「褒められると気まずい」Z世代の本音とは?Z世代マーケターと『女の転職type』編集長が語る新時代のマネジメント術

「褒められると気まずい」Z世代の本音とは?Z世代マーケターと『女の転職type』編集長が語る新時代のマネジメント術

「今の若手、何を考えているのか分からない……」
「褒めて伸ばそうとしているのに、なぜか部下が喜ばない」

そんな悩みを抱える「上司世代」と、冷静に職場を見つめる「Z世代」。

そんな両者の溝を埋めるためのヒントを探るべく、Z世代マーケター長田麻衣さん×『女の転職type』編集長 小林佳代子によるトークイベント「”理想の職場”はどこにある? 〜ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代 刊行記念〜」が、4月23日に下北沢の「本屋B&B」で開催されました。

登壇したのは、Z世代研究の第一人者であるSHIBUYA109 lab.所長・長田麻衣さんと、多くの女性のキャリアに寄り添ってきた『女の転職type』の小林佳代子編集長。

B&Bならではのアットホームな雰囲気の中、今の時代の「理想の職場」についてのトークが繰り広げられました。

舞台は下北沢「本屋B&B」。ビールを片手に語る“働くリアル”

イベントの会場となったのは、下北沢の話題のスポット「BONUS TRACK(ボーナストラック)」内にある「本屋B&B」。

店名(Books&Beer)の通り、こだわりの生ビールを楽しみながら本に囲まれて過ごせるユニークな空間です。

「BONUS TRACK(ボーナストラック)」内にある「本屋B&B」の様子

この日はトークテーマに合わせ、入り口付近には女性の生き方やキャリアに関する本が数多く並べられていました。

「BONUS TRACK(ボーナストラック)」内にある「本屋B&B」の様子

カウンターで提供されるクラフトビールなどを片手に、リラックスした雰囲気でイベントはスタートしました。

Z世代の心理を読み解くキーワード「Z団子」と「凪メンタル」

今回のテーマは「理想の職場」。1万人以上のZ世代(20代前半〜30代半ばまでを含む若手層)の生の声を聞いてきた長田さんと、転職市場の最前線を見続けてきた小林が、データと実体験をもとに「世代間のコミュニケーションの悩み」を解き明かしていきます。

トークは、上司世代が驚く「Z世代のリアルな心理」からスタートしました。

Z世代マーケター長田麻衣さん×『女の転職type』編集長 小林佳代子によるトークイベント「”理想の職場”はどこにある? 〜ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代 刊行記念〜」の様子

“Z団子” “凪メンタル”というインパクトのあるキーワードがスライドに投影されました。

長田さんが提示したのは、「Z団子」というキーワード。これは「一人で目立ちたくない、みんなと一緒に調和を大切にしたい」という、強い同調意識と自衛本能を表した言葉だそうです。

長田さん

今の若者は、突出して褒められることに「気まずさ」を感じます。

自分だけが良い思いをして周りの調和を乱したくない。みんなで一緒に評価されたい、という「団子」のような感覚なんです。

さらに、彼らの根底にあるのは「凪(なぎ)メンタル」への憧れ。感情の起伏を抑え、常に余裕があるように見せたい。突発的な出来事に振り回されず、平穏な状態を保ちたいという意識が非常に強いといいます。

小林

「頑張っている姿を見せるのが恥ずかしい」という感覚、今の20代〜30代前半の方たちには共通していますよね。

周りから浮かない程度には頑張りたいけれど、いざ転職を考えたときに困らないよう、自分自身の市場価値やスキルだけは着実に高めておきたい。そんな、非常に現実的な視点を持っているのも、今の世代の特徴ですね。

「マルハラ」に怯えるZ世代と「ちょうどいい距離感」の正解とは

コミュニケーションのすれ違いは、チャットツールでも起きています。最近話題の「マルハラ(マルハラスメント)」についても触れられました。

Z世代マーケター長田麻衣さん×『女の転職type』編集長 小林佳代子によるトークイベント「”理想の職場”はどこにある? 〜ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代 刊行記念〜」の様子

上司世代にとっては当たり前な文末の「。」が、Z世代にはプレッシャーになるといいます。

文末の「。」(句点)に威圧感や怒りを感じてしまう若者たち。彼らはあえて句点を使わず、絵文字やスタンプで感情を表します。

長田さん

上司世代が良かれと思って送る丁寧な文章が、彼らには「怒っているのかな?」と伝わってしまう。ツールの使い方の違いも、「気まずさ」の一因なんです。

実際、長田さん自身も部下へチャットを送る際は、威圧感を与えないよう語尾に「!」や「〜」、あるいは絵文字を添えるのがマイルールとのこと。

逆に、本当に怒っている時や深刻な状況を伝える時には、あえて「。」で締めることもあるのだそう。そんな距離感に悩む上司世代へ、長田さんがおすすめしたのが「飲み会のお店は上司が選ぶ」という具体的なアクション。

長田さん

若手に「飲み会をするから、好きなお店を選んでいいよ」と丸投げするのは、彼らにとっては実は大きな負担。

上司が責任を持ってお店を決め、後輩には「予約だけお願いね」と頼む。これくらい、役割と負担を明確に分担してあげるのが、今の時代にはちょうどいい距離感なんです。

「ワークライフバランス」から「ワークライフハーモニー」へ

働き方の観点では、従来の概念がアップデートされていることが語られました。それが、「ワークライフハーモニー」という考え方です。

これまでの主流は、仕事(ワーク)と生活(ライフ)を天秤にかける「バランス」でしたが、今は仕事が生活の中に自然と包含され、調和している状態が理想だとされています。

小林

働く場所や時間が生活の中に無理なく馴染んでいること。仕事のために生活を犠牲にするのでもなく、完全に切り分けるのでもなく、心地よく同居している状態を求めている人が増えています。

長田さん

Z世代にとって、仕事は自己実現のすべてではありません。でも、成長したくないわけではない。

生活の一部として、自分らしくいられる環境で着実にスキルを身につけたいと考えているんです

管理職は「偉い人」ではなく「役割」と捉える

イベントの終盤、話題は「これからの組織とリーダー像」へ。『女の転職type』が調べたデータによると、働く女性の半数以上が「管理職になりたくない」と回答しています。

この状況に対し、小林は「伝え方のアップデートが必要」と強調します。

Z世代マーケター長田麻衣さん×『女の転職type』編集長 小林佳代子によるトークイベント「”理想の職場”はどこにある? 〜ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代 刊行記念〜」の様子

管理職に「なりたくない派」は54.9%ですが、「なってよかった派」は75.8%。上司に求められるのは伝え方。

小林

管理職という言葉が持つ「責任が重い」「偉い人がなるもの」というイメージが、若手の足を止めています。

そうではなく、「管理職ではなく、管理という役割」だと伝えていくことが大切。チームがうまく回るように交通整理をする、一つの「機能」なんだと捉え直せば、一歩踏出せる人も多いはずです。

理想の職場は「共創」から生まれる

「褒められると気まずい」という本音の裏には、失敗を恐れ、調和を大切にしたいというZ世代の本音がありました。

今の時代の「理想の職場」とは、上司が絶対的な正解を押し付ける場所ではありません。ネガティブなこともポジティブなことも、ありのままをさらけ出し、共に試行錯誤していく「伴走型」の組織を目指すことで、どちらの世代も心地よく働けるのではないでしょうか。

「Z世代は何を考えているか分からない」と諦める前に、まずは上司側が「お店を決める」くらいの一歩を踏み出してみる。その小さな歩み寄りが、世代を超えた「共創」の第一歩になるのかもしれません。

登壇者の著書のご紹介

今回のトークショーに登壇した長田さんと『女の転職type』編集長 小林の著書をご紹介します。

イベントで語られたキーワードや、世代間の価値観をより深く知るためのヒントが凝縮された2冊です。イベントの内容をより深く理解するために、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

『ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代』(長田麻衣 著/徳間書店)

Z世代マーケター長田麻衣著『ほめられると気まずすぎてしぬZ世代、ほめて伸ばそうと必死になる上司世代』書影

『働くわたしの仕事地図』(小林 佳代子 著/ダイヤモンド社)

『女の転職type』編集長 小林佳代子著『働くわたしの仕事地図』書影

文/神武のぞみ(女の転職type編集部)