「連休で一気に疲れを取ろう」は逆効果? 新環境に飛び込んだ人が五月病にかからないためのセルフケア【十束おとは】
働く女性が抱える仕事やキャリアにおけるメンタルヘルスのお悩みに、キャリア×メンタルヘルスの専門家、十束おとはさんが回答!心身ともにヘルシーに働き続けるためのヒントをお届けします。
4月から新しい環境に飛び込み、駆け抜けてきた人たちも、やっと一息つけるゴールデンウィーク。
「連休でしっかり疲れを取って、また頑張ろう!」と思う一方で、緊張の糸が切れて、五月病になってしまいそうで怖い……という方もいるのではないでしょうか。
今回、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家、十束おとはさんに答えてもらったのは、4月から新しい環境に飛び込んだ女性からの五月病に関する相談。
五月病にかからないために、今のうちからできるセルフケアについて教えてもらいました。
十束 おとは(とつか・おとは)さん
アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■X/Instagram
お悩み:新しい環境でどっと疲れが…五月病にかかりそうで今から不安
4月から新しい職場で働き始めました。
今のところ大きなトラブルはないのですが、毎日気を張っていて、家に帰るとどっと疲れが出てぐったりする毎日です。
同僚もいい方ばかりですし、仕事もやりがいがあるのですが、GWの連休で緊張の糸が切れたら、五月病のような状態になってしまうのではないかと少し不安です。
連休明けも前向きな気持ちで働くために、今のうちにできるメンタルケアや、気をつけておいた方がいいことがあれば教えてください。
ご相談いただきありがとうございます。
4月から新しい環境で日々頑張っていらっしゃるのですね。大きなトラブルがなくても、環境が変わるだけで心身には想像以上の負荷がかかるもの。
「やりがいもあるし、人にも恵まれている。それなのに疲れてしまう」という相談者さんの気持ちは、共感できる方も多いのではないでしょうか。
人は新しい環境に入ると、周囲に合わせ、早く慣れようとする中で、普段以上にエネルギーを使います。気がつくと一日中どこか気を張っている……そんな状態が続きやすくなり、自律神経が乱れてしまうことも。
特に転職直後のように緊張感が高い時期は、不調のサインが自覚しにくいかたちで積み重なります。
たとえば、
・以前より眠りが浅い
・食欲が落ちている
・休日に何もする気が起きない
・ちょっとしたことで気持ちが揺れやすい
など、こうした変化は忙しい日々では見過ごされがちですが、体と心からの小さなサインです。
まずは「少し負荷がかかっているかもしれない」と自分の疲れに気がつくことが、五月病を防ぐためのセルフケアの出発点になります。
「まだ大丈夫」とやり過ごすのではなく、「いつもより30分だけ早くベッドに入る」「ぼーっとあえて何もしない時間をつくる」など、小さな行動でも自分を労ることが大切です。
「連休で一気に回復」を目指すと、五月病を招きやすい?
そもそも、五月病はなぜ起こるのでしょうか。
背景にあるのは、環境変化に伴うストレス反応(環境適応ストレス) と、その反動として起こるエネルギー低下と言われています。
4月は新しい環境や業務に適応するため、無意識のうちに 高い集中状態が続きます。この状態は、交感神経が優位になりやすく、知らず知らずのうちにエネルギーを消耗してしまいます。
交感神経が高まっている状態は、疲れやストレス、不安に気付きにくい特徴があるため、どんどん疲れを溜めてしまうのです。
そしてGWの連休で一度その緊張が緩むと、副交感神経が優位に切り替わり、 それまで抑えていた疲労や不安が一気に表面化しやすくなります。
■副交感神経・・・身体のリラックス状態を促進する役割
わたしたちの身体はこの2つの神経がシーソーのようにバランスを取りながらはたらくことで、身体の状態(自律神経)を正常に保っています。
しかし上記のようなジェットコースター状態になることでバランスが乱れ、その結果、休んだはずなのに「やる気が出ない」「仕事に戻るのが億劫」といった五月病の症状につながります。
早く職場に馴染もうとする姿勢は素晴らしいことです。ただその分、自分のケアが後回しになりやすいのも事実。
「せっかく転職したのだから上手くやらなければ」という思いが強いほど、無意識のうちにアクセルを踏み続けてしまうことも少なくありません。
五月病を防ぐうえでまず大切なのは、「連休で一気に疲れを回復すること」ではなく、「連休前から負荷を調整しておくこと」です。
できる範囲で予定を詰め込みすぎず、短い時間でも意識的にリフレッシュの時間をつくる。それだけでも、日々の疲労の積み重なり方は変わってきます。
あわせておすすめしたいのが、「今日できたこと」を日記などで具体的に振り返る習慣。新しい環境ではどうしてもできていない部分に目が向きがちですが、小さな前進やできたことを書くことで、客観的に自身を振り返ることができ、自己効力感が芽生えます。
連休中・連休明けにできる五月病対策
連休中は「しっかり休む日」と「少し整える日」を分けておくと、連休明けの負担を和らげることができます。
最終日は、仕事に関する情報に軽く目を通したり、翌週の予定を確認したりと無理のない範囲で助走をつけておくのがおすすめです。
連休明け初日も、最初からフルスピードに戻すのではなく、リハビリ期間と捉えて徐々にペースを上げていくと良いでしょう。
私自身も、この季節は気持ちが落ち込みやすくなることがあります。そんなときは無理に引き上げようとせず、あえてペースを落としてローギアで過ごすようにしています。
気持ちが揺れる時期があることを前提に、自分の状態に合わせて整えていく。それもまた、長く働き続けるための大切な力です。
今感じている疲労や不安は、環境に向き合っているからこそ生まれるものです。焦らず、日々の中で少しずつ整えていくことが、結果的にこれからの土台になっていくでしょう。応援しています。
『十束おとはの「キャリア×メンタルヘルス相談室」』の過去記事一覧はこちら
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