モームリ“中の人”が明かす「退職代行を使わない方がいい女性」の特徴。安易な利用にひそむリスクとは

今日でゴールデンウィークも終わり。
「明日からの仕事のことを考えると憂鬱……」「このまま仕事を辞めたいけど、直接伝えるのも気まずい……」なんて考えている人も多いのではないだろうか。
長期休暇明け、そんな人たちの駆け込み寺となっているのが、退職代行サービスだ。
気が重い「退職」にまつわる内容を代行してくれるため、消耗せずに会社を辞められると、近年気軽に利用する人が増えているが、「安易に利用することは女性のキャリアにとってデメリットになりかねない」と話すのは退職代行モームリで働く社員Aさん。
「『子供の体調不良で休むことが多く、周囲の人に迷惑をかけてしまっていて気まずいから』『妊娠してたからこの仕事はできないと思って…』」など、女性だと“気遣い”から退職代行を使う人が多い傾向がありますが、これは正直もったいないなと感じます」(Aさん)
退職代行サービスの“中の人”が「利用しない方がいい」と感じるのは、どのようなケースなのか。また、安易に利用しすぎることによるリスクとは何なのだろうか。
「自分で伝えるのが気まずい」から退職代行を使う女性が増加?…
モームリで働く社員Aさんによると、退職代行サービスを使う理由は、性別によって傾向が異なるという。
男性の場合は、「一度退職を相談したけれど結局退職できなかった」「そもそも言い出せる環境ではない」など物理的に退職が難しいことから退職代行サービスを利用する人が多い。
一方、女性の場合は「自分で退職を言い出せない」「伝えたところでうまく退職できるとは思えない」など、退職を伝える心理的ハードルの高さから利用する人が多いと、Aさんは明かす。
「女性の場合は、会社への感謝の想いをつづる方もめずらしくありません。会社への申し訳なさや気後れなどから、『気まずくて言い出せない』『顔を合わせたくない』と思うのは女性に多い傾向だと思います」(Aさん)
【『モームリ』に20~30代女性から寄せられた退職代行利用を希望する理由の一例】
・休みが月に7日ほどで希望休もないため、休息も十分にとれずストレスも発散できず常に疲れてる状態での勤務がとてもつらかった。また、趣味の旅行もいけないのが苦痛で、退職することに。代行を使う理由としては、仮に退職を伝えたとして、その日から扱いが雑になる予感がしたのと、言い出しにくい気持ちがあったから。(美容関連/20代女性)
・パート先が繁忙期で、忙しすぎたため退職を決めました。退職代行を使った理由は、ピリピリしている雰囲気の中、言い出しづらかったから。結果を残せず、期待に応えられなかったことに対する申し訳なさがあった。(販売業/20代女性)
・無視される、他の人への態度と自分への態度が違いすぎる、必要なことをしっかりと教えてもらえないといった状況に対して、「精神的にもう無理」「頑張れない」と思い、退職を決意。退職代行サービスを使ったのは、もう行きたくないと思ったのと、自分で話してもうまく言いくるめられてしまうと思ったから。(運送業/20代女性)
・歯科助手をしていたが、医院長先生のあたりが強く萎縮してしまい、治療中にミスをしてしまったらどうしようという不安から夜眠れなくなってしまった。仕事に対する過度な緊張と、周りの人の顔色を窺うことによる疲労からストレスが大きかったため、退職しようと考えた。退職代行を使ったのは、職場の人と会いたくないため。雇ってもらったことには感謝しているが、医院長先生と面と向かって話すのは億劫。(医療関連/20代女性)
「退職代行を使わない方が良かったかも…」と感じる女性の共通点
退職代行サービスは、簡単には退職を切り出せなかったり、退職を切り出すことで不利益をこうむったりする人にとって大切な駆け込み寺となりつつある。
しかし、モームリがこれまでさまざまな人たちの退職をサポートしてきた中で、「このケースだと、まだ退職代行を使わない方がいい」と感じたことも多々あるという。
「例えば、入社してまだ数カ月で『仕事がつまらない』『向いてないと感じる』といった理由から退職代行サービスを利用する方もいらっしゃいます。
ただ、業務内容以外に大きな不満がないようであれば、もう少し継続してみたり、思い切って上司や人事に胸の内を打ち明けたりしてみてもいいかなと思いますね」(Aさん)
また、「数日会社を休んでしまって気まずい」「子どもの体調不良などで欠勤が続き、迷惑をかけていて気まずい」といった理由で利用する女性もいると、Aさんは続ける。
「これらのケースも、気まずいと思っているのは自分だけで、会社側は心配をしてくれていたり、相談されれば調整できたりしたこともあるかなと。まずは一度相談してみるのも一つの手かなと思います」(Aさん)
【モームリ“中の人”が「退職代行を利用するのは早かったかも」と思った依頼内容の一例】
・家庭のことで欠勤続きとなり迷惑をかけしている状況で、今後も欠勤し迷惑をかけることが多々あると思い、早めに自分から退職したいと思った。(介護関連/20代女性)
・妊娠していたため、送迎や介護は難しいと思った。(介護関連/30代女性)
・子供の体調不良で休むことが多く、皆さんに迷惑をかけてしまうので、しばらく育児に専念すべく退職したいと思った。(事務関連/30代女性)
自分一人で思い悩んだ結果、気まずさが増してしまい、上司や同僚とますます顔を合わせにくくなり退職代行に駆け込む……という女性もいることがうかがえる。
「会社に対して一度も悩みや不安を相談しないまま退職代行に連絡する女性も少なくありません」とAさんは言う。
一度相談してみたら、快く環境を整えてくれたり、配慮した働き方ができるようサポートしてくれたりする可能性も十分にある。
短期間での転職を繰り返すことで転職活動におけるデメリットになったり、「どの環境にも適応できない」といった自己評価の低下を招いたりなど、対話を避けることで、育児や介護と両立しながら長く働ける可能性を自ら断ち切ってしまうのは女性のキャリア形成にとってリスクとなることも。
また会社の環境が変われば、他の社員たちにもいい影響を及ぼすなど、もっといい未来も開けるはずだ。
会社側に対話する意志がある場合、仕事の悩みや退職の意思を伝えるのが「気まずいから」という理由で退職代行に駆け込みたくなった時は、勇気を出して一度自分で相談してみるのが良さそうだ。
「退職を言い出しにくい」時に参考にしたい記事
一度会社に相談してみても状況が変わらなそうな場合は、どのように退職を切り出せばいいのか。
Woman typeでは過去にも「退職の伝え方」に関する記事を発信しているので、ぜひ参考にしてみてほしい。
取材・文・編集/光谷麻里(編集部)