「就社」の時代は終わり「就職」の時代へ――今、1社で働き続けるリスクとは【連載:転職サプリ】

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これまでのカウンセリング件数は2万件以上! 女性に大人気のキャリアカウンセラー水野順子さんへの連載取材で、長く働き続けたい女性に役立つ転職・キャリアの情報を発信していきます。初めての転職活動に役立つノウハウも盛りだくさん! 長期的な視点で今後のシゴト人生を考える上でも参考にしてくださいね。

生涯ずっと1社で働き続ける――。それが当たり前と言われる時代もあったが、現代の20~30代にとっては想像し難いことかもしれない。転職を経てキャリアアップしたり、自己実現を果たすことは、いまや当たり前のことになった。

一方で、日本では諸外国に比べていまだに「一社で長く勤めること」への評価は高い傾向がある。一社に長く勤め続ける……それは強みにもなり得るが、リスクも孕むとキャリアカウンセラーの水野順子さんは話す。

「視野の狭さ」に無自覚なのは危険! 実は損することも多い……?

一社

「転職を経験せず、一社でしか働いたことがない人はどうしても視野が狭くなってしまいがち。その視野の狭さに無自覚でいることは、リスクになり得ます。例えば、より自分に適した仕事があることや、より高い評価を得られる職場があるかもしれないのに、それに気づくことができません。それによって、キャリアアップや収入アップなどの機会を失ってしまっている可能性もあります」

また、今いる会社でしか通用しないスキルが、いざ転職しようと思った時に不利になることもある。長く1社にい続ければい続けるほど、自分の中での転職へのハードルも高くなるかもしれない。

水野さんがこれまでにキャリアカウンセリングを通じて出会った女性たちの中には、ずっと1社で働き続けてきたという人も少なくない。彼女たちに共通するのは、「社内や人間関係の調整能力が高いこと」、「1つの仕事に関しての知識や経験が豊富であること」、「着実に成果を上げる意識があること」だという。

一方で、新しい環境に溶け込む力や、マルチタスク遂行能力などは、複数社での勤務経験がある女性の方が高い傾向があると感じるそうだ。

「ずっと1社で働いてきても、会社の経営状態が危ういなど、環境のせいで転職をせざるを得ないパターンがあります。しかし、中年になっても転職経験がないと、未経験業界や未経験職種に転職するのはかなり難しい。年齢的にも即戦力やリーダークラスの仕事を求められるため、どうしても経験したことがある仕事でしか転職がうまくいかないケースが多いのです」

また、本人が「今さら他の仕事は無理だろう」と諦めてしまうケースもよくあるそうだ。長く勤めた会社への未練が残っていてなかなか次を考えられなかったり、転職タイミングを逃し続けてしまう人も少なくない。

変化する時代に対応するには?
仕事の中で「知識」、「経験」、「視野」を広げていこう

変化

グローバル化、さまざまな技術革新がスピーディーに進む現代社会。ずっと同じ仕事があるかどうかも分からない、会社がずっと今のまま変わらないとも限らない、そんな中に私たちは生きている。

そんな時代にあって、「転職できる力」を持つことは、誰にとっても大事なものだ。

1社にずっといることを選んだとしても、自分のスキルに偏りが出過ぎたり、視野の狭さに無自覚でいることは避けるべきこと。「何がおきても、どこにいっても大丈夫」と思えるよう、日々の仕事の中で自分のスキルを磨いておきたい。

また、水野さんは「就社の時代は終わった」と断言する。これからは、自分がどんな仕事をしていきたいかを選ぶ「就職」の時代だという。どこの会社で働いているかよりも、どんな仕事ができる人なのかということがより一層大事になっていく。自分ができることの質を高め、幅を広げておくことが、何よりの不安解消につながる。

「知識」、「経験」、「視野」この3つを広げていけるよう、日々の仕事の中で意識してみよう。

キャリアカウンセラー 水野順子さん

【お話を伺った方】
キャリアカウンセラー
水野順子さん

株式会社キャリアコレクション代表取締役、All About女性の転職ガイド。公務員・外資系大手人材サービス会社を経て独立。キャリアカウンセリングや研修・講演を通じ、メンタルケアや人間関係の築き方などを含めた女性のキャリア支援を行っている。過去に20,000人以上へのキャリアカウンセリングと、60,000人以上への講演・研修によるキャリア支援実績がある
■ホームページhttp://www.mizunojunko.com

取材・文/栗原千明(編集部)