世の中から求められる人ってどんな人? 「市場価値」を高める3つのステップ

世の中から求められる人

転職を考えたとき、気になるのが自分の市場価値。「私の能力や経験は、本当に他の企業や業界でも通用するのだろうか……」そんな不安から、いろいろ資格を取ったり、スクールに通ったりする人も多いのでは? だが、『市場価値測定プログラム』の開発者である株式会社企業変革創造 代表取締役・藤田聰さんは、「自分の市場価値を見つめ直すとき、真っ先にやらなければいけないことは他にある」と話す。

時代や環境に左右されない普遍のスキルが
市場価値を高めるベースとなる

世の中から求められる人

まず踏まえておきたいのは、ビジネスにおける能力構造についてだ。世の中には多種多様なスキルがあるが、それらを分類すると、業種・職種によって異なる専門的なスキルと、業界や会社が変わっても共通して求められる根幹的なスキルの大きく2種類に分かれる。

「スマートフォンで例えると、根幹的なスキルとはスマートフォンを動かすための基本ソフト、専門的な実務能力は+αとなるアプリです。スキルアップを考えたとき、ついアプリを増やさなければと、資格取得などの分かりやすいものに目がいきがちですが、こうした専門的な能力は環境で大きく左右されます。同じ業界・業種であったとしても、会社ごとにやり方や方針は異なるものですし、その会社の業界での立ち位置によっても変わってくる。A社で活躍していた人がB社に転職して同等のパフォーマンスをあげられるとは限らないのです。また、時代の流れによってアプリは古くなったり陳腐化してしまうもの。だからこそ自分の市場価値を高めていくためには、まずは基本ソフトの性能を上げることが重要なんです」

藤田さんが「根幹的なスキルを磨くために、まずはここから考えてほしい」と提案するのが“自立の3要素”となる能力だ。以下3つのステップで考えてみよう。

ステップ1:自分の軸を考える!
パーソナルバリュー保有能力

「バリューとは、言い換えるなら“過去の出会いや出来事、成功体験や失敗体験を通じて形成された自分自身の価値観や行動規範”です。自分のことを理解していなければ、どのようなキャリアを歩み、どのようなスキルを身に付ければいいか分からないですよね。自分の軸が何なのか自己対峙することが、これからのキャリアを考える上での第一歩と言えます」

とは言え、自己対峙といっても何をすればいいのだろうか。

「幼少期から現在までの間で、自分が影響を受けた人との出会いや経験を紙に書き出してみてください。そうやって過去の棚卸しをすることで、自己理解が深まっていきます。自分一人でやるのが難しければ、誰か壁打ちをしてくれる相手と対話をしながら進めてもいいし、ワークショップに参加してみるのも有効な手段の一つだと思いますよ」

ステップ2:理想像を定める!
パーソナルビジョン策定・概念化能力

「ビジョンとは、目的地や理想像のこと。5年後、10年後、どうなっていたいのか。ビジョンが明確になれば、そこに辿り着くためにはどういう能力・実績が必要なのか、自然と見えてくるはずです。そうすると、伸ばすべきところを正しく選択し、磨き上げていくことに集中できる。この能力が高い人は、他の能力も秀でていることが多いですね」

こうありたいという自分の理想像を見つけるためには、「周囲からお手本となる人を見つけるのが一番手っ取り早いですよ」と藤田さんは言う。しかし、社内を見渡してもロールモデルとなる人を見つけるのはなかなか難しい。

「キーワードは、オープンであることです。どんな人にも必ず転機や節目があるもの。その人のキャリアストーリーを聞いてみれば、きっと何かのヒントとなるはずです。会社には何かしら話題に上がる人がいるものですし、それには必ず理由があります。そんな人に自分から積極的に接点を持ってみてはどうでしょうか。あるいは社内だけでなく、業種や国籍、世代の違う人と関わってみるのもいいかもしれません。イノベーションを起こすには、異種との交わりが大切なんです」

ステップ3:道筋を立て、行動に移す!
パーソナルストラテジー策定・実行能力

「ストラテジーとは、直訳すると戦略。自分が決めたビジョンに辿り着くための道筋を立て、行動に移す力を意味します。ビジョンが明確になって必要な能力や実績が分かっても、それらを伸ばすための行動をしなければ意味がありません。アクションを起こすことで、初めて市場価値は上がっていきます」

目的地に到達するために、いつ何をすればいいか。行動計画を立てる上で、ポイントは「近い未来から考えること」だそう。

「近い未来から、一つずつやるべきことを考える。そうやってアクションプランを立てたら、手帳に挟んでおくとか、いつでも見られるようにしておくといいですね。常に意識をすることで自然と行動が変わっていきますよ」

これからはビジネスプロフェッショナルの時代
自分だけの“尖った”武器を見つけよう

「これからはビジネスプロフェッショナルの時代。何か尖ったものがないと、なかなか声を掛けてはもらえません。だから、市場価値の高い人材となるには、根幹的なスキルを磨いた上で、ある特定の領域を深掘りしていくことをおすすめします」

今後、ますますIT化が進めば、単純作業の多くはコンピュータに取って代わられると多くの識者も予測している。まさに代わりのきかない自分だけの武器が求められる時代となりそうだ。この変化を行き抜くために、まずは自分自身をじっくり振り返ってみることから始めてみてはいかがだろうか。

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 株式会社企業変革創造 代表取締役 藤田聰さん

株式会社企業変革創造 代表取締役
藤田聰さん

能力開発・キャリア開発の専門家。日本IBM、PAOS等を経て独立。日本を代表するリーディングカンパニーを中心に、 延べ50万人以上の能力測定を実施。現在は中小・ベンチャー企業の社員力向上支援および大手企業のグローバル人材育成支援に注力している。現在、専門家のポータルサイト『AllAbout』の「キャリアプラン」と「リーダーシップ」のオフィシャルガイドとして、週1回のペースでコラムを執筆中

取材・文/横川良明