コロナ禍の転職で「完全在宅勤務」に初挑戦。新しい職場に早く馴染むためにやってよかったこと【時短転職体験記】
仕事か、プライベートか。働き方を二者択一で考える時代はもう終わり。「仕事のやりがい」も「子育て」も。全部諦めないと決めた“仕事大好きママ”の「時短転職」体験記をお届けします!
仕事も家庭も諦めたくない。どちらもやりがいを持ちたいーー。
育児との両立のため時短勤務を続けながら、転職活動を始めた私。前回のコラムでは、転職活動の末に2社から内定を得て、現在の会社に入社するまでの経緯と決め手について書きました。
>>スタートアップ転職で2社内定、どっちの会社に入社する?最終判断の決め手とは【時短ワーママ転職体験記】
無事に転職先が決まってほっと一息……と思いきや、入社時期が新型コロナウイルスの感染拡大と重なり、期せずして完全在宅勤務で仕事をスタートすることに。
人生初のフルリモート生活、新しい会社の人たちと直接会えない中で仕事をする不安……知らないことだらけの中で、試行錯誤することになりました。
「過去の転職とは違う」と念頭に置いて新生活をスタート
私が今の会社に入社したのは、2020年6月。1回目の緊急事態宣言が明けた時でした。
この時点で直属の上司には対面で会って話をしたことがありましたが、とはいえたったの「二回だけ」。上司の顔は分かるものの、仕事中の様子などはよく分かりません。
転職経験はこれまでにもありましたが、こんなに状況が見えない事態は初めてのこと。一番不安を感じたのは、一緒に働く人たちのことをよく知らないことです。
誰が何の仕事をしているのか、どんなキャラクターで、どんな仕事の進め方をする人なのか。そういう情報がなかったため、自分がどんな風に業務に入っていくのか、過去に転職した時以上に想像しづらい面がありました。
ただ、この環境になんとか適応するしかありません。
そこで、「今までの転職とは同じではない」「今の状況に合わせた工夫が必要」と決めて新生活をスタートすることに決めました。
「遠慮しない」「分らないままにしない」入社後に意識したこと
知らない人だらけの中でのフルリモート生活。「うまくいかないことが基本」と思って始めたものの、つまづくこともたくさんありました。
特に、「困ったときに、誰に何を聞けばいいのか分らない」というシーンはことあるごとに出てきます。
コミュニケーションは基本的にチャットやメールで行っていましたが、誰にチャットする? どうやってメールしたら伝わる? と悩んでいるうちに時間が経ってしまったり。
出社して働いていた時は、たとえ自分がその人と仕事をしていなくても、目や耳に自然とはいってくる情報から、「こういう時はこの人に聞けばいいのか」「こういう風に相談すればいいんだな」と無意識に判断していたんだなぁ……と痛感しました。
ただ、どうすればいいか悩んでいても状況は変わらない。ということで、チャット、メール、電話、ウェブ会議システムなど使える手段は全部使って、意思表示することを心掛けました。
例えば、「これってどうすればいいんだろう……?」 と困ったとき。私は次のことを意識するようにしました。
②回答で不明瞭な点があれば、そのままにせず理解できるまで質問する
③作業の優先順位や期限はテキストにして可視化、共有する
④テキストコミュニケーションで認識齟齬が起きそうな場合は電話で確認
⑤電話で話しても分らないことが残るようであれば、自分からオンラインミーティングの場を設定して、顔を合わせて話すようにする
仕事に関する知識や用語などはネットを使って調べればある程度は理解できます。しかし、その会社ならではのルールや、仕事の進め方は先輩社員の皆さんから学ぶしかありません。
ですから、こんなこと聞いたらダメかな……?なんて思わずに、どんどん自分からコミュニケーションをとって、疑問点をなるべく残さないよう質問を重ねるようにしました。
また、「誰に聞けばいいのか」分らない質問は、上司に聞いてみるという手もありますし、部署のメーリングリストや、グループチャットなど、複数の閲覧者がいる連絡先に質問を投稿してみるという手段もあります。
最初は知らないことばかりですが、いろいろな人に質問して、回答をもらっていくうちに、社内ルールや仕事の進め方、社員の人間関係なども見えてきて、効率よく動けるようになっていきました。
今は誰に何を聞けばいいのか分かるようになり、多方面にチャットなどで質問を投げかけることはなくなりましたが、入社したばかりの時期に、遠慮せずにいろいろな部門の人に質問したおかげで、その後の仕事に役立つ社内のつながりができたのは思わぬ副産物でした。
相手との距離を縮めるための、ちょっとしたポイント
ただ、仕事の進め方が分かってきても、社員一人一人のパーソナリティーまでは見えにくいもの。
出社して一緒にオフィスで働いていれば、ちょっとした雑談やランチなどでその人のことを知るきっかけが得られやすいですが、フルリモートワークだと、業務以外で相手を知る機会がとても少ないと感じました。
そこで私はなるべく早く相手のことを知り、自分を知ってもらうために、次の手段を取りました。
・チャットやメールで要件だけ伝えるやりとりは相手に冷たい印象を与えがちなので、なるべく柔らかい語尾を使って文章を書く
・オンライン会議の定刻数分前にログインし、早めに会議に入ってきた人と雑談して過ごす
・仕事に慣れてきたら自分から1on1をセッティングし、お互いに自己開示できる時間を設ける
相手を知り、いい関係を築こうと思ったら、やっぱり待っているだけではダメ。話し掛けてもらいやすい雰囲気をつくるために、自分から自己開示することを心掛けました。
また、上にも書きましたが、チャットにスタンプで反応するというのは、とても些細なことですが、他の社員と仲を深める上で役に立ちました。
後になってチームのメンバーから聞いたのですが、「あ、永見さんちゃんと読んでくれてるんだ! って分かってうれしかった」とのこと。
誰にでもできる“ワンクリック”ですが、反応するのとしないのとでは相手に与える印象は大違い。チャットやメールに「見たよ」と反応するだけで、自分の存在を知ってもらうきっかけになると感じました。
そして、テキストコミュニケーションがベースとなった今、特に意識しているのは言葉のチョイスです。やわらかい印象を与える言い方、カチっとした印象を与える書き方など、TPOと目的を意識しながら文面を作るように工夫しています。
また、「オンライン会議の定刻数分前に入って、早めに会議に入ってきた人との雑談時間を確保する」のはとってもお勧め。上記にまとめたポイントの中でも、これは特にやってよかったと思うことです。
時短勤務でフルタイムの社員より勤務時間が短く残業もできない分、こういうミーティング前のちょっとした時間の有効活用も大切。偶然そこに居合わせた人たちと何気ない会話を交わすことで、人間関係が深まっていったと感じます。
今、フルリモートワーク生活を開始してから1年半が経ちました。
試行錯誤をしながら新しい職場でやってきましたが、個人的に「役だった」と感じることをまとめてきたので、ぜひこれから転職する方、転職したばかりの方の参考になれば、と思います。
仕事も家庭も「どちらも諦めない」は、工夫次第でかなえられる
さて、この連載では、マミートラックの真っ只中にいた時短勤務ワーママの私が、「やりがいのある仕事」と充実した両立生活をかなえるために転職活動へと踏み出し、入社後フルリモートの仕事に慣れるまでの体験談を綴ってきました。
現状を変えるためには、行動することが必要です。しかも、子育てとの両立で時間がない中であれば、なおさら覚悟も必要だと思います。
でも、時短勤務で子育て中でも、やりがいのある仕事を諦めなくていい職場や働き方は、探せば必ずあるものです。今は、時短勤務で働きたいワーママを歓迎してくれる職場も、転職エージェントもあります。
「時短勤務で転職なんて無理でしょ」とやってみる前に諦めず、思い切って一歩踏み出した今だからこそ、力強くそう言える自分がいます。
もし、「もっと活躍したいのに」と今の職場でモヤモヤしながら働いている以前の私のようなワーママの皆さんにこの記事を読んでいただけているなら、「私ができたんだから、あなたにもできるよ」と言いたいです。
皆さんの新たな一歩を、応援しています!
文/永見 薫