『Chat GPT』で仕事が激変? AI時代に女性が長く働き続けるために磨いておきたいスキルとは【田中美和】
2022年11月に登場して以降、人工知能(AI)を使ったチャットサービス『ChatGPT』が話題です。
皆さんはこの『ChatGPT』をすでに使ってみましたか? 2023年3月には、最新版の『ChatGPT-4』も公開され、これまで以上の高い機能が注目されています。
また、この1カ月ほどの各社のプレスリリースを見ていても、
「ChatGPTによる新型AIキャラクター開発」
「ChatGPT×コンテンツマーケ SEOに配慮したリライトが効率的に」
など、新たなビジネス場面での活用事例が毎日のように生まれていて、テクノロジーに何となくうとい人や、苦手意識がある人も「無視できない」レベルまで浸透してきていますよね。
『ChatGPT』に代表される生成AI(※)ツールは、確実に私たちの仕事のあり方を変えていくでしょう。
(※)画像、文章、音声、プログラムコード、構造化データなどさまざまなコンテンツを生成することのできる人工知能のこと
生成AIの代表的な活用事例を五つ紹介
では、具体的にどういった活用方法がありえるのでしょうか? 「まだ『ChatGPT』を使ったことがない、生成AIツールになじみがないという人のために、代表的なものを五つ挙げてみたいと思います。
ぜひ、皆さんのいつもの仕事場面を思い浮かべながら読んでみてください。
1)コンテンツ制作
AIツールは、マーケティング資料やブログ記事、SNS投稿などのコンテンツ作成を支援することが可能です。
実際、ChatGPTを活用したコンテンツ作成支援ツールも生まれつつあります。これにより、コンテンツ制作のプロセスが効率化されます。
2)リサーチ支援
AIツールは、社内外の情報検索・収集に役立ちます。
実際、私も記事を書いたり企画書をまとめたりする際に『ChatGPT』でリサーチして、ざっと情報を集めるような場面で使っています。
書かれている情報が事実かどうか確認する必要はありますが、膨大な情報の中から要点を体系立ててつかむような場面で非常に役立ちます。
3)人事管理や採用支援
応募者のスクリーニングや面接日程の調整などを自動化することによって、採用プロセス全体を効率化することができます。
また、従業員の研修やパフォーマンス管理にも役立ちます。
4)会議の日程調整や管理
AIツールを使うことにより、会議のスケジュール管理をおこなったり、リマインダーを送信したり、議事録の作成をしたりすることができます。
知人の話ですが、これまで秘書に依頼していた日々のスケジュール管理や出張のチケット手配などをAIツールを組み合わせて自動化したケースもあると聞きました。
5)データ分析とレポート作成
AIツールは、各種データの収集・分析と可視化を支援し、示唆を提供します。
これにより、私たちはビジネスにおける意思決定をデータにもとづいてスピーディーにおこなうことが可能になります。
「AIを知る」ことから始めて、仕事の中で活用してみる
上記はあくまで一例にすぎません。皆さんの仕事には、他にもたくさん「AIにできること」が存在しているでしょう。
そして、これからの仕事がどう変わっていくのか、これからのキャリアをどうつくっていけばいいのか、私たちは考え直すべきタイミングを迎えていると思います。
その上で大切なのは、まず「AIでできること」についてよく知り、自分の仕事にどう活用できるか考えてみることです。
生成AIにもさまざまなツールが誕生していますが、『ChatGPT』に関して言えば、GPT-3は無料で誰でも使えるので、ちょっとした調べものなどからまずは使って「どういうものか知る」ことができるといいですね。
また、世界最大規模のオンライン学習プラットフォーム『Udemy(ユーデミー)』の講座ラインアップを見てみると、「はじめて使うChatGPT講座」「ChatGPTをあなたの戦略コンサルタントとして活用する」といった内容が展開されています。
今後は、『ChatGPT』を仕事でうまく活用できるかどうかが、働く人個人にとっても重要なスキルの一つになると言えそうです。
独学できるか不安な人は、こうしたオンライン講座を活用しながら知識を得て仕事に生かしていけるといいかもしれませんね。
AIにできない「感情理解」「人材マネジメント」スキルは今後ますます重要に
AIの進化による恩恵はさまざまある一方で、私たちはAIが一部の仕事を奪う影響についても考えておかなければいけません。
以前、大手IT企業・IBMのCEOが「今後数年で約7800人分の職がAIに置き換わる可能性がある」とし、一部職種の採用を一時停止するとの見通しを発表しています(※1)。
では、AIが代替しづらい仕事とは、一体どんな仕事なのでしょうか。
ざっくり言うと、人間の感情や創造性、社会的スキル、倫理的判断、複雑な問題解決に関連したものだと考えられます。
例えば、顧客とコミュニケーションをとり、真のニーズを探りながら適切な提案をおこなって成約まで持っていく営業の仕事。営業フローの中の一部をAIに任せたとしても、その職業自体がすぐになくなってしまうことはないと思います。
また、カウンセリングや看護・介護などの職業も、人間の感情への理解や共感、温かみが重要な仕事ですから、現在のAI技術では完全に代替することはできないでしょう。
さらに、経営者やマネジャーは、人間関係の構築、リーダーシップ、戦略的思考などの高度なスキルが必要な仕事なので、現在のAI技術では代替できません。
日本の女性管理職比率は12%程度と他の先進国に比べると極めて低いのですが、皆さんが勤めている会社でも女性管理職比率向上へ向けて研修や育成プランが展開されつつあるのではないでしょうか?
これはチャンスです。「AI時代に稼ぎ続けられる私」であり続けるためにも、こうした研修や育成の機会を最大限に生かし、新しい役割に挑戦しマネジメントスキルやリーダーシップを磨いていけるといいですね。
ちなみに、リーダーシップの話題になると「私はリーダに向いていないので……」と言う人がいるのですが、そんなことはありません!
「リーダーシップは、共通の目標の達成に向けて、一人の個人が集団に影響を与えるプロセス」(※2)なので、特別な人だけのものではなく、すべての人がリーダーになりえますし、経験と学習により習得可能なスキルだと言えます。
技術革新はまだまだ続く。「学び続ける」習慣を付けよう
また、生成AIの進化はまだまだこれから続いていくでしょうし、AI技術以外にもさまざまなテクノロジーが登場してくることが予想されます。
それらの技術に仕事をとってかわられて置いてけぼりになってしまう……そんなふうにならないように、市場のニーズを見極めながら、新しい技術を学び、それをどう仕事の中で生かせるのか考え続けていかなければいけません。
これは、誰しも避けられないことなので、どうせなら楽しみながらテクノロジーに触れていきたいところです。
新しいものが出てきたときに「これはどんなものだろう」「どんなふうに役立つんだろう?」とワクワクしながら使ってみる、そういう柔軟性やフットワークの軽さを大切にしていきたいですね。
リスキリングを習慣にしながら、変化の時代を楽しく乗り越えていきましょう!
(※1)「IBM、7800人の職がAI置き換わりも 採用一時停止へ」
(※2)『キャリア心理学から読み解く 女性とリーダーシップ』(ミネルヴァ書房)
『ニューノーマル時代のLive Your Life』の過去記事一覧はこちら
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