日本にも『WWC Tokyo』というチャプターがあります。WWCでは、オンラインでの勉強会や、トークセッションを活発に行っており、東京の女性技術者コミュニティのハブとも言えます。
詳しくはこちら>>https://www.womenwhocode.com/tokyo
【Women in Data Science (WiDS)】
スタンフォード大学発祥のコミュニティであり、日本では『WiDS Hiroshima』として展開しています。グローバルではカンファレンスやワークショップが行われていて、日本でもトークセッションや勉強会が活発です。過去には量子コンピューターのワークショップや、AIの倫理に関するトークセッションも開催されていました。
詳しくはこちら>>https://widshiroshima.connpass.com/
【Women Techmakers Tokyo】
こちらはGoogleが主催するコミュニティで、過去には他社の女性エンジニアのボランティアとともに『DevFest Women Tokyo』という1,000人規模のカンファレンスも開催してきました。現在はオンラインの勉強会やトークセッションなどを不定期に開催しているようです。
詳しくはこちら>>https://wtm-tokyo.connpass.com/
【Mercari Dev Meetups】
メルカリが主催するコミュニティです。コミュニティ自体は女性限定ではないのですが、最近では女性向けのイベントにも注力しているようなのでぜひチェックしてみてください。
詳しくはこちら>>https://www.meetup.com/MercariDev/
【Grace Hopper Celebration (GHC)】
GHCは世界最大級の女性技術者カンファレンスです。世界中から多種多様な女性が集まるカンファレンスで、女性エンジニアとしては一度は行ってみたい夢の場所です(今年はオンライン開催なので叶うかも……?)。
カンファレンスの名前は、アメリカ海軍のエンジニアを務め、世界で初めて人間の言葉でプログラムを記述することを可能にしたプログラミング言語「COBOL」を開発したグレイス・ホッパー氏にちなんでいます。また、プログラムのエラーを「バグ」を名付けたのも彼女です。
詳しくはこちら>>https://ghc.anitab.org/

こちらにあげたコミュニティは、勉強会もさながら、女性のキャリア支援やエンパワメントの視点をもったものでもあります。例えば転職時の給与交渉や、キャリアの築き方などで不安になったときに、ぜひ覗いてみてください。
他にも、Pythonのコミュニティ『PyLadies』、Goのコミュニティ『Women Who Go Tokyo』など特定のプログラミング言語を勉強するコミュニティもあるので、そのような場でのびのびと勉強するのもおすすめです。

Co-founder of Waffle.org
斎藤明日美 Asumi Saito
1990年東京都生まれ。データサイエンティストとして外資系IT企業、AIスタートアップを経て、IT業界のジェンダーギャップを解消するべく一般社団法人Waffleを立ち上げる。2020年Forbes JAPAN誌「世界を変える30歳未満30人」受賞。米国アリゾナ大学大学院修士課程修了
@AsumiWaffle
『ITをカラフルにする現場から』の過去記事一覧はこちら
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