ネガティブな退職理由はどう伝える? 早期離職後の「今度こそ失敗したくない」女性にキャリアアドバイザーが回答
「どうやったら転職はうまくいく?」「私に向いている仕事って何?」はじめての転職には悩みや迷いがつきもの。長く自分らしく働き続けるための転職のコツを、キャリアアドバイザーが伝授!
ネガティブな理由で退職したけれど、気持ちを切り替えて新たな一歩を踏み出したい。
でも、採用面接で退職理由を伝えると、マイナスなイメージを与えてしまいそう……。ネガティブな退職理由はどのように伝えたらいいの?
そんな20代女性のお悩みに、キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんが回答します。
【今回の相談】ネガティブな退職理由は、面接でどのように伝えるべき?
前の職場の風土に適応できず、すぐに辞めてしまいました。
再就職に向けて動き出しましたが、不適応が原因で早期離職しているため、採用してもらえるか不安です。
前の職場でうまくいかなかった事実はどのように伝えるべきでしょうか?
・ネガティブな退職理由は「具体的に」伝えよう
・面接では退職理由よりも、志望動機をメインに伝えよう
・転職活動を成功させるためには、一度立ち止まって心を整えよう
ネガティブな話こそ、具体的に伝えよう
「面接で、正直にネガティブな退職理由を伝えてしまうと不利になるのでは……」と考える人は多いと思います。
しかし大前提として、面接の時にうそをついたりごまかしたりすると、入社後の自分を苦しめることになるため、おすすめしません。
その上でどのような伝え方をするべきかというと、できる限り具体的にお話しするといいと思います。
人はあいまいな話をされると懐疑的になってしまうもの。「前の職場に適応できなかった」とだけ聞くと、想像で足りない情報を補ってしまうこともあるかもしれません。
特に面接官は、履歴書を見て早期離職した事実を知った状態で面接に臨んでいるため、すでに不安やマイナスなイメージを少なからず持った状態であることが想像できます。
その不安を安心に変えてあげるためにも、ネガティブな退職理由こそ具体的に伝えるのがいいでしょう。
「オーバーワークが常態化していて、人の入れ替わりが激しい職場だった。同僚も3カ月程度で離職する人が多かった」
「パワハラ気質の会社で、殺気立った雰囲気だったので落ち着いてキャリアを積めるイメージが湧かなかった」
このように、早期退職もやむを得ないと思える外的要因があったことが分かれば、面接官の印象も大きく変わってくるはず。
まずは「何が不適応の原因だったのか」を自分の中で整理し、言語化してみましょう。
問題をきちんとかみ砕いて自分の中で整理できていれば、ネガティブな退職理由も相手に不安を抱かせない伝え方ができるはずです。
一つだけ注意したいのが、前職の悪口にならない言い方を心掛けること。
つい必要以上に前職の悪口を言ってしまう……なんてことにならないよう、事実のみを客観的に伝えられるといいですね。
退職理由は、志望動機ではない
ネガティブな退職理由を伝える際に気を付けたいのが、退職理由を志望動機にすり替えてしまわないこと。
例えば、人間関係が理由で退職した人が「御社を志望した理由は人間関係が良さそうだから」と言ったとします。
それを聞いた面接官からすると、入社してから何がしたいのか、どんな貢献をしてくれるのかイメージが湧かず、採用するメリットを感じづらくなってしまいます。
また、人間関係のことばかりを気にしている印象を与えると、「同じ理由でまた離職してしまうのでは……」と不安にさせてしまう可能性も。
面接では、「前職でかなわなかったことを、ここでかなえたい」という伝え方をするのではなく、「この会社に入社して何がしたいのか」「自分の強みを生かして会社にどのような貢献ができるのか」を軸に話をすることが大切です。
転職を考えるきっかけとなった出来事として退職理由を伝えるのはいいですが、あくまでも気持ちを切り替えて、新しい会社で頑張りたいことをメインに伝えることで、面接官にポジティブな印象を与えられるでしょう。
「早く転職先を決めたい」時こそ、一度立ち止まってみて
普段カウンセリングをしていて感じるのが、Aさんのように早期退職してしまった方は、「早く次の職場を決めなきゃ」と焦って転職活動に取り組む人が多いこと。
でも、こういう心理状態の時ほど、うまくいかないことが多いので要注意です。
前向きに自分をアピールできる心理状態になっていないまま転職活動をスタートした結果、漠然とした不安ばかりが先に立ち、どの会社に対しても懐疑的になってしまう。
これまで、そんな人を多く見てきました。
そうすると、つい面接でもうたぐり深い質問をしてしまうなど、態度ににじみ出てしまうんですよね。
ですから私はいつも、「焦って転職活動を始めないで、まずは気持ちを整える時間をつくりましょう」と話しています。
一度落ち着いて、改めて前職のことを振り返る時間を取り、「失敗の原因は何だったのか」「どうすれば防げたのか」を考えてみる。
そうすると、問題の根幹を明らかにすることができ、漠然とした不安を取り除くことができます。
例えば、「入社するまで、こんな風土の会社だなんて気付かなかった」と話していた方に、入社前の段階で本当に何も感じなかったのかを聞いてみると、「そう言われてみると、面接の時に少し違和感があったかもしれない……」と、記憶が鮮明になっていくケースも珍しくありません。
面接で覚えた違和感は何だったのかを一つ一つひも解き、言語化していくと、自分が取るべきだった行動が見えてきますし、次の職場を見極める上で必要なポイントも整理できます。
その結果、面接でむやみに不安になることなく、あなたの強みをアピールすることに集中できるようになるはずです。
「早期離職してしまったから、早く次の職場を見つけたい」
「今度こそ失敗したくない」
こういう時こそ、あえて時間をかけてマインドセットを整えましょう。そうやって前向きな転職活動をすることが、結果的に近道になるはずです。
取材・文/赤池沙希 編集/光谷麻里(編集部)
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