【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

特集:推しのお仕事!

いま日本各地で熱烈に「推されている」注目の人に、仕事に対する知られざる努力とこだわりをテーマにインタビュー。彼・彼女たちがファンから「激推し」される理由を探ります!

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

モデル、タレント、そしてプロ雀士。2025年3月には最新写真集『嶺上開花』(宝島社)を発売するなど、多方面で華々しい活躍を見せる岡田紗佳さん。

メディアで見せるクールビューティーな姿や、麻雀で見せる真剣な眼差しは多くのファンを魅了し、推される存在として確固たる地位を築いている。

しかし、その輝かしいキャリアの裏には、人知れぬ葛藤や努力も。過去には「どっちつかずの中途半端な立ち位置」にとどまる自分自身に悩んだ時期もあったという。

それでも目の前の仕事に実直に向き合い、一つ一つ実績を積み重ねることで、現在の人気を手に入れた。彼女はなぜ多くの人から支持され、第一線で活躍し続けられるのだろうか?

岡田 紗佳(おかだ さやか)さん

岡田 紗佳(おかだ さやか)さん

1994年2月19日生まれ、東京都出身。6歳から12歳までを上海で過ごす。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2011年に『non-no』モデルオーディションでグランプリを受賞し、専属モデルとして活躍。17年、日本プロ麻雀連盟所属の女流プロ雀士としてデビュー。19年からはMリーグ・KADOKAWAサクラナイツに所属。モデル、タレント、プロ雀士としてマルチに活動中。最新写真集『嶺上開花』(宝島社)が好評発売中

キャリアを切り拓いた「断らない」姿勢

モデルとしてキャリアをスタートさせ、現在はプロ雀士としてもMリーグ(麻雀プロリーグ戦)で活躍。

さらにタレントとしてバラエティー番組にも出演するなど、岡田さんの活動は多岐にわたる。なぜ、これほど多様なキャリアを歩むことになったのだろうか。

岡田さん

私は基本的に、どんなお仕事でも断らないことがモットー

自分の中で「これがやりたい!」という強い原動力があるというよりは、お願いされたことに対して、全力で応えたいという気持ちが強いんです。

モデルの世界に入ったのも、麻雀プロになったのも、どちらもスカウトがきっかけでした。その一つ一つに真剣に向き合っていたら、自然と今の場所にたどり着いた、という感じですね。

特に麻雀プロへの道は、異色の挑戦と言えるだろう。モデル仲間内で麻雀が流行っていた時期に、研究会に誘われたのが始まりだった。

岡田さん

もともと、小さい頃に中国で家族が麻雀をやっているのを見ていたので、親しみはありました。ちょうど大学4年生で、授業もほとんどなくなり時間ができた時期で。

「何しようかな」と考えていた時に誘われたので、「麻雀、楽しいしやってみるか」くらいの軽い気持ちでした。ダメだったらやめればいいや、って。

当時はまだ麻雀に対して良くないイメージを持つ人も少なくなく、周囲からは「モデルとしてのイメージが悪くなるのでは?」と心配する声も上がった。

岡田さん

まさか、麻雀を軸に仕事をするようになるなんて、当時は全く思っていなかったんですよ。でも、今思えばチャレンジして本当に良かったですね。

その言葉通り、麻雀は彼女のキャリアにおいて、大きな武器となっていく。

2025年3月に発売された写真集『嶺上開花』(宝島社)も、彼女のモデル、雀士としての魅力が詰まった一冊だ。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

前作から半年という短いスパンでのリリースとなったが、ファンからは「今までで一番好き」という声が多く寄せられるなど、大きな反響を呼んでいる。

岡田さん

前回の写真集から期間が短かったので、どうやって違いを出そうかと考えました。紙の質感や構成の仕方など、いろんな面で変化を見せられたんじゃないかなと思います。

撮影地に選んだのは、台湾。中国語も堪能な彼女にとっては、リラックスして臨める環境だったという。

岡田さん

海外ではあるんですけど、すごく慣れ親しんだ雰囲気の街での撮影だったので、あまり気張らずに、自然体で撮影できたと思います。

朝から夜までずっとカメラが回っていて、決まったスケジュールというよりは、日常を切り取ってもらうような感じでした。

だから、ちょっとお茶目なシーン、遊んだり食べたりしている様子もたくさん収められています。そういう素の自分を見てもらえたら嬉しいですね。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

「中途半端な立ち位置」に悩んだプロ1年目

さまざまな分野で活躍し、さぞ順風満帆かと思える岡田さんの人生。しかし華々しい活躍の裏では、自身のキャリアに悩んだ時期もあったと打ち明ける。

それは、麻雀プロになって1年目の頃だった。

岡田さん

プロ1年目の頃、ありがたいことに、たくさんのテレビ番組に出させていただく機会がありました。

ゴールデンタイムの番組にも呼んでもらえて。プロ雀士でモデルをやっている、という物珍しさで注目していただけたんだと思います。

しかし、当時の岡田さんは、自身の立ち位置に葛藤を抱えていた。

岡田さん

正直、どれも中途半端だったんですよね。麻雀プロとしてはまだ駆け出しで、大きな実績も残せていない。かといって、タレントとして何か特別なことができるわけでもない。

結局、一度番組に呼ばれても、次につながらないことがほとんどでした。

麻雀界からは「芸能人」、芸能界からは「麻雀プロ」。どちらの世界にも属しきれないような、中途半端な感覚。そのもどかしさが、彼女を苦しめた。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの
岡田さん

芸能界の方からどう思われていたかは分かりませんが、自分の中では、とにかくどっちつかずなのが一番良くなかったな、と。ぽっと出のタレントみたいに思われていたのかもしれません。

その後は、芸能活動はほとんどせず、麻雀に打ち込む日々が続いた。

岡田さん

しばらく麻雀しかやっていない時期があって。とにかく麻雀で強くなりたい、結果を出したい、という一心でした。

転機が訪れたのは、それから2年後。Mリーグの発足と、KADOKAWAサクラナイツからドラフト指名され、Mリーガーとして活躍を始めたことだ。

岡田さん

Mリーガーという確固たる立ち位置ができて、麻雀プロとしての成績も少しずつ残せるようになってきた。その経験が、自分の中で自信になり、説得力につながったんだと思います。

それからは、無理にTVで爪痕を残さなきゃと気負うこともなくなりました。自然体でいられるようになったのが、一番大きい変化ですね。

焦りや気負いが消え、地に足がついた感覚。それは、苦しい時期を乗り越え、麻雀という確固たる軸を築き上げたからこそ得られたものだった。「一つの軸を自分の中で持つことが、すごく大事なんだなと実感しました」と語る彼女の顔は晴れやかだ。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

この経験は、彼女の仕事への向き合い方にも変化をもたらした。負けず嫌いで、「できないことがすごく嫌なタイプ」だったという岡田さんだが、麻雀に打ち込み「負け」を多く経験したことで、新たな価値観が生まれた。

岡田さん

麻雀って、絶対に勝てるものではないですし、むしろ負ける経験の方が圧倒的に多いんです。

もちろん勝つための努力は惜しみませんよ。でもどんなに頑張っても本番で常に100%の力を出せるとは限らないので、せめて80%の力は絶対に出せるように、しっかり準備することを心掛けるようになりました。

それは、2019年のMリーグでの、自身のミスによる苦い敗戦から学んだ教訓でもあるという。

岡田さん

しっかり準備して臨んで、それでもダメだったら仕方ない。その失敗から学べることもあるし、次に進むしかない。当時「機械でもミスするんだから、人間のミスは当たり前」と慰めてくれたチームの先輩たちの言葉から学びました。

あの時こうすれば良かった、なんてくよくよ考えても時間は戻らない。だから今では、自分の中で「できる限りの準備はした」と思えれば、それでよしとしています。

準備を怠らない実直さと、結果を受け入れる潔さ。その絶妙なバランス感覚が、今の岡田さんの強さを支えている。

岡田さん

準備をしっかりすることで、緊張することも減りました。メンタル的なプラス要素の方が大きいですね。

そこからの活躍は既出のとおり。雀士としての活躍が、彼女のモデルやタレントとしての価値を高め、今ではその自然体の姿が多くのファンを惹きつけ、支持を集めるようになった。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

まだ見ぬ「女性雀士のレジェンド」を目指して

多くのファンから「推される」存在である岡田さん。自身も、サンリオキャラクターの『はなまるおばけ』や『ポケモン』、K-POPアイドルなど、「推し」の存在が日々の活力になっているという。

岡田さん

休みの日に何しようかなって思った時、推しの存在があるとすごく楽しみになります。K-POPアイドルの方々が、私なんかよりずっと忙しいはずなのに、完璧な姿でステージに立っているのを見ると、「私ももっと頑張らなきゃ!」って力をもらえますね。

推し活でエネルギーをチャージし、また仕事へと向かう。そんな好循環が、彼女のパフォーマンスを支えているのかもしれない。

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

では、自身が「推される」側として、ファンの期待に応え続けるために大切にしていることは何だろうか。

岡田さん

麻雀に関して言えば、常に勝ち負けがつきまとう競技だからこそ、「負けざま」も大事にしたいと思っています。一生懸命戦って、納得して負けたなら仕方ない。どんな試合であっても、たとえ負けたとしても、「見て良かったな」と思ってもらえるような試合をしたい。

ファンのみんなに「おめでとう」って言ってもらいたいし、「昨日の試合、勝って良かったな」って思いながら、次の日仕事に行ってもらいたい。その気持ちが、どんな窮地に立たされても勝ちに行く姿勢につながっています。

ファンからの声援は、彼女にとって何よりの力だ。

岡田さん

最近は、小さいお子さんや学生さん、親子連れの方も応援に来てくれるようになって。そういった若い世代の子たちが、ずっと麻雀を好きでいてくれたら、こんなに嬉しいことはないですね。

ファンへの感謝と、麻雀界の未来への想い。それが、彼女を突き動かす原動力となっている。今後の目標を尋ねると、迷いなくこう答えた。

岡田さん

麻雀プロで「女性雀士のレジェンド」と呼ばれるような存在はまだいません。だからこそ私もそんな雀士になりたいですね。

そして、麻雀をもっと多くの人に楽しんでもらいたい。麻雀人口が増えたらいいな、と心から思っています。

かつては「中途半端」と悩み、自身の立ち位置に苦しんだ時期もあった。しかし、麻雀という確固たる軸を見つけ、努力と準備を重ねることで、唯一無二の存在へと進化した岡田さん。

その実直な姿勢と、ファンや麻雀界への深い愛情こそが、彼女が多くの人から「推され」続ける理由なのだ。

取材・文/大室倫子(編集部)

書籍情報

【岡田紗佳】タレントも麻雀も「中途半端な立ち位置だった」葛藤乗り越えた先にあったもの

岡田紗佳さんにとって4冊目となる写真集『嶺上開花』(宝島社)。

台湾で撮影が行われ、岡田さんと一緒に台湾を旅しているような気分を楽しめる自然体なカットや、恋人目線を味わえる近距離のカットなど、初めて見るヴィジュアルが満載。美しいチャイナ・ドレス姿も必見だ。

また、NFTデジタル特典豪華4点セット付きの特装版も同時発売。デジタル特典は未掲載カットによる写真集、デジタル・アクリル・スタンド、メイキング動画、トレーディング・カード(ランダム)など。

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