内田真礼「夢が消えて目の前が真っ暗に」強制的に自分と向き合い手にした“強さ”のワケ

内田真礼「夢が消えて目の前が真っ暗に」強制的に自分と向き合い手にした“強さ”のワケ

特集:推しのお仕事!

いま日本各地で熱烈に「推されている」注目の人に、仕事に対する知られざる努力とこだわりをテーマにインタビュー。彼・彼女たちがファンから「激推し」される理由を探ります!

声優として10年以上にわたり第一線を走り続ける内田真礼さん。彼女が最新出演作として挑んだのが、『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』だ。

2014年に歌手デビューした内田さんもまた、武道館を単独で埋めるほどの人気を博すアーティストの一人。なぜ彼女も、多くのファンから「推される」存在となったのか。その裏にある、知られざる努力と仕事へのこだわりに迫った。

推しは“キミ”がいるから輝ける

内田真礼さん

内田真礼さん

12月27日生まれ、東京都出身。2012年『さんかれあ』の散華礼弥役で初主役を務める。主な出演作に『約束のネバーランド』ノーマン役、『うる星やつら』三宅しのぶ役など。14年にアーティストデビューも果たし、声優・アーティストとして幅広く活躍中
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編集部

今作の『映画キミとアイドルプリキュア♪』はアイドルをモチーフにした作品ですが、プリキュアの姿に共感する部分はありましたか?

内田さん

すごくありました! 映画を初めて観たとき、まず歌って踊るシーンの長さに驚いたんです。まるで一本のライブを観ているような感覚で、そのクオリティーの高さに圧倒されました。

内田さん

作中でプリキュアは、歌い踊り、「ファンサ」でみんなに元気を与えますが、その姿は受け取ってくれる「キミ」がいないと成り立ちません。

私もライブでステージに立つ時、ファンの方が合いの手を入れてくれたり、一緒に歌ってくれたりする瞬間に「ああ、歌っていてよかったな」と心から思うんです。

ライブは決して一方通行ではなく、みんながいて初めて完成するもの。だから、彼女たちの気持ちが痛いほどよく分かりました。

編集部

今回内田さんが演じたテラは「アイドル嫌いの女の子」でしたね。どこか憎めないキャラクターでした。

内田さん

そうなんです。口では「アイドルなんて嫌い」と言いつつ、困っている主人公たちを放っておけなくて、なんだかんだ世話を焼いてしまう。そのツンデレなところがすごく可愛いなと思いました。

素直になれないけれど、本当は誰かを大切に想う気持ちを持っている。プリキュアと出会って、彼女の心がどう動いていくのか、その変化を丁寧に演じたいと思いました。

内田真礼
編集部

今回の現場で、内田さんが声優として学んだことはありますか?

内田さん

主人公の咲良うた/キュアアイドル役を演じた、松岡美里ちゃんが常に全力で、汗をかきながらお芝居している姿が本当にかっこよくて、たくさんのパワーをもらいました。

美里ちゃんは事務所の後輩でもあるのですが、がっつりとお芝居で絡むのは初めてでした。私が演じる「アイドル嫌い」のテラが、美里ちゃんが演じるうたの純粋なパワーを真正面から受け止めて、すれ違いながらも心が動かされていく……その過程で、彼女の役者としてのものすごいエネルギーを感じました。

編集部

作品では「推し」のエネルギーも見どころですよね。内田さんも熱心な福岡ソフトバンクホークスファンとして知られていますが、ご自身にとって「推し」とはどんな存在ですか?

内田さん

直接的なやり取りがなかったとしても、心の支えになってくれるのが「推し」なのかなと思います。

例えば、推しのテーマカラーのものを身につけたり、グッズを持ったりするだけで、何かパワーをもらっているような気持ちになれる。推しの色を自分も持っていると思えるだけで、嬉しくなりますよね。

内田真礼

「いい仕事」は、心地よいコミュニケーションから生まれる

編集部

内田さんもたくさんのファンから「推される」存在です。プリキュアのようにファンからも力をもらっているのでしょうか。

内田さん

ファンの皆さんの存在は本当に大きいです。お手紙でいただく「まあやちゃんの味方だよ」「何があっても大好きだよ」というストレートな言葉に、今でも思わず泣いてしまうこともあって。皆さんがくれる一つ一つの声援が、ものすごく大きな力になっています。

私は自分以外の、周りにいる誰かが喜んでくれることが一番の原動力なんです。

私が仕事を頑張ることで、一番近くで支えてくれるマネージャーさんや、一緒に作品を作る制作チームの仲間が「やったね!」と一緒に喜んでくれる。そういう人たちの笑顔が見たくて頑張っています。

内田真礼
編集部

ファンや周りの想いに応えるために、プロとして「いい仕事」をする上で最も大切にしていることは何ですか?

内田さん

「いい仕事」は、関わる人たちとの連携がスムーズに取れている時に生まれるものだと思うんです。仕事は決して一人ではできなくて、たくさんの人が関わっている。その中でチームの一員としてしっかり機能できた時に、「自分も社会の一部なんだ」と実感できて、大きなやりがいを感じますね。

編集部

チームの一員として、という想いが強いんですね。ではチームで最高の成果を出すために、特に意識されていることはありますか?

内田さん

共演者の方やスタッフさんたちとの、心地よいコミュニケーションです。お芝居も結局は人と人との「掛け合い」。その日の相手のコンディションや現場の「温度感」と、自分のそれがぴったり合わさった時に、一人では絶対に作れない、想像を超えたものが生まれる瞬間があります。

なので、朝の挨拶一つでも大切にして、相手を尊重し、いい関係性を築くことを大切にしています。

編集部

皆が良いパフォーマンスを出せるように、心地よいコミュニケーションを意識されているんですね。

内田さん

はい。そして、そうしたパフォーマンスの全ての基本になるのが「体調管理」の大切さだと思っています。

朝はしっかりと起きて、夜はしっかりと寝る。この当たり前のリズムを保つことが、何よりも重要です。体が健やかだと、心にも余裕が生まれますから。

その余裕が、周りの人たちと良い関係を築き、最終的に良いパフォーマンスにつながると思っています。

内田真礼

逆境の中で手にした“しなやかな強さ”

編集部

常に前向きな内田さんですが、これまでのキャリアでネガティブな気持ちや逆境を感じた経験はありますか?

内田さん

ありますね。コロナ禍で、ずっと夢見ていた横浜アリーナでのライブが中止になってしまったことです。開催の3カ月くらい前に中止が決まって……。何年も目標にしてきた、自分にとってご褒美のような仕事だったので、目の前が真っ暗になりました。

編集部

当時は声優のお仕事も、アフレコの形が変わるなど大きな変化があった時期ですよね。

内田さん

そうなんです。私にとって声優の仕事と音楽活動は、車の両輪のように「2つで1つ」だったので、突然なくなってしまったライブに、変わってしまった声優の現場……すごく困惑しました。

いつ終わるか分からない状況で、強制的に自分と向き合わなければならず、「この先どうなるんだろう」という不安でいっぱいでしたね。

内田真礼
編集部

その大きな不安を、どうやって乗り越えられたのでしょうか?

内田さん

きつかったですが、「道は一つじゃない」と思考を切り替えられたのが大きかったと思います。最終的に幸せであれば、どんな道のりでもいいのではないかなと、少しずつ思えるようになって。

それまでの私は、「ライブの時は赤いネイルじゃなきゃダメ」というように、願掛けのようなものがすごく多かったんです。ですが、その経験を経て「いやいや、大丈夫」と、こだわりを一つずつ手放せるようになったことで、すごく柔軟になれた気がします。

人生の節目でいろいろな経験をしたことで、少しだけ強くなれたのかもしれません。

編集部

すてきなお話ですね。さまざまな経験を経て、改めて今目標にしていることはありますか?

内田さん

今回はゲストとして出演しましたが、声優を志した時からの夢である「プリキュアになる」ことにも挑戦してみたいですね! 夢を叶えるために、これからも地道に努力を続けていきたいと改めて思いました。

編集部

本日はありがとうございました。プリキュアになった内田さんの姿を楽しみにしています!

内田真礼

『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』
9月12日(金)全国ロードショー!

『映画キミとアイドルプリキュア♪_お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』9月12日(金)全国ロードショー!

ある日うたたちは、不思議な島で開催される
【スーパーミラクルアイドルフェスティバル】に出演することに!
しかし突然、謎の怪物の登場で島と世界が大ピンチ。
しかも過去に飛んじゃった!?
ピンチを救うヒントは、女神の伝説と謎の少女…?
さぁ!歌って踊ってファンサして、
キミに届けるキラッキライブスタート

■タイトル:「映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!」
■公開日:2025年9月12日(金)全国ロードショー
■声の出演:松岡美里 髙橋ミナミ 高森奈津美 南條愛乃 花井美春
長縄まりあ 種﨑敦美 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
諏訪部順一 佐久間大介
内田真礼 佐倉綾音
津田篤宏(ダイアン)
■映画主題歌:「♪HiBiKi Au uta♪」
■作詞:青木久美子 ■作曲・編曲:馬瀬みさき
■原作:東堂いづみ ■監督:小川孝治 ■脚本:吉野弘幸
■音楽:深澤恵梨香 / 馬瀬みさき 
■キャラクターデザイン・総作画監督:板岡錦
■美術監督:谷岡善王 ■色彩設計:竹澤聡 ■撮影監督:大島由貴
■CGディレクター:近藤まり ■製作担当:直田宏隆
■コピーライト:©2025 映画キミとアイドルプリキュア♪製作委員会
■映画公式HP:https://2025.precure-movie.com/

取材・文/大室倫子(編集部) 撮影/笹井タカマサ