面接で自己主張、交渉ができない「控えめさん」が失敗転職を防ぐコツをキャリアアドバイザーが解説【えさきまりな】

自己主張、自己PRが苦手……
「控えめさん」のための面接・交渉攻略術

自分のことをうまくPRできない、自己主張が苦手……そんな“控えめさん”が転職活動をするときに直面するのが、面接の壁。周囲のペースに飲まれずに、控えめさんが面接突破・交渉成功を実現して「後悔しない転職」をかなえるための秘訣を解説していきます!

面接で自己主張、交渉ができない「控えめさん」が失敗転職を防ぐコツをキャリアアドバイザーが解説

「面接で印象を悪くしたくなくて、聞きたいことを聞けないまま入社してしまった……」

「内定をもらうことを優先して、企業から提示された条件を全て飲んでしまった……」

この記事では、面接で遠慮してしまった“控えめさん”たちの「入社後」について、100人アンケートで調査した結果を紹介。

控えめさんたちの転職後悔エピソードを紹介するとともに、自己主張が苦手でもできる面接中の質問・自己PR・交渉術を、過去1万人以上の女性たちの転職・キャリアチェンジ支援を行ってきたキャリアアドバイザーのえさきまりなさんが解説します。

えさきまりなさん

えさきまりなさん

1986年生まれ。2007年短大卒業後、事務職、美容カウンセラーを経て株式会社キャリアデザインセンターへ入社。キャリアアドバイザーとして実績を残し、2020年退職。その後、HR、教育関連のスタートアップで女性向けキャリア支援を行いながら、個人でもキャリアアドバイザーとして転職支援を行う。23年よりアマゾンジャパン合同会社にて労働力調整や労務・採用・研修等HR関連業務を幅広く担当。プライベートでは二児の母 X

面接で遠慮してしまう背景にあるのは「自信のなさ」

まず、控えめさん(自分の性格が「控えめ」であると認識している女性たち)を対象に、面接で言いたいことを言えなかったり、聞きたいことを聞けなかったりしてつい遠慮してしまう理由について聞いてみました。

面接で自己PR、交渉、質問を遠慮してしまう理由についてのグラフ

複数回答可

最も多かった回答は、「自分に自信がないため」(41人)で、全体の4割程度を占めていました。

2番目に多かったのが「その場で伝えたいことを言語化できないため」(28人)、次に「選考で不利になるかもしれないため」(14人)、「入社後の自分の印象が悪くなるかもしれないため」(13人)が続く結果となりました。

次に、面接で自己PR、質問、交渉を遠慮してしまったことがある女性たちに、入社後に後悔したことがあるかどうかを聞いたところ、3割の人が「ある」と回答。

面接で伝えたいことを伝えられなかった女性たちは、入社後どのような後悔をしているのでしょうか。

~「自分に自信がないため」と回答した人の後悔エピソード~

Oさん
33歳/経理

事務の仕事に応募した際、書類に記載している資格以外に自分には特にアピールできることがないと感じてしまい、唯一自信を持つことができた「資格」のこと以外はほとんど話さなかった。

そのため、性格的にもすごく大人しい人間という印象が入社前から定着していて、親しくできる人が見つからず、非常に仕事がやりにくくなってしまった

Nさん
35歳/一般事務

自分なんか大したスキルもないし「内定をもらえないかもしれない」と必死になりすぎてしまい、何も考えずに手当たり次第に応募。

早く入社を決めたいあまりに、細かいことをきちんと確認しなかったため、自分で確定申告をしなくてはいけなかったり、お客さまに渡すグッズを自費で購入しなければいけなかったりと、理不尽に感じてしまうことが積み重なり、早期退職につながってしまった。

~「その場で伝えたいことを言語化できないため」と回答した人の後悔エピソード~

Kさん
38歳/セラピスト

入社してみたら、配属先の部署の人間関係が良好ではなく、誰にも相談できずに逃げるように辞めてしまった。

面接のときに人間関係のことをしっかり聞いたり、雰囲気を把握するために職場見学をさせてもらえるようお願いできればよかった。

Nさん
33歳/ITエンジニア

求人内容にはお盆休みありとなっていたが、実際は休日出勤扱いで休みがなかった。

本当は面接の時にもっとちゃんとワークライフバランスの話を聞きたかったけど、休みのことばかり聞く人だと思われたくなくて聞き方が分からず我慢してしまったので、ちゃんと聞いておけばよかった。

~「選考で不利になるかもしれないため」と回答した人の後悔エピソード~

Kさん
38歳/セラピスト

印象を良くしたくて、企業の要望に対して何でも「大丈夫です」と承諾していたら、希望していた部署や職種へ配属されなかったり、転勤、出向などいろいろなところへ転々とさせられたりして、仕事のモチベーションが下がり、退職してしまった

Oさん
34歳/介護職

内定をもらうことを優先して「いつでもシフトに入れます」と伝えてしまったけれど、結果的に家族と休みが合わなくなってすごくストレスが溜まっている

Uさん
28歳/一般事務

面接時に、残業や休日出勤など勤務時間について聞くのは失礼かと思い、詳細を確認しなかったため、急な残業や休日出勤が頻発することが当たり前の職場環境だと気づけなかった

このように、面接で言いたいことや聞きたいことを伝えず遠慮した結果、せっかく入社しても不満をためてしまったり、早期退職につながったりしている人が多いことが分かります。

では、彼女たちが後悔しない転職をするためには、どうすれば良かったのか。えさきさんの解説を見ていきましょう。

「あの時こう言えばよかった」後悔エピソード別の交渉・質問法を解説

ここからは、転職後に後悔しないように面接で言いたいことを伝えるためのコツをえさきまりなさんが解説。

【1】自分に自信がない
【2】その場で伝えたいことを言語化できない
【3】選考で不利になるかもしれない

上記三つのパターンに対して、それぞれ対処法を紹介していきます。

【1】自分に自信がない

\どうすればいい? えさきさんが解説/

えさきさん

自分に自信がない女性からは、面接でうまく自己PRができないという悩みをよく相談されます。

そんな方に知っておいてほしいのは、自己PRにはスキルや経験など言語化できるものだけでなく、言語化できないものもあるということ。

例えば、人間性やコミュニケーション力などはまさに、面接中の振る舞いや会話の雰囲気などから感じ取ってもらえるものですよね。

そのため、「うまく言葉でアピールできるものがない」と感じる場合は、非言語コミュニケーションで自己PRできるといいと思います。

えさきさん

例えば、面接の最初に「お忙しいところお時間をいただきありがとうございます」と一言添えるだけでも、相手の状況を察して気遣いができる人なんだなという印象につながりますよね。

書類選考の段階でスキルレベルは採用担当には伝わっていますから、これといったスキルがなくても面接に招かれた時点で、魅力的な人物であることを期待されている可能性が高いです。

「この人と働きたいな」と思わせる非言語コミュニケーションを取るだけでも、十分自己PRになると思いますよ。

【2】その場で伝えたいことを言語化できない

\どうすればいい? えさきさんが解説/

えさきさん

面接の途中で「何か聞きたいことはありますか?」と採用担当に言われても、ぱっと質問が思い浮かばないという人は少なくありません。

特に、「職場の人同士は仲が良いか」「社内は良い雰囲気か」など主観によって解釈が異なるものは、聞き方に迷う人も多いです。

しかも、内定が出ていない段階で自分から「職場見学をさせてほしい」とお願いするのもハードルが高いと感じる人も多いでしょう。

ただ、人間関係の問題やカルチャーのミスマッチを防ぐためには、選考の段階で一緒に働く人と会うのが一番いいので、そこは遠慮せずにぜひ依頼してみましょう。

えさきさん

職場見学の依頼は、その会社への入社を前向きに検討していることを示す上でも有効ですし、「会わせてほしい」と言われること自体をネガティブに捉える採用担当は、真っ当な企業にはほとんどいないはずです。

逆に、そこで難色を示されるようなら職場に問題がある可能性も。ミスマッチ入社を防げればお互いのためになりますから、少しだけ勇気を出して聞いてみましょう。

また、同僚や上司になる人に会わせて欲しいと依頼するタイミングは、最終面接の前がベスト

企業側も「採用したい」という思いが高まっていたり、ミスマッチを防ぐためのすり合わせをしたいと思っていたりする段階なので、よりポジティブに受け取ってもらえるでしょう。

えさきさん

気を付けたいのは、内定承諾の回答期限ぎりぎりになって依頼してしまうこと

通常業務で忙しい社員のスケジュールを合わせるのにはある程度時間がかかりますし、回答期限を延ばさなければいけなくなると、企業の採用スケジュールにも影響してしまうので要注意。

また、「会わせてほしい」旨の伝え方ですが、「御社のことを魅力的に感じているので、内定をいただいたら入社を前向きに検討したいと思っています。そのため、一緒に働く人たちにお会いしてみたいです」など、前向きさが伝わる表現にすれば、悪印象を抱かれることもないですよ。

【3】選考で不利になるかもしれない

\どうすればいい? えさきさんが解説/

えさきさん

「年収は最低でもこれくらい欲しい」「リモートワークがしたい」など、面接中に自分の要求ばかり押し付けてしまうと、採用担当からの印象が悪くなってしまうのではないかと懸念して、うまく入社前の交渉ができなかったという転職者さんをよくお見掛けします。

ですが、良い転職をかなえるためには、自分が絶対にゆずれないことをしっかり伝えて入社前に交渉しておくことが欠かせません。

そのためにも、交渉が苦手な方はまず、自分にとって「マストな条件」と「ベターな条件」を分けてみましょう

えさきさん

マストの条件をゆずってしまうとミスマッチになるため、はっきり伝えていいのだと事前に自分に言い聞かせてください。

その上で、自分の希望を伝えるタイミングを2次面接以降にすることがポイントです。

1次面接はお互いのことを知る場。初対面でまだお互いのことを知らないうちから権利ばかりを主張すると、悪印象を与えてしまう可能性があります。結婚相手を探すお見合いなどを想像すると分かりやすいですよね。

また、入社したい会社についてマスト条件を伝えるときは、ぜひ理由も添えましょう。

「この曜日は自宅で親の介護があるため、シフトを入れるのが難しいです」など、相手が納得できる理由を言えるといいですね。

えさきさん

また、ベターの条件についても、自分の中での優先度が高ければ、なぜその条件が重要なのかをあわせて伝えてもいいと思います。

「家族が土日休みのため、月に1回程度は土日もお休みをいただけるとうれしいです」といった伝え方であれば、企業も悪印象は抱かないはずですよ。

条件に関して質問したい場合も同じです。「なぜこの質問をするのか」の意図が採用担当に伝わるようにすることと、お互いの理解が深まったタイミングで質問することの2点を抑えておけば、失礼な印象は与えないと思います。

交渉するときも、質問するときも、ミスマッチのない転職にして、長く働きたいからこその条件であることを強調しましょう。

面接を受ける女性

つい遠慮して自己主張や交渉、自己PRを控えてしまう人は多いかもしれませんが、ミスマッチ採用を防ぎたいのは企業も同じ。

むしろこれらのことを伝えることは、「長く働きたい」という意思表示にもなりますので、ポジティブな印象を与えることもできるはず。タイミングと伝え方さえ注意すれば、内定への後押しもしてくれそうです。

後悔のない転職を実現するために、参考にしてみてください。

【調査概要】
●調査方法:20~49歳の女性へのWebアンケート(クラウドワークス)
●調査期間:2025年02月03日~2025年02月10日
●有効回答者数:100名

取材・文/光谷麻里(編集部)

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