間宮祥太朗「人生は超長い暇つぶし」10代から変わらない 仕事との“良い距離感”

間宮祥太朗「人生は超長い暇つぶし」10代から変わらない 仕事との“良い距離感”

「役者である前に、一人の人間で、生活があって、仕事がある」

そう話すのは、俳優の間宮祥太朗さん。2026年10月23日(金)全国公開の映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』では、バイオレンスの巨匠・三池崇史監督のもと、連続猟奇殺人事件の容疑者という強烈な役柄に挑んだ。

15歳で俳優の仕事を始め、現在33歳。経験を重ねても変わらないのは、自分の生活の中に仕事があるという感覚だ。間宮さんが語る、仕事とのほど良い距離感とは。

間宮祥太朗さん

間宮祥太朗さん

1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。ドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』(2008年・日本テレビ系)で俳優デビュー。主な出演作に、『ナンバMG5』(22年・フジテレビ系)、、『イグナイト -法の無法者-』(25年・TBS系)、『良いこと悪いこと』(25年・日本テレビ系)、『ダウンタイム』(26年・Netflix)、『神のクイズ』(26年12月4日配信開始予定・Prime Video)、映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』(26年)など ■Instagram

「自分はこうする」を決め過ぎなくていい

映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』で間宮さんが演じるのは、小栗旬さん扮する刑事・矢吹恭二が追う、連続猟奇殺人事件の容疑者・石塚満。幼少期に親に捨てられ、身をささげた組織も服役中に解散したという、孤独な背景を持つ人物だ。

強烈な役柄だが、間宮さんが意識したのは、怖さや狂気を際立たせることではなかった。

間宮さん

石塚は、屈折した方向にピュアな男なんです。純粋な少年の部分がずっと残っていて、それがゆがんだ形で表に出てしまった人物なのかなと捉えていました。

過激な描写は、自分が意識して過激に演じようとしなくても、撮影していけば人物として肉付けされていくと思いました。なので、なぜそんな行動をするのか、そのもう一つ奥にあるピュアな部分を意識しました。

作中画像

かねてから出演を望んでいた三池崇史監督の作品。その中でも、強い印象を残す役に選ばれたことは「めちゃくちゃうれしかった」と振り返る。一方で、自分からあれこれと味付けを加えなければ、という気負いはなかった。

間宮さん

三池作品には、強烈な印象を残す登場人物がこれまでもいましたよね。今回も、この作品の中の石塚という役なら、おのずとそうなるだろうなと想像していたので、あまり難しくは考えていなかったです。

間宮祥太朗さん

役柄の強烈さとは対照的に、仕事への向き合い方を語る言葉は、どこまでも淡々としている。「いい仕事」をするためのこだわりを尋ねても、間宮さんは「こだわりと思ってやっていないかもしれない」と言葉を探した。

間宮さん

作品の作風は、俳優個人というより、監督や脚本が持つものの方が大きいと思うのでそこに対応できるように、できるだけ柔軟でいる、ということですかね。

「いい仕事」の答えは、自分以外が決めるもの

間宮祥太朗さん

その場で求められることを柔軟に捉え、自分の役割を果たす。

そんなスタンスを大切にする間宮さんは、何をもって「いい仕事」とするかも、自分で決めるものではないと考えている。

間宮さん

「良い役者だ」というのは自分以外が決めることだと思っていて。

僕も「いい役者だな」と思う人はいますが、同業者だからというより、観客としての自分がそう感じていることに近いと思っています。

自分の中で「いい役者とはこういうものだ」と像をつくって、そこを目指したとしても、監督やスタッフ、観てくれる人がそう思わなかったら、その像にはあまり意味がないと思っています。

仕事を続けていれば、「こんなふうに働けたら」「あの人のようになれたら」と、理想を思い描くこともある。

ただ、自分が考える「良さ」と、一緒に働く人や仕事の受け手が感じる「良さ」は、必ずしも一致しない。

間宮祥太朗さん

間宮さんは、俳優に向けられるまなざしも、時代によって変わると話す。

間宮さん

昔は、例えばお店にいる人の会計を全部払って帰るような、豪快な人が「映画スターだ」と思われていた。でも今は、「あの人も特売品を買うんだ」といった共感が、喜びにつながることもありますよね。

もちろん人によると思いますけど、「いい役者」という言葉にも、それぞれの価値観があるんだと思います。

何をもって「いい」とするかは、人によっても、時代によっても変わる。

そう考えると、自分で決めた理想の姿に届かないからといって、自分を否定する必要もないのかもしれない。

生活があって、仕事がある。その順序は変わらない

間宮祥太朗さん

仕事がどう評価されるかは、自分一人では決められない。では、間宮さん自身にとって、働くことにはどんな意味があるのだろうか。

その答えは、10代の頃から変わらない人生観につながっていた。

間宮さん

人生はすでにスタートして走っているけれど、ゴールテープがどこにあるかは分からない。その状態で進んでいる「超長い暇」みたいなものだと、僕は昔から捉えているんです。

その長い暇をどうやってつぶすのか。ご飯は食べないといけないし、食べるためにはお金がいる。そのために仕事をするなら、できれば自分が楽しめるものの方がいい、という感覚です。

人生は「超長い暇」。独特の表現だが、その話はとても身近だ。間宮さんは、そんな考えの根底にある「順序」を口にする。

間宮さん

役者である前に一人の人間で、生活があって仕事がある。この順序みたいなものは、昔から変わっていないと思います。

間宮祥太朗さん

仕事で期待される役割や、周囲からの評価。懸命に働くほど、それらが自分の全てのように感じられることもある。けれど、仕事を離れたところにも日々の暮らしはあり、一人の人間としての自分がいる。間宮さんの言葉は、その当たり前を思い出させてくれる。

その生活の一部として、俳優の仕事を続けてきた理由も、実にシンプルだった。

間宮さん

演じている最中に楽しさややりがいを感じるからです。それは昔も今も感じているので、続いているのかなと思います。

僕は野球をやっていたんですけど、試合が一番楽しくて好きだったんです。素振りをして楽しいと思ったことは、一度もなくって。それでも試合に勝ちたいから練習する。仕事も同じようなものなんだと思います。

人生を「超長い暇」と捉える間宮さんは、その時間の中に、演じる楽しさを見つけてきた。暮らすために働き、楽しいと感じる瞬間があるから、また続ける。その率直な言葉には、働く理由を立派に語ろうとする気負いがない。

「こうあるべき」に追われて息が詰まったら、「できれば楽しめるものの方がいい」という感覚に戻ってみる。長い人生の中にある仕事を、少し軽やかに捉え直せるかもしれない。

取材・文/小島浩平 撮影/笹井タカマサ 編集/大室倫子(編集部)
ヘアメイク/三宅茜 スタイリスト/津野真吾[impiger]

映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』2026年10月23日(金)全国公開

三池崇史監督と主演・小栗旬、リリー・ジェームズらが集結したサスペンスアクション。ハリウッドスタジオNEONが企画段階から北米配給を決めた注目作。

新宿・歌舞伎町で、連続猟奇殺人事件が発生。ドラッグやギャンブルに溺れる刑事・矢吹恭二(小栗旬)は、捜査の末に容疑者・石塚満(間宮祥太朗)へとたどり着く。

一方、次期アメリカ大統領の娘の失踪を追って来日したFBI捜査官グエン(リリー・ジェームズ)は、矢吹と組んで捜索することに。二人が追う別々の事件は、やがて東京の裏社会で交錯していく。

映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』

監督:三池崇史
脚本:天願大介
出演:小栗旬、リリー・ジェームズ、間宮祥太朗、リヴ・モーガン、野村周平、西野七瀬、向里祐香、岩田剛典、渡邊圭祐、中野英雄、村上淳、國村隼、舘ひろし(特別出演)
主題歌:Ado「Raven Sky」(UNIVERSAL MUSIC / Capitol Records)
配給:【日本】ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント【北米】NEON
公式サイト:https://blt-movie.jp/
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