【河合優実】もっとも旬なブレーク俳優の仕事への向き合い方「ものづくりを丁寧に楽しんでいる現場にいたい」

手すりにもたれてカメラを見つめる河合優実さん。

2024年、大ブレークした俳優として注目を集めている河合優実さん。

ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)『家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった』(NHK)、映画『あんのこと』『ルックバック』『ナミビアの砂漠』など、コメディーから社会派作品まで、多様な役柄を縦横無尽に演じ、見る人を引きつけている。

河合さんが次に挑戦するのは、世界的に大人気のゲームをベースに描かれた、Amazon originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』。竹内涼真さん演じる主人公・桐生一馬の幼なじみ、澤村由美を演じている。

重要な役割を担う作品が続いているが、当の本人はどこ吹く風で、「プレッシャーが大きい仕事ほど楽しい」とほほえむ。

現在23歳、オファーが後を絶たない今の状況をどのように感じ、俳優という仕事と向き合っているのだろうか。

また、5年後のデビュー10年目には、Woman type読者と同年代の「28歳」となる彼女の、少し先の未来についても聞いた。

ファンタジーとリアルのはざまで人間の心をどう描くか

頬に手を添えてポーズする河合優実さん。

Amazon originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』は、世界的大ヒットを続けるセガの人気ゲームをベースに、巨大歓楽街・神室町に生きる主人公たちの人間模様や成長物語をオリジナル脚本で描いた実写ドラマ作品。

神室町を徹底再現した巨大セットや、ド迫力の格闘シーンなど、壮大なスケールが話題となっている。

河合さんが演じるのは、主人公と同じ児童養護施設で兄妹のように育った澤村由美。ある事件をきっかけに人生が激変し、裏社会で生きていかなければならなくなった女性を体当たりで表現した。

河合さん

起こる出来事も激しいですし、ハードなシーンが多かったので、まず肉体的に大変でした。約5カ月間撮影していたのですが、役者やスタッフのみなさんの熱量が高く、良い意味で泥臭い現場で、毎日が刺激的でしたね。

ドラマ「龍が如く~Beyond the Game~」のワンシーン。河合優実さんと竹内涼真さん

©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

どんな難役でもこなしてしまう彼女だが、本作ではこれまで演じた役柄とは異なる難しさに直面したようだ。

河合さん

極道の世界を描いた、いわゆる「ヤクザもの」で、多くの方に長く愛されてきた「龍が如く」というゲーム作品の映像化です。

演じる上での基礎となる「人間の心を描く」ということを、今まで触れてこなかったジャンルの色が強いキャラクターに重ね合わせることが、最初はとても難しく感じました

ドラマ「龍が如く~Beyond the Game~」のワンシーン。河合優実さん

©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

中でも苦心したのは、「ファンタジーとリアルのバランス」だという。

河合さん

展開もセリフも、極道の世界という非日常のファンタジー感が強い作品だったので、その中で由美の心の機微をどう描くか。その絶妙なバランスを表現することが私にとっての一番のチャレンジでした

ドラマ「龍が如く~Beyond the Game~」のワンシーン。河合優実さん

©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

実はオファーを受けた当時、ゲーム原作キャラクターへの役作りに不安があった。しかし、その不安も監督からの一言で払拭されたという。

河合さん

監督が、「原作を大切にするのは大前提だけど、コピーではなく新しく作品を作っていく。澤村由美という役柄を作り上げていってくれれば大丈夫です」と言ってくださって、ほっとしました。

実際、ストーリー展開も原作と違いますし、ゲームからエッセンスをもらいつつ、物語の舞台となる1995年と2005年のコントラストが出るように意識しながら演じました。

人間を演じることは「命を取り扱うこと」

あごに手を添えて首をかしげる河合優実さん

2019年のデビューからわずか5年で、カンヌ国際映画祭の舞台にも立った河合さん。

多くの人に知られるきっかけとなったのは、ドラマ『不適切にもほどがある!』で演じたスケバン・純子だが、ここまで注目されるとは思っていなかったのだとか。

河合さん

本当に驚きました。宮藤(官九郎)さんの作品に出演できることがとても楽しみで、私にとっては「ご褒美」のようなお仕事だったんです

だから、自分がただ楽しんで演じていた作品で、結果的にすごく多くの人に届いてちょっとびっくりしました。「本当なんですかね?」と思ってしまう気持ちもあります。

そして、「私は運が強いな、とは思います」とはにかむ。

河合さん

この仕事って、「練習すれば必ず芝居がうまくなる」という確約はないですし、「これを頑張ったら必ずこの場所にいける」という世界でもないですよね。人それぞれの取り組み方と歴史がある。

私は、できるだけシンプルに振り返ってみると、「自分が好きだと思えることや興味があることは何か」を考え続けて、「面白いものをみんなで作ることが楽しい」という、最初に自分が思ったことを変えずにやってきただけかもしれないです。

目の前にあることをがむしゃらに続けていたら、まわりの人がたまたま見つけてくれたというか。

「楽しい」と心踊ることを、実直に続けてきた先に今がある。謙虚に答える彼女の言葉からは、仕事への誠実な姿勢が垣間見える。

視線を外して斜め上を見つめる河合優実さん

骨太な社会派作品や難役への向き合い方に話が移ると、ふっと笑顔が消え、目に力が入った。

河合さん

人間を演じることは、「命を取り扱うこと」と同じだと思っているんです。

実際に起こった事件や実在する人物を描いた作品ならなおさらですよね。「こんな人がいた」ということを、世の中に伝えることに意義があると信じてやっているけど、重みも感じています。

だから、一つ一つの役に対してとにかく真剣に考えて、向き合い続けることくらいしか、いつも私にできることというのはないんです。あとのことは、作品によりけりです。

今は、これまでのセオリー通りに動かなくてもいい時代

おなかの前に手を添えてポーズを取る河合優実さん

デビューから5年。「売れっ子」となった今でも、芝居への情熱と真摯な姿勢はまるで変わらない。一方で、5年という月日を経て求められることが多くなるにつれ、仕事への向き合い方には変化があったようだ。

河合さん

お芝居が楽しいという気持ちや、情熱を持ってやれる仕事だということは最初から変わりません。ただ、主演を務める機会が増えるにつれ、関わる人が多くなったことで、責任の重さを実感する場面は増えました。

しかし、その「責任」は彼女にポジティブな負荷を掛けている。

河合さん

プレッシャーよりも、「演じ手として期待に応えるだけではなく、自分の意志を持って作品を作るべきだ」ということを実感できるようになった喜びの方が大きいです。自分たちが何を届けようとしているのかを探る作品づくりの道のりにやりがいを感じます。

階段に腰を下して視線を外す河合優実さん

さらに5年後にはデビュー10年目を迎える。

「28歳」の彼女は一体どうなっているのだろう。「28歳」という年齢は、30歳を目前に控え、結婚や出産、転職や昇進など人生の選択を迫られる人も多い。

河合さんは“アラサー”のキャリアプランをどう捉えているのだろうか。

河合さん

「30歳までに」というより、「40歳までにこうなっていたい」というのをぼんやり考えることはあります。

でも、最近はキャリアも生き方も自由度が増していると思うので、「何歳だからこうすべき」という既存のレールが壊れつつある時代でもあるのかなと

だから、「これまでのセオリー通りに動かなくていいのかも」とも思っていて。今、やりたいことや夢があるなら、「何歳までに」と待っているのはもったいない。やりたいと思ったら、年齢にとらわれずに、自分からどんどん動いて挑戦していきたいです。

でも、女性の人生には自分の意思ではどうにもならないことが起きるし、考えないといけないことも多いですよね。そういうライフイベントについてまだあまり現実的に考えたことはなくて、時が来たら考えようとぼんやりしています。

視線を外してほほえむ河合優実さん

そう話しながら穏やかにほほえんだ顔に、等身大の「23歳らしさ」がのぞく。

小学生の頃に出合ったダンスに夢中になり、役者の道に足を踏み入れたという河合さん。一気にスターダムをのし上がった彼女だが、原点は「表現すること」への情熱だ。

見える景色が変わっても、目の前のことにまっすぐ向き合い続ける。その先に見据えるのはどんな未来なのだろうか。

河合さん

具体的な目標があるわけではないのですが、もっと高みを目指したいという気持ちはずっとあります。

もともと表現すること自体が好きなので、いろいろなことに興味はありますが、今は俳優としてできることをもっと探究したい。だから、「ものづくりを丁寧に楽しんでいる現場」にできるだけいたいですね。作品への向き合い方は、見ている方にも伝わると思うから。

そして、「私は多分、ストライクゾーンが広いタイプではない」と前置きしつつ、こう続ける。

河合さん

何でも楽しみたいけど何でもいいわけじゃないから、自分が心から「届けるべきだ」と強く引かれる仕事に出合えたらうれしいです。

そのためにも、受け身ではなく、自分が何に興味が持てるか、アンテナを広く立てて、自分からどんどんチャレンジしていけたらと思っています。

5年後、10年後、きっと彼女は日本を代表する俳優としてさらに輝くだろう。

一つ一つの役柄と真っすぐに向き合い「命」を吹き込んでいく。俳優・河合優実の丁寧な仕事を見続けていきたい。

まっすぐにカメラを見つめる河合優実さん

河合優実(かわい・ゆうみ)さん

2000年12月19日生まれ。東京都出身。2021年公開の映画『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第43回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞をはじめ、映画賞の新人賞を総なめに。最近の主な出演作に、映画『四月になれば彼女は』『あんのこと』、声優を務めた『ルックバック』、第77回カンヌ国際映画祭・国際映画批評家連盟賞を受賞した『ナミビアの砂漠』、ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK)『不適切にもほどがある!』(TBS)『RoOT / ルート』(TXほか)などがある。2025年は、映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』、NHK連続テレビ小説『あんぱん』への出演が決まっている。

取材・文/安心院彩 編集/石本真樹(編集部)撮影/洞澤佐智子(CROSSOVER) スタイリスト/Shohei Kashima(W) ヘアメイク/上川タカエ(mod’s hair)

作品情報

Amazon Originalドラマ『龍が如く~Beyond the Game~』2024年10月25日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信

ドラマ「龍が如く~Beyond the Game~」のワンシーン。竹内涼真さん

©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

ケンカでは右に出るものはいない桐生一馬(竹内涼真)は、義理人情に厚く、強く、正義感あふれる男。養護施設で家族のように育った幼なじみの錦山彰(賀来賢人)、澤村由美(河合優実)たちを守るため、あることをきっかけに極道の世界に身を置くことにーー。1995年と2005年の二つの時間軸を交差させながら、桐生と幼なじみたちそれぞれの人生をドラマチックに描く。

全6話(10月25日、11月1日に各3話ずつ配信)
吹替版を含む30以上の言語の字幕・吹替版を同時配信

出演:竹内 涼真  賀来 賢人 河合 優実 / 唐沢 寿明 ほか

原作:セガ「龍が如く」シリーズ
監督:武正晴 滝本憲吾
エグゼクティブプロデューサー:Erik Barmack Roberto Grande Joshua Long
脚本・ストーリー:Sean Crouch & 中村勇吾
日本語脚本・脚本:吉田康弘、山田佳奈
制作プロダクション:ザフール

©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

※作品の視聴には会員登録が必要です。(Amazon プライムについて詳しくは amazon.co.jp/prime へ)