17 SEP/2016

2020年以降、格差が広がる社会で“稼げる女”でいるために知っておくべきこと――「どんな仕事をして、何のスキルを磨けばいいの? 」【経済のプロ崔真淑が未来予測:後編】

前編では、今後10年の間に起こる労働市場の変化や、そのような社会環境の中で活躍できる人材の特徴について紹介した。後編ではそれと関連し、これからますます市場価値が高まる職種、つまり稼げる仕事は何なのかを見ていきたい。後編でも引き続き、マクロエコノミスト、崔真淑(さい・ますみ)さんにお話を伺った。

美的センスに、感情的なコミュニケーション
人工知能が苦手とする領域の仕事をカバーして稼ぐ!

マクロエコノミスト 崔 真淑さん

マクロエコノミスト
崔 真淑さん

Good News and Companies代表。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。化粧品会社エイボン・プロダクツ社外取締役。1983年生まれ。神戸大学経済学部、一橋大学大学院(ICS)卒業。MBA in Finance。大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)では株式アナリストとして活動し、最年少女性アナリストとして株式解説者に抜擢。2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説をメディアや大学などで行う。若年層の経済・金融リテラシー向上をミッションに掲げる。
Good News and Companies
http://www.goodnews.jp.net
エイボン・プロダクツ
http://aboutus.avon.co.jp/

「人工知能の苦手分野は、美的センスや感情が必要となる領域」と崔さん。

人工知能はあくまで過去のデータを元に最適解を導きだすもので、流行やアートなど、論理的に説明しがたいものへの応用は難しい。

「例えば、ビューティーアドバイザーなど美容に関わる仕事や人の心を癒すセラピストのような仕事は、データだけでは補いきれない要素が多いので、人間の仕事としての価値を増していきそうですね。

いずれも、今はあまり“お給料が高い職種”というイメージはないかもしれませんが、今後は稼げる職種として市場価値が高まっていきそうです」

これから長く働き続けるためのキャリアチェンジを考えている人は、“機械にカバーできない仕事”とは何かという視点を交えて職業選択をするのも1つの手だ。

さらに、「企業経営こそ、データ化できないものの代表格。経営判断を下す社長業も、まさに人工知能にはカバーできない領域です」と崔さん。

一人ひとりがよりいっそう経営的な視点を磨くことが、今後も長く働き続ける基盤となる。

今現在営業をしている女性であれば、目の前の売り上げアップにもつながりそうだ。

これから先も長く働き続けるために必要な+αのアクション

また、日本の平均年収の中央値は400万円前後だが(女性だけに限定すると、さらに低くなる)、現在、高額所得者と年収200万円を切る潜在的貧困層の両極化が進んでいる。

崔さんは「この先、年収100万円台の働く貧困層も増えていく」と見ているそうだが、いわゆるワーキングプアとは無縁の“市場価値の高い女性”であり続けるためにはどうすればいいのだろうか?

マクロエコノミスト 崔 真淑さん

「当たり前のように聞こえるかもしれませんが、最も大切なものはコミュニュケーション能力を磨くこと。営業職の仕事を事例にするなら、人工知能が営業先リストの最適化を行い、そこに対人スキルの高い人間が出向いて受注を取る。これが実現できれば、最強のタッグになりますよね。

それに、“この人がいるだけで職場の雰囲気が明るくなる”とか、“癒される”とか、感覚的にでもそう思ってもらえたら勝ちなんです。そういう人は、絶対に組織に必要とされるし、機械では代わることができない。ここでもコミュニケーションや対人スキルが活きてくるわけです」

もしもコミュニケーションに苦手意識があるなら、「それが得意な人と一緒にいればその力が身に付く」と崔さんはアドバイスする。

「人間とは周囲の環境によって大きく変化するもの。自分の中に『こうなりたい』という思いがあるなら、そういう人が出入りする環境に身を置くようにするのが一番の近道です」

そういう意味では、「すごい」、「こうなりたい」と思える同僚・先輩・上司が多くいるような環境に思い切って転職してみることも、自分をワンランク上のステージに上げる近道になりそうだ。

「イベントや勉強会でもいいですし、自分のスキルを活かすプロボノというボランティア活動をするのもいいと思います。既存の人間関係だけでなく、外の世界に出ることで刺激を受け、自分の可能性を広げていくことが必要ですね」

日々の仕事に問題意識を持って取り組むこと。自分の価値を高められる環境に身を置く選択をすること。明日からでも始められることはたくさんある。豊かな人生を、自立して歩んでいくために、改めて今の働き方を見直してみてはいかがだろうか。

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