トリンプ 野坂絵美さん/“かわいい”って何? 分からなければ分かるようになればいい!【連載:ワーキングビューティー・アルバム Vol.6】
仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。

トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社
MD2部 1課 専任係長
野坂 絵美さん
2006年に新卒で入社。百貨店ブランドのアシスタントとして半年間勤務した後に『アモスタイル』の商品企画に異動。現在に至る。
今回紹介するワーキングビューティは、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社に勤める野坂絵美さん。
下着メーカーとして日本で知らない女性はいないほどの大手である同社に新卒で入社した野坂さん。主力ブランド『AMO’S STYLE』を担当し、『夢みるブラ』の商品企画を主に手掛けている。早くから大きな仕事を任されてきた、その理由とは――。
ハートとリボンがきらめくブランドの世界観
自分の好きなものを追い求めるだけじゃ『AMO’S STYLE』は作れない
編集部:下着の商品開発とはどんなお仕事なのですか?
わたしの仕事は、トリンプの直営店ブランドである『AMO’S STYLE』の商品企画です。主に、ブランドのメインのシリーズである『夢みるブラ』のデザインや商品マネジメントをしています。
昨年12月に販売開始した、2012年の春夏の新作が最近世に出たわたしの仕事ですね。MD担当が作った販売の設計図に合わせて、企画チームが、そのシーズンにどういう商品が売れるか、現状の売上げ分析などを盛り込んで具体的に商品開発をするんです。新しいレースを開発したり、カラー展開を考えたり、売上げが悪いものに対しては改善提案などもしています。
編集部:レースを作るところからデータの分析まで手掛けられるんですね!
そうですね。それだけに関わる人も多いので大変です。例えば、レースの開発も、まず、レースメーカーさんに直接伺って、トレンドマップや人気の柄の傾向などをお聞きして、デザイナーを交えての商談となります。
仕事の中で好きなフェーズは、やっぱりデザインを考えているとき。「こういうアイデアはどうか」なんてイメージをデザイナーさんに伝えて、一緒に作り上げていく工程が一番楽しいですね。
最初の頃は、デザインのアイデアが浮かばなくて困った時期もありました。『AMO’S STYLE』チームに配属されてから、「かわいい」の難しさを知ったというか、仕事に慣れるだけで精一杯だった1年目が落ち着いて、いざデザインに力を入れようってなったとき、「『かわいい』って何だろう!?」みたいな(笑)。
わたし自身はどちらかと言うと「かっこいい」ファッションが好きなので、「かわいい」を表現するストックが自分の中にあまり無かったんですよね。
「このままじゃ『AMO’S STYLE』のラインは任せてもらえない! かわいいものを自分の中に蓄積しよう」と思って、かわいいものをいろいろ集めるようになりました。全部買うのは大変なので、雑誌などを見て、『AMO’S STYLE』の客層にウケそうなモチーフやデザインをスクラップしているんです。今もそこからレースの柄やデザインのヒントを得たりしています。
デザインした商品が大外し
自分の能力を信じられなくなった

編集部:自分に足りないと思ったものをカバーする努力をされてきたんですね。他にも苦労されたエピソードなどはありますか?
入社して2年目、その年のクリスマスのメイン商品を担当したのですが、そこで大きく売上げを外してしまったのが最大の壁でした。
『AMO’S STYLE』の中でも売上げの大きいシリーズを任された上に、目標もかなり高くて。どういう商品にしたらいいかすごく悩んだ挙句、過去の売れ筋商品のディテールを変えたデザインでいくことにしました。そうしたら、「既存のものと似ている」というお客さまの声が多く、売上げは落ちてしまったんです。ものすごい金額の損害を出してしまい、さすがに悩みました。「自分の個性はブランドに合ってないんじゃないか」「わたしが作るものはお客さまにはウケないんじゃないか」と、自分は向いていないという思いが湧き上がってしまったんです。
編集部:どうやってその出来事を乗り越えたのですか?
その失敗は大きかったのですが、それまでの実績を買っていただき、次に『えらべるブラ』という、「夢みるブラ」に並ぶ『AMO’S STYLE』の柱となるシリーズを担当することになりました。「また失敗したらどうしよう……」という不安でいっぱいでしたが、上司や先輩が「やれる」と思って期待してくれているから仕事があるんだと自分に言い聞かせました。
細かく売上げデータをとって、現状分析などに力を入れて商品を作った結果、それがヒットしたんです! そこで挽回できたことで自分に自信が戻ってきましたね。
今でこそ「コレは売れそうだな」と何となく分かるようになりましたが、それもあのときの失敗があってこそ。新しいことにチャレンジしていかないとお客さまの目にも新鮮に映らないということを学びました。
前向きな気持ちで常に挑戦を忘れなければ
結果とチャンスは巡ってくる
編集部:「新しいことにチャレンジする」という姿勢は今の仕事観にも繋がっているようですね。
入社当時から「何でもやります!」っていう姿勢でいたので、仕事観がガラッと変わったわけではないかも(笑)。
異動して、『夢みるブラ』の担当になったときに、「もっと経験がある人はほかにもいたのに、何でわたしなんですか?」って上司に聞いたことがあるんです。そのときの答えが、「野坂の長所である、任された仕事に対して責任を持って全うするところと、現状に留まらないアグレッシブさに期待している」という言葉でした。つまり、いつも「次はあれをやりたい! これもやってみたい!」と周囲に言っていた姿が、「何かやってくれそうだな」と思わせたということみたいです。だから、仕事観というほどではありませんが、常に前進する前向きな気持ちでいれば、結果とチャンスは巡ってくるのかな、と思っています。
編集部:見た目はクールビューティーですが、意外と熱血キャラ?
いやいやいやビューティーとかじゃないんで(笑)。
熱血キャラのつもりはないのですが、今でも頼まれてもいないのに首を突っ込んだり、「作ってみちゃいました」なんて言って作らなくていい商品を提案したりはしますね。それが意外と通ったりするんですよ!
でも、組織としては、わたしみたいな人間だけだと回らない。任された仕事をきっちりこなす人や、意見をまとめる役の人もいるから、チームがうまく回っているんだと思います。
編集部:確かに、先ほども多くの人と関わる仕事だとおっしゃってましたね。
就職して、学生時代と大きく違うと感じたことの1つがコミュニケーション能力の必要性。
大学では絵画をやっていたので、自分と向き合うことが多かったのですが、仕事では人と向き合わなきゃいけない(笑)。取引先との打合せ、社内のMTG、商品のプレゼンをするときなど、自分の言葉1つで商品を良くも悪くも表現してしまう怖さを社会人になってから感じました。
人付き合いが苦手って性格でもないので、そこまでコミュニケーションで苦労したことはありませんでしたが、3年前から後輩が付くようになってからは日々試行錯誤しています。
最初は、人を育てるってどうやったらいいのか本当に分からなくて、厳しくし過ぎてしまったり。今は、相手に信頼されるコミュニケーションを心掛けているので、褒めて伸ばす方法も覚えましたけどね。
わたしを信頼してくれていたら、良い仕事で返してくれる。これは後輩だけでなく仕事で関わる方すべてに言えると思います。まだ、どう接したらいいのか分からなくて悩むこともありますが、持ち前の前向きな姿勢で仕事にも人にも向き合っていきたいと思います。
「何でもやります」という若手らしさと、後進を育てるベテランの役割。常に前向きに挑戦する精神で、その両方をバランスよくこなしているように見える野坂さんも、同僚の前でグチを言うこともあるというが……「でも、文句を言っているだけじゃ何も始まらない。発散しきったら気持ちを切り替えてまた前を向くんです」と、やはりポジティブ。悩みにぶつかっても必ず乗り越えられる、その信念が彼女の瞳の輝きの秘訣かもしれない。


取材・文/根本愛美(編集部) 撮影/竹井俊晴
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