出産したらエンジニアのキャリアは止まる?復職後も「やりたい仕事」を続けられる女性たちの共通点【サイオステクノロジー】
技術が好きで、エンジニアとして成長し続けたい。そう思うからこそ、結婚や出産によって仕事を離れることに、不安を感じる女性エンジニアは少なくない。
休んでいる間に、技術の進化から取り残されてしまわないか。復職できても、時間の制約を理由に、責任ある仕事や新しい挑戦から遠ざけられてしまわないか――。
では、ライフステージが変わっても、働きやすさとエンジニアとしての成長を諦めないためには、何が必要なのだろうか。
Linuxに代表されるOSSを活用したシステムインテグレーションを原点とし、ソフトウエア製品およびSaaSを提供するサイオステクノロジーで働くY.Kさん、A.Kさん、Y.Hさんも、それぞれ出産や育児を経験する中で、技術者としての焦りや葛藤を抱えてきた。
それでも今、3人はそれぞれの専門領域でエンジニアとしてのキャリアを磨き続けている。
彼女たちは、仕事を離れる不安や復職後のブランクをどう乗り越えてきたのか。3人の経験から、女性エンジニアが長く「攻めのキャリア」を続けるためのヒントを探る。
Y.Hさん(写真左)
2005年に入社し、自社開発のHAクラスターソフトウエアのサポートや導入支援、教育などを経験。現在は同製品の品質保証を担当し、品質保証体制の構築にも携わってきた
Y.Kさん(写真中央)
2012年入社。SI部門で、約150種類のOSSに関する技術サポートを担当。 顧客から寄せられる問い合わせを調査し、技術的な回答を行っている。3度の産休・育休を取得
A.Kさん(写真右)
入社後に文教向け認証システムや自社製品、クラウド環境を活用したアプリケーションの設計・開発などを担当。案件によっては、要件定義から設計、実装、テストまで一貫して手掛けている。2度の産休・育休を取得
成長したいからこそ「キャリアの中断」が怖かった
まずは、皆さんがサイオステクノロジーに入社した理由から教えてください。
私はもともと、「人に技術を教える仕事がしたい」という思いがあり、OSSのサポート業務に興味を持っていたんです。また、自分から「やりたい」と声を上げれば、さまざまなことに挑戦させてもらえるサイオスのカルチャーにも魅力を感じていましたね。
私が入社した当時から、サイオスはLinuxなどオープンソースの分野でパイオニアとしてよく知られていました。そうした環境で経験を積み、自分の知見を広げたいと考えたことが入社のきっかけです。
前職では、扱う言語やシステムが限られていて、「このままではエンジニアとして経験の幅が広がらないのでは」という思いがあったんです。サイオスなら、幅広い仕事や技術に触れられそうだと感じて転職を決めました。
3人ともエンジニアとして経験の幅を広げたい、やりたいことに挑戦したいという思いで入社されたのですね。
だからこそ、結婚や出産を迎えたときには、キャリアの不安も大きかったのではないでしょうか。
私は3回の産休・育休を経験しているので、復職して数カ月働いた後、再び休みに入るような時期もあったんです。その間にも技術はどんどん進化していくので、復帰するたびに「新しい技術についていけていない」という焦りがありました。
私も同じです。結婚したときはそれほど感じなかったのですが、妊娠が分かったときには、産休で長期間会社を離れることになるので「この先、仕事はどうなるんだろう」と不安になりました。
私は技術面だけでなく、そもそも育児をしながら仕事を続けられるのかという不安も大きかったですね。当時は自宅から会社までの通勤時間が長く、保育園のお迎えもあって。限られた時間の中で、どう働き続ければいいのだろうと考えていました。
「一人で焦らなくてもいい」復職を支えたチームのカルチャー
技術の進化から取り残されることへの焦りと、限られた時間で仕事を続けられるのかという不安。そうした気持ちを抱えながら、復職後は最新技術をどのようにキャッチアップしていきましたか?
以前のようにまとまった勉強時間を取ることが難しくなったので、隙間時間を使って本を読んだり、開発チームが作成したドキュメントを確認したりしていました。限られた時間の中で、効率よく情報を得ることを意識していましたね。
私も、隙間時間を使って勉強していました。復職した当時はまだリモートワークではなかったので、電車で本を読んだり、ネットで情報を集めたり。家ではほとんど勉強する時間が取れなかったので、通勤時間に集中して学んでいましたね。
私が復職したときは、チームのメンバーから「最初はスモールステップでいいし、少しずつ思い出していけばいい」と声を掛けてもらいました。その言葉で焦りが和らぎ、休んでいる間にチームが対応した事例やドキュメントを読みながら、少しずつ知識を取り戻していきました。
復職後、チームやメンバーとの関わりはいかがでしたか?
分からないことがあれば周囲に気軽に質問できましたし、「早く追いつかなければ」と一人で焦らずに済んだことは大きかったです。
サイオスでは、産休・育休などで長期間仕事を離れる社員が増えたことをきっかけに、業務の自動化やマニュアル化も進んできました。以前は人が対応していた作業をツールで自動化したり、業務の進め方をドキュメントにまとめたりすることで、育児中の社員に限らず、誰かが離れても仕事が止まりにくい仕組みになっています。
私も、家庭の事情に理解のあるメンバーが多く、とても助けられました。長期の育休に限らず、急な体調不良などで誰かが休んだときにも周囲がフォローできるよう、日頃から業務の内容や状況を共有しています。
全社的に「仕事はチームで進める」というカルチャーがあったからこそ、育児があっても、一人で抱え込まずに働き続けられました。
私も、自分一人の力ですべてを取り戻したわけではありません。周囲には技術力の高いメンバーが多く、教えてもらいながらキャッチアップしていきました。
一時期は開発以外の仕事を担当していたのですが、私が開発の勉強を続けていることを周囲も知ってくれていて。その後、「また開発をやってみない?」と声を掛けてもらったことをきっかけに、開発の現場へ戻ることもできました。
働き方の制約があっても「仕事の幅を広げる」人がやっていること
産休・育休から復職しやすいだけでなく、A.Kさんのようにその後も仕事の幅を広げていけることが大切ですよね。
そう思います。私はもともと「人に教える仕事がしたい」と思って入社したので、以前自分で調べた技術を人に教える機会があったときにも「やってみたい」と手を挙げ、講師役に挑戦しました。
立場や時間の制限に関係なく、自分から「これをやりたい」と声を上げる人には、チャンスを与えてくれる会社だと思います。
私にとっては、現在担当している品質保証の仕事が一つの転機でした。
当時は、会社として明確な品質保証の体制がまだ十分に整っていなかったのですが、担当製品の品質保証に関わるところから始まり、体制づくりにも携わることができました。
それをきっかけに仕事内容が大きく変わり、現在まで品質保証の仕事を続けています。技術や製品のフェーズが変わっていく中で、その変化に立ち会えたことも良い経験になりました。
働き方の変化も大きかったですね。現在は全社でリモートワークが導入され、以前かかっていた通勤時間がなくなったことで、仕事に使える時間の自由度や密度が上がりました。
今は案件によって、要件定義や設計から実装、テストまで一貫して担当することもあります。上流から下流まで経験できるのはとても面白いですし、「こういう機能はどうでしょう」と自分から提案すれば、意見を聞いてもらえる。時間の制約が減ったことで、担当できる仕事の幅も広がったと感じています。
現在は全社でリモートワークが導入されているとのことですが、仕事とプライベートの切り替えや、時間管理に難しさを感じることもありますか?
リモートワークは便利ですが、仕事と家庭が同じ場所にあるため、切り替えが難しいこともあります。気になる仕事があると、すぐに確認できてしまいますから。そういうときは、一度仕事から離れ、早めに寝て頭をリセットするようにしています。
私自身は、「強く自分を律しなければ」と意識することはあまりありません。そのときにやるべきことを把握し、自分で必要なスケジュールを組んで進めています。
それにチームのコミュニケーションが基本的に非同期なので、全員が常に同じ時間に働いていなくても、それほど困りません。その代わり、自分の状況やタスクの進捗を共有し、フォローが必要なことは関係者にきちんと伝える。それぞれが自律しながらも、必要な情報を共有しているからこそ、自由な働き方が成り立っているのだと思います。
サイオスは、社員の声を聞きながら、制度や環境を柔軟に見直していく会社です。育児に関することに限らず、働く上で困っていることがあれば、声を上げることで改善につながることもあって。
最初から完成された制度があるというより、実際に働く社員の意見を取り入れながら、少しずつ変わってきた感覚がありますね。
例えばどんな改善ですか?
以前、育児短時間勤務制度の対象が小学校3年生までだった頃の話です。当時、自宅が遠かった私はフルタイム勤務に戻ると学童のお迎えに間に合わず、「このままでは仕事を続けるのが難しいかもしれない」と悩んでいました。
そのことを当時の上司に打ち明けたところ、上司が人事へ掛け合ってくださり、結果的に制度が「小学校卒業まで」利用できるように変更されたんです。私自身、自分で直接嘆願することはできなかったので、親身になって動いてくれた上司には今でも本当に感謝しています。
性別にとらわれすぎず、自分の“やりたい”を諦めないでいい
最後に、ライフステージの変化を前に「エンジニアとして働き続けられるのか」と不安を感じている女性へ、今伝えたいことを教えてください。
今は、技術を学びたい人にとって、とても恵まれた時代だと思います。Web上にはたくさんの情報がありますし、AIを使って対話しながら調査したり、検証方法を考えたりすることもできますから。
技術を学ぶ手段だけでなく、働き続けるための選択肢も増えていますよね。サイオスにもリモートワークやコアタイムのないフレックスタイム制があり、自分の状況に合わせて働き方を調整できます。
だからこそ、自分が何をしたいのか、どんな仕事をやりたいのかを考え、周囲に伝えていくことで、チャンスは広がっていくのではないでしょうか。自分の気持ちを大切にしながら、エンジニアとしてのキャリアを続けていってほしいと思います。
私も同感です。特に「女性だから」と、性別にとらわれすぎなくてもいいのではないのかなと。女性が出産後に復帰することも、男性が育休を取ることも、今では珍しいことではありません。
私自身も、復職後に周囲に支えてもらいながら、開発者としての経験を重ねてきました。性別やライフステージだけで自分の可能性を決めつけず、まずは自分が何をやりたいのかを考え、それを続けていけばいいのだと思います。
ライフステージの変化は、結婚や出産だけではありません。年齢を重ねれば、介護や病気など、さまざまな出来事が起こる可能性があります。
だからこそ、どのような状況でも相談でき、周囲がフォローしてくれるような、自分に合った環境を選ぶことが大切です。自分を取り巻く状況が変わっても、それを理由に好きな技術まで諦める必要はない。それはぜひ伝えたいですね。


