AIによる女性差別、防げないDV、薬が女性に効かない可能性…各分野のジェンダーギャップは、私たちに無関係ではない/Woman type特集まとめ
日本の大きな課題である男女不平等。それによって、私たちの生活にはどのような影響が生じているのだろう。意外な分野で生じている課題について探ってみよう

2023年に世界経済フォーラムが発表したジェンダー・ギャップ指数では、日本は146カ国中125位という過去最低の順位を記録。
政治の分野や企業の管理職における女性比率が低いことは認知している人も多いかもしれませんが、実はあまり知られていない分野にもジェンダーギャップが潜んでいること、そしてそれが世の中全体や私たちの日常にも影響を及ぼす可能性があることを、働く女性たちに知っていてほしい。
そんな思いを込めて、6月のWoman typeの特集では、防災、AI、DV・性暴力、基礎研究の四つの「意外な分野」におけるジェンダーギャップをご紹介しました。
今回は、本特集の記事を一挙にご紹介します。

世界の中でも日本は特に自然災害の多い国とされていますが、そこにジェンダーギャップの問題が潜んでいることを知っていますか?
内閣府の調査によると、全国の市区町村で防災担当部署に配置されている女性職員の割合は9.9%にとどまり、女性職員がいない市区町村も6割存在しているとのこと。
この現状を踏まえて、静岡大学教授の池田恵子さんは「防災の現場に女性が少ない現状は、いざ災害が起こったときにさまざまなリスクをもたらす」と警鐘を鳴らします。
詳しく話を聞くと、「女性ゼロ」が引き起こす災害時の深刻な事態のみならず、その後の女性のキャリアにも関係する根深い問題が見えてきました。

『Chat GPT』をはじめとする生成AIが日々進化を遂げ、その生成物を目にする機会も多くなったのではないでしょうか。しかし、AIが生み出すものがいつも正しいとは限りません。
NPO法人Waffle Co-Founderの斎藤明日美さんは、「そのつくり手やルールメイキングをする人たちが男性・白人など特定の性別・人種に偏っている場合、AIが女性含むマイノリティーに対する差別や偏見を強化してしまう可能性もある」と話します。
AIが差別や偏見を強化するとは、一体どういうことなのでしょうか。

被害者の9割が女性であるドメスティックバイオレンス(DV)の背景には、男女不平等の問題があることは簡単に想像がつくでしょう。
しかし、DV発生後は加害者をどのように罰し、被害者にどのような対応をしているのかと問われたら、答えられる人はそう多くないかもしれません。
長きにわたりDV問題に向き合ってきた公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さんに聞くと、「DV防止法の柱は被害者保護と予防の二つ。実は、加害者への罰則はない」と耳を疑うような回答が返ってきました。
一体なぜ、そんなことが起きてしまっているのでしょうか?

医療の発展において重要な役割を担う基礎研究の現場では、オスのマウスしか実験に使用されないーー。
「研究の分野ではそれが当たり前」と衝撃の事実を教えてくれたのは、九州大学大学院准教授の溝上顕子さん。
溝上さんはそんな“当たり前”がある中、オスとメスの両方のマウスを用いて実験を行い、肥満を抑えると期待される物質「オステオカルシン」効果に性差があることを発見しました。
「薬の治験も男性をメインに行うため『同じ薬が男性には効くけど女性には効かない』こともあるかもしれません」(溝上さん)
そもそも生物学的に体のつくりが異なるオスとメスで実験結果に差異が出そうなことは、研究開発の現場からは縁遠い私たちでも想像がつきます。
それなのになぜ、研究開発の分野ではこのようなことが起きているのでしょうか?
『意外な分野のジェンダーギャップ』の過去記事一覧はこちら
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