ホワイトな安定企業より、スタートアップに転職したい若手が急増? 20代が知っておきたい成長できる環境の見極め方

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成長も「タイパ」、若手の新興転職18倍 居心地は二の次』──今月はじめ、こんな記事が日経新聞に掲載されました。

記事内では、成長を求める若手が増えていること、それに伴いスタートアップへの転職意欲が高まっていることについて触れられています。

スタートアップとは、革新的なビジネスモデルによって社会にイノベーションを生みだし、起業から短期間で急成長を遂げる企業のこと。読者のみなさんはいかがですか?スタートアップへの転職に興味はありますか?

実際、私はさまざまな女性たちの転職事例を見ていて「スタートアップが女性の成長環境としておすすめ」と感じる場面をたくさん見てきました。

私がおすすめだと感じる理由を3つあげます。

なぜ成長意欲の強い女性にスタートアップがおすすめなのか

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【裁量権が大きく、自己成長のチャンスが多い】

スタートアップは、まだ事業が成熟していないため、従業員一人ひとりの裁量権が大きく、自分の意見やアイデアを積極的に発言し、実行する機会が多くあります。

また、事業の成長に直結する仕事に携わる機会が多いため、スキルアップや自己成長のチャンスが豊富です。

国内企業における女性管理職比率は12.7%(※1)と他の先進国に比べると極めて低い数字にとどまっており、女性の力を生かしきれていない企業が多いわけですが、創業してまだ歴史が浅く、人的リソースも限られるからこそ、スタートアップでは女性をふくめて一人ひとりにしっかり裁量権が与えられ、能力を発揮する機会が豊富だと感じます。

(※1)厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」より

【多様な価値観や働き方を受け入れる風土がある】

スタートアップの経営者は30代40代が中心で、配偶者と共働きをしながら育児と仕事を両立させている人も少なくありません。創業まもない若い企業だからこそ従来の組織の枠組みにとらわれない、多様な価値観や働き方を受け入れる風土があります。

実際、私たちが日々マッチングを行う中でもリモートワークや、週3日稼働、短時間勤務などの多様な働き方への理解を感じます。そのため、そうした働き方の柔軟性を求める女性たちにとって働きやすい環境であると言えます。

【組織の成長にともなって昇進のチャンスがある】

組織が急速に成長していくのもスタートアップの特徴のひとつです。このため、組織の成長とともに、急速な昇進も場合によっては可能です。私が知っている事例でも社員として中途入社した人がほんの数年でマネジャーや執行役員として抜てきされて活躍している事例があります。

こうしたスタートアップへの転職は若手にとって早期成長につながるチャンスのひとつだと言えます。

さらに、スタートアップに限らず、早期成長を実現できる環境を見極めるポイントも整理してみました。

成長できる環境を見極める3つのポイント

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【女性の活躍を推進する意識や風土があるかどうか】

こちらの連載でも過去に取り上げたことがありますが、女性活躍を阻害する原因のひとつとして「ガラスの壁」があります。女性たちは就職後に他部署への横の移動が男性に比べて少ないことがこれまでに数多くの調査・研究から明らかになっているんですね。これを「ガラスの壁」と呼びます。

最初の配属が周辺的な業務であることに加えて、中枢的な業務への異動が起こりにくく、管理職や役員に必要なスキルや経験を身に付けることが難しいとされます。結果として管理職や役員へ登用されづらい現状につながっています。だからこそ、男女で与えられる業務に格差がないような環境を選ぶことが自身の成長につながっていきます。

育児休業や時短勤務などの制度が整っているだけでなく、女性が管理職に登用されるための機会が豊富にあるかどうかも確認すると良いでしょう。

【早いうちから仕事を任せるカルチャーがあるかどうか】

また、早いうちから裁量権を与えられて仕事を任せられる組織であるかどうかも重要なポイントです。女性はどうしても30代に入ると出産に代表されるライフイベントによって働ける時間に制約を抱える人が増えます。(それがいいかどうかは別としてそういう傾向があることは事実です)

ですから育児休暇や短時間勤務などで働ける時間に制約を抱える前に、十分な経験を積める環境を選びたいもの。一般的には産育休に入る前までに3つくらいの部署を経験しておきたいとも言われます。そうすると産育休からの復帰先の選択肢の幅も広がるからです。

【成長意欲の高い社員が多いかどうか】

周囲に成長意欲の高い社員が多いと、仕事へのモチベーションにつながり、互いに高め合いながら成長することができます。その会社の採用イベントや、社員のインタビュー記事などから社内の雰囲気を把握しましょう。会社として研修やリスキリングなどの学習機会を積極的に設けているかどうかも目安のひとつです。

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これらのポイントを踏まえて、企業研究を進めることで、自身の早期の成長につながりやすい環境かどうかを判断することができます。

具体的には、「企業のホームページや採用サイトをチェックする」「会社説明会や会社主催のセミナーに参加する」「口コミサイトで評判を調べる」などの方法に加えて、選考過程で人事担当者にその会社で実際に働く社員の方と直接、カジュアルに話をしたいと頼めば、だいたいの企業は社員との面談をアレンジしてくれます。遠慮せずに、貪欲に情報を集めにいきましょう!

自分のキャリアは自分でつくるもの。ぜひ必要な情報を積極的に収集して、そのときの自分にあった成長できる環境を選び取っていってください。

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田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事