日本の女性はなぜ自分に自信がない? ドイツで子育てをして学んだ“自己肯定感を育む”コミュニケーション

ドイツ人女性に学ぶ「豊かさ」のヒント
池原真佐子の日独ワークライフ通信

仕事と子育てを両立しながら日本とドイツの二拠点で生活を送る著者が、ドイツ人女性の働き方や生き方を見て感じたこと、学んだことをお届けしていきます。豊かな人生をつくるワークライフのヒントが見つかるかも!

池原真佐子

Woman type読者の皆さん、こんにちは。株式会社MANABICIA代表の池原真佐子です。私は現在、ドイツと東京を行き来しながら、仕事と育児の両立をしています。

連載4回目となる今回は、ドイツと日本の「コミュニケーション」の違いについて考えてみたいと思います。

ドイツと日本を行ったり来たりするようになり、とても敏感になったことが一つあります。それは、「子どもとの接し方・コミュニケーション方法」の違いです。

内閣府が出している、平成26年度の若者に関する調査によると、日本の若者は、ドイツの若者と比較して、以下の項目が圧倒的に差が出ています。

自分に満足している:日本(45.8%)ドイツ(80.9%)
自分に長所があると思う:日本(68.9%)ドイツ(92.3%)
わからないところにも意欲的に取り組む:日本(52.2%)ドイツ(80.5%)

つまり、自分のことが好きではなく、新しいことにもチャレンジできない……。これは、私が『Mentor For』という事業を行う中でも、多くの女性から聞く言葉です。

なぜこのようなことになるのでしょうか?
また、どうやったら大人になってこうした状態から抜け出せるのでしょうか?

日本では、子どもに“おりこうさん”でいることを求め過ぎ?

一つ例を出しましょう。

つい先日、日本のあるカフェで、親子連れを見かけました。子どもは3歳くらいの男の子。自分でポテトにケチャップをつけたいようで、ケチャップのボトルを持って何とか奮闘しています。がんばってはいますが、ちょっと手元がフラフラ。

しかしそれを見ているパパとママは、こう続けます。


「何やってるの!汚れるでしょ?」
「ほらー、はみ出してるじゃない!」
「ママに怒られるから辞めなさい」
「こういう風にすればいいのよ!」
「だから●●ちゃんはいつも……」

……そして、「ケチャップをかけすぎたら、病気になって前みたいに入院しなきゃいけなくなるよ?」という軽い脅しも続きます。子どもはすっかり萎縮してしまい、自分でケチャップをかけようとするのをやめました。

もちろん、ケチャップで服やカフェが汚れるのは避けたいし、本当に子どものことを心配しているのは分かります。また、公共の場でケチャップを大量に振りかけて、周りにかかってしまっては大変です。

しかし、「注意・否定・脅し」、「小言のオンパレード」というコミュニケーションは、子どもに良い影響を与えるのか、という点では疑問です。

他者を気遣い、公共の場で「おりこうさん」でいることを重要視する。これ自体は非常に素晴らしいことだと思いますし、それ自体を否定するつもりはありません。私自身もつい、そのようなコミュニケーションを子どもにしてしまいます。なぜなら、そのように育ってきたからです。

「ダメ出し」はしない、ドイツの親子コミュニケーション

子ども

一方、ドイツではこのような場面はほとんど見かけません。もちろん、公共の場で子どもが同じようなことをしていても、親は基本的に静かに見ています。そして、いざという時だけ、短く、その良くない行為についてだけ、注意するのみです。

先日、息子が通う保育園のお友達の家で開かれた誕生日パーティーに招待され、参加しました(ドイツでは誕生日の主役が、お友達をもてなします)。招かれた子どもは15人ほど。大人もかなりの数が参加し、子どもたちはお庭や家の中で大はしゃぎです。

ただ、子どもたちが行き過ぎた行動を取ってしまった時にドイツの親がどうするかというと、ダメ出しではなく「やってほしい行動」を伝えていました

つまり、「騒がないで!」と叱りつけるのではなく、「小さな声で話してね」と伝えるのです。

それは保育園でも徹底されていました。先生は、注意すべき行為ははっきり言いますが、絶対に子どもたちの行動を否定することはありません。

私たちは、何かをまず否定されると、自信がなくなり、萎縮してしまいます。子どもの頃からダメ出しされることが当たり前になっていると、大人になっても無意識に自分で自分にダメ出ししてしまい、そのループから抜け出すことが難しくなるのです。

大人だって“気付くこと”で変わることができる

ドイツに来て、大人と子どものコミュニケーション方法の違いを目にし、私自身もこの「ダメ出し→自信喪失」のループの中にいたことに気付きました。

では、この子どものころから染み付いた自信のなさを、大人になった今、変えることはできないのでしょうか?

私はそうは思いません。

自分に自信がない。だから、新しいことに挑戦したり、一歩踏み出す勇気が出ない……。そんな自分を変えるには、まず、自分で自分を否定する癖に気付くことが大切です。そこに気付くことができたら、少しずつ考え方を修正していきましょう。

そして、自分のことを否定せず、いつでも前向きな言葉をかけてくれる仲間を見つけることも有効だと思います。努力している人、頑張っている人を応援してくれる人は、必ずいるものです

私自身も、もっと自分で自分を好きになりたいし、「自分のことを肯定できる女性」を増やしていけるようにサポートしていきたいと思っています。


【この連載の寄稿者】
(株)MANABICIA 代表 
池原 真佐子(いけはら まさこ)さん

池原真佐子

福岡県出身、早稲田大学・大学院で成人教育を専攻。PR会社、NPOを経てコンサル会社で勤務。在職中にINSEADのパートタイムのコーチングと組織開発の修士(Executive Master in Consulting and Coaching for Change : 現EMC)を取得。同時に、エグゼクティブコーチング等の人材育成を手がける(株)MANABICIAを創業。その後妊娠するも、臨月でパートナーが欧州に転勤、東京でワンオペ育児開始。産後1年半が経ったころ、女性のキャリアに特化したメンターを養成するスクール運営、企業の働く女性へのメンターをマッチング事業を行う『Mentor For(「育キャリカレッジ」から名称変更 )』を新規事業として立ち上げる。2年半のワンオペ育児を経て現在はドイツと二拠点生活。2017年に英ユニリーバDOVEでNourishing SecretのCMに、日本を代表する新しい女性として出演。ワーママオブザイヤー2018受賞。「第5回女性起業チャレンジ制度」グランプリ(2019)。その他、日テレNews等のメディア出演も多数。著書『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体』(大和書房:日本と韓国で発売)

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