新人がメンタル不調ですぐ離職…「ケアしてるのに」と悩むマネジャーがやるべき3つのこと【十束おとは】

新人がメンタル不調ですぐ離職…「ケアしてるのに」と悩むマネジャーがやるべき3つのこと【十束おとは】

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20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します

今回寄せられたのは、営業職でマネジャーを担う女性のお悩み。

「顧客対応や数字目標など日々のストレスから、ケアをしても新人や若手が離職してしまう……」というマネジメントの悩みに対してアドバイスをもらったのは、おなじみ、メンタル心理カウンセラーやメンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーの資格を持つ、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家、十束おとはさん。

お悩みを解決するために十束さんが提案する「3つのステップ」をご紹介します!

十束 おとはさん

十束 おとは(とつか・おとは)さん

アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■XInstagram

お悩み:部下がメンタル不調ですぐに離職してしまう

34歳/営業/転職経験なし

営業チームのリーダーをしています。

新人メンバーの育成にも取り組んでいますが、営業という仕事柄、数字へのプレッシャーもありますし、お客さまから厳しい言葉をいただくこともあり、若手の女性たちがなかなか定着しません。

メンタル面の負荷が大きいからこそ、こまめに声をかけたり、ランチやお茶の時間を使って話を聞いたり、難しいお客さま対応には同行したりと、自分なりにケアをしてきたつもりです。

それでも、メンタル不調や早期離職につながってしまうことが多く、どうすればチームメンバーが安心して働き続けられるのか悩んでいます。部下のメンタルケアについて、もっとよい関わり方や考え方があれば教えていただきたいです。

ご相談いただき、ありがとうございます。そして、毎日お仕事お疲れさまです!

営業というお仕事は、日々成果との勝負。やりがいを感じる一方でプレッシャーも強く感じ、離職してしまう……これは多くの企業で起きている構造的な課題とも言えそうです。

相談者さんは、既にこまめに声を掛けたり、ランチやお茶に行き話を聞くなど、リーダーとしてできる限りのケアをされてきました。その誠実な姿勢は、きっとチームのみなさんも感じていると思います。

この課題を紐解くには、メンタルヘルスケアに加え、キャリア形成の観点が欠かせません。なぜなら、若手が職場に留まるかどうかは単に心が折れないかだけでなく「ここで働くことでキャリアアップが目指せるのか」「日々働きやすい環境なのか」を実感できることが大切だからです。

以下、3つのポイントに分けて、おすすめ解決策を記載するのでぜひ参考にしてみてください。

POINT1:「悩みが自然に出てくる仕組み」をつくる

相談者さんの丁寧なコミュニケーションは大きな支えになる一方、相談ベースのケアには限界があります。

新人は「何を相談したらいいかすら分からない」ことも多いからです。また、リーダーが心理的安全性の”唯一の供給源”になってしまうことでチームのバランスが崩れてしまう恐れもあります。

そこで重要なのが、「悩みが自然に出てくる仕組み」を整え、チームとしての力を強くすることです。

例えば……

・会議とは別に、週一回「成功・失敗のミニ共有会」をし、チーム全員で目線を合わせる

・日報に「気持ちメモ欄」を入れ、書くことで思考を日々整理してもらう

・1on1だけでなくチーム制度なども検討し個人間で問題を抱えないようにする

などです。

個人の頑張りではなく、仕組みで支えることが、定着率を上げるカギになるかもしれません。

話し合いをするビジネスパーソンたち

POINT2:リフレーミング(物事の見方を意図的に変える)の考え方を取り入れる

営業活動で繰り返される”拒否・クレーム・目標未達”は、心理学では「ストレッサー」と呼ばれます。

日々ストレッサーにさらされると、多くの人は以下のような思考になるといわれています。

1. 認知評価:「自分は無能だ」「人格を否定された」と脅威的に捉える

2. ストレス反応:コルチゾール(ストレスホルモン)が過剰分泌され、不安・抑うつが増す

その結果、早期離職に繋がる恐れがあります。

リフレーミングはこの「認知評価」の段階に直接介入する認知行動療法の1つです。

具体例を出すと、

・「お客さまに叱られた」→「伝え方の課題が一つ見つかった」と捉え、チーム全体でコミュニケーションの取り方を見直す

・「断られた」→「次に繋げるための貴重なデータを得た」と再解釈する

のような形で物事の捉え方を少し変えてみるのです。

考える女性

最初から大きく考え方を変えるのは難しいと思いますが、POINT1でお話しした会議や1on1の中で少しずつチーム内でこの考え方を定着させることで解決志向が強くなり、チームとしてさらに働きやすくなるかもしれません。

失敗を責めるのではなく、改善のチャンスと捉えてチームで動くことができたら少しは部下の仕事への印象も変わるのではないでしょうか。

POINT3:キャリアの見取り図をつくり、具体的に将来を想像できるようにする

相談文にあった、若手の女性たちが不安に感じることの一つが「この仕事を続けた先に、どんな未来があるのか分からない」という将来の不確実性。

顧客対応がメインで、自分一人で完結できない仕事が多い営業職は「妊娠・出産=キャリア中断」というイメージが強く、20代後半になると急に離職が増えると言われています。

そこで必要なのが、キャリアの“見取り図”を後輩や部下と一緒につくり、将来を具体的にイメージできるようにすること。

例えば、

・ライフステージの変化があっても働き続けているリアルなロールモデルの提示

・「営業→企画→マネージャー」など、営業経験を活かしたキャリアパス図の可視化

・1年後・3年後にチーム内でどんな役割を担ってほしいかを言葉にして伝えるようにする

など。

キャリアの地図が描けると、日々の困難が“通過点”として捉えられ、心の消耗が大幅に減り、安心感も増します。

また、キャリアパスの図が描けると将来に向かって進む力が強くなり日々の業務に対する意識も変わってくるかもしれません。

1on1で将来の見取り図をつくる女性

以上、3点のポイントをお話ししてきました。

今必要なのは、
・課題に対して、個人ではなくチームで向き合うこと
・ストレスを「成長の材料」に変換する認知のトレーニング
・将来を具体的にイメージできる手助け
なのではないでしょうか。

個人の献身から、仕組みによるケアへ。 若手女性たちが「このチーム・会社なら続けられる」と思える組織を作ることこそが、定着への第一歩となると思います。

応援しています。

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