菊間千乃がアナウンサーから弁護士に転身後の約11年間を振り返る「欲望に向かって行動した先には、ハッピーしか待っていません」
過去に注目を集めた人や出来事の「今」にフォーカス。話題になった女性たち、女性の生き方や仕事に関わる出来事……その後、本人や社会にはどのような変化があったのだろう。
Woman typeでは2012年、フジテレビのアナウンサーから弁護士に転身し、第二のキャリアをスタートした直後の菊間さんにお話を聞いた。
今は、お仕事が楽しくて楽しくて仕方がない。毎朝事務所に出勤できるのがうれしくて、つい早起きしちゃうんです(出典)
あれから約11年。「もうすぐ弁護士のキャリアの方が長くなる」という菊間さんが、これまでを振り返る。
>>以前の菊間さんのインタビュー記事:女子アナから弁護士へ。事故をきっかけにリハビリを経てゼロからの再スタート
弁護士法人松尾綜合法律事務所
代表パートナー
菊間千乃さん
1972年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、95年にアナウンサー職でフジテレビに入社。98年、生放送中にビルから転落して重傷を負うが、翌年に復帰。2005年より、仕事と並行して大宮法科大学院大学に通学。07年12月にフジテレビを退社してから、2度目の挑戦で司法試験に合格。1年間の司法修習を経て弁護士法人松尾綜合法律事務所に入所し、12年1月より弁護士として活動を開始。紛争解決、一般企業法務、コーポレートガバナンスなどの分野を中心に幅広い案件を手掛ける
Instagram、弁護士法人 松尾綜合法律事務所 Matsuo & Kosugi
弁護士の世界には思わぬ仕事が広がっていた
私が弁護士になって、もう11年がたつのですね。
今の私は、前回『Woman type』さんの取材を受けた頃には想像もしていなかった仕事をしています。
クライアントさんの相談を聞いて書面を書き、法廷で証人尋問を行って判決をもらい……という日々を繰り返すのが、当時の私の弁護士のイメージ。
報道や中継、バラエティーなど、さまざまなジャンルで仕事ができるアナウンサーと比べれば、弁護士の仕事の幅はもう少し限定されるのではと想像していました。
ところが、実際は逆。「法律の専門家」をキーワードとした弁護士の仕事のバリエーションは、アナウンサー以上です。
私は主に企業法務の弁護士として、紛争解決や予防法務業務を担当していますが、もう一つ、仕事の中で大きな割合を占めているのが、社外取締役の業務です。
私が弁護士になってからの約11年で、企業における社外取締役の重要性が増しました。
女性の管理職比率を2020年までに30%にするという国の当初の目標があり、社内からそれだけの女性をいきなり選抜することは難しいということで、女性の弁護士や公認会計士、大学教授などに社外取締役のオファーが来るようになりました。
コンプライアンスやリスクマネジメントなどにおいて客観的な視点から、経営の透明性、健全性を図ることが期待されています。
ガバナンスやコンプライアンスはあらゆる組織で重視されていて、2024年のパリオリンピックでの日本選手団の公式服装選定委員会など、最近では国の委員会に参画する機会もあります。
意思決定の場に女性を一定数入れなければいけないという考えは、少しずつ日本でも浸透してきている感じがしています。
それができれば十分というわけでは当然ありませんが、周りを見ても、複数の企業や団体の役員を兼務している女性の弁護士はとても多く、活躍の場は広がっているなという印象です。
まあこれも、社内の女性役員が育つまでの場つなぎだと思います。
いつまでも女性弁護士が社外取締役をやるとは思っていませんが、いずれにせよ、自分が弁護士になった頃はこのような役割を担うなんて想像もしませんでした。
ましてや自分が取締役になるだなんて、会社員の時は考えもしなかったですから。
仕事のご褒美は、やっぱり仕事で返ってくるもの。活動の幅が予想外に広がったのは、これまでいただいた仕事を一生懸命やってきたから、ということなんでしょうかね。
特に弁護士は指名で依頼が来る仕事ですので、全ての仕事で自分自身が試され、うまくいかなければ次につながらないという緊張感はあります。
職業によって仕事の内容はさまざまですが、どんな仕事も相手があることなので、相手に対して心を込めるというところは、大事かなと思っています。
例えば、弁護士の仕事の一つに、代理人として裁判期日に出たあと、依頼者に対してその内容の報告をする「期日報告書」の作成があります。
新人の頃の私が担当したある案件の依頼者は、80代の方でした。事務所には期日報告書のフォーマットがあったのですが、その書式ではフォントが小さくて、ご年配の方は読みにくいかなと思ったんです。
それでフォントを大きくし、行間も空け、書式を変えて報告書を作成しました。
そうしたら、「こうやって読み手のことを考えて書類を作った弁護士はいないよ。菊間さんすごいね」とボスが驚きながら喜んでくれて。実際クライアントさんも、読みやすいと喜んでくださいました。
当時の私は新人で、知識や経験では先輩にかなわない。でも、「相手に対して心を込めて仕事をするときちんと伝わるのだ」と思えたことは自信になりました。
メールを出す、電話をかけるといった日常の仕事も、そこに一つ心を込めることはできるはず。「与えられた仕事」「ルーティンの仕事」と思っていては、そこで終わり。
どのような仕事であっても、その先を考え、心と心が通う仕事を意識することが、自分を成長させることになるのだと思います。
11年前は「元アナウンサー」と言われるのが嫌だった
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