「ママでも挑戦できるって証明したい」私が二人の子どもを連れて海外ワーケーションに行った理由【前編】
こんにちは。海外ドラマコラムニストの伊藤ハルカです。
今年の9月に、海外ドラマの頂点を決めるアワード「エミー賞授賞式」がロサンゼルス(LA)で開催されました。年に一度のドラマの祭典とあって、この時期ロサンゼルスには世界中から海外ドラマ関係者が勢揃い。
私も現地に取材に行ってきたのですが、今回は4歳と1歳になる二人の娘を連れ、単身で子連れワーケーションにトライして来ました。

海外ドラマコメンテイター・コラムニスト
伊藤ハルカさん
1日に平均10時間、年間250タイトル以上の海外ドラマを視聴する自称”日本一海外ドラマを見る女”。バイブルは『フレンズ』、『セックス・アンド・ザ・シティ』。テレビやラジオなどでも活躍中で、エミー賞の現地取材の経験もある。プライベートでは、二児のママ
後ほど詳しく解説しますが、「ワーケーション」とは、仕事(work)と休暇(vacation)を掛け合わせた新しい休み方のこと。リモートワークが普及し、オンとオフのボーダーラインが不明瞭になってきた今、世界中でこの新しい休み方が注目されるようになってきているのです。
そこで今回、LAで子連れワーケーションにトライした私が体験したことや感じたこと、日米のワーキングマザーのライフワークバランスの違いなどについて前後編に分けてお伝えしてみたいと思います。
前編となる本記事では、私が子連れワーケーションに行くことを決めた理由を主にご紹介します。

働きながら休む「ワーケーション」
2018年に日本航空(JAL)が、7~8月に最大5日間のワーケーションが取得できる制度を発表して話題になりました。
これは、旅行先で社員がリモートワークできるようにする試みで、夏休みと併せて5日間のワーケーションを導入し、旅行先に長期間ステイしながら働けるというものでした。

周囲の目を気にするあまり、長期間の休暇を取りづらい日本では、この“新しい休み方”がにわかに盛り上がりを見せています。
オンとオフの切り替えが難しいなど、マイナスな意見もあるのは事実です。でも、実際に制度を利用した多くのビジネスマンが「利用してよかった」と前向きに回答しているとのこと。
私も2018年にフリーランスになってからは、幾度となくワーケーションを経験してきました。宿泊料が安い平日にホテルや旅館などを使えるので経済的だし、仕事をしているとはいえ、非現実的な環境で新鮮な体験ができたり、リラックスできたりするので満足度が高いのです。
「ママでも成長し続けたい」私が子ども二人を連れてLAに行った理由
とはいえ、LAへの海外出張となると、国内で行うワーケーションとはちょっとハードルの高さが違います。
そもそも、今回私がLAに行くことになった理由は「エミー賞授賞式」の取材。バケーションを兼ねているといっても、取材中は仕事に集中しなければいけません。

エミー賞授賞式のチケット/筆者撮影
なぜ、そんな大事な海外出張に、幼い子ども二人を私一人で連れて行くことにしたのか。理由は大きく分けて3つです。
【1】子どもがいても「何でもできる」と自分に証明したかった
今から4年前、長女を出産した時のことですが、私は某PR会社の社員として働いていました。会社員時代は出張や残業もあったけれど、ベビーシッターさんに子どものお世話を頼んだりしながら、仕事・子育て・趣味や自己研鑽の時間を確保してきました。なので、子どもができたことをきっかけに自分の何かを犠牲にしてきたという感覚はありませんでした。
ところが、2018年9月に次女を出産してから、私がこれまで築いてきたライフワークバランスは見事に崩れることになります。
2018年に会社員からフリーランスになった私は、次女を保育園に入れるまで自宅保育をしながら仕事をすることになりました。言葉にするのは簡単ですが、それはもう想像を絶する大変さ!これまでだったら1日で終わる仕事が3日かかり、集中力が高まってきたと思ったらすぐに仕事を中断せざるを得なくなる……。声を掛けていただいた仕事は全て受けたい私ですが、「仕事量を減らした方がいいかも」と悩んでいたのです。
そんな中で舞い込んだのが、「エミー賞授賞式」取材のお話。海外ドラマのお仕事をしている私にとって、エミー賞授賞式へ取材にいくことはこれ以上ない喜びですしから、二つ返事で「やります」と返事していました。
そして、「子どもがいるから今はチャレンジできない」と消極的になっていた私にとって、「子どもがいたって何だってできる」と証明する絶好の機会のようにも思えたのです。
【2】やったことのない仕事に挑戦して「進歩」したかった
海外ドラマの仕事を始めて今年で10年。エミー賞関連の特別番組にスピーカーとして出演させていただいたのが3年前で、2年前には初めてLAに取材へ行くことができました。昨年は次女の出産とエミー賞授賞式のタイミングが重なったため仕事はお休みし、今年またLAで授賞式を取材するチャンスが訪れたのです。
せっかく仕事を続けていくなら、ほんの少しでもいいから「進歩した自分」に出会いたい。そう思う方は多いのではないでしょうか。私もその一人で、それはママになったからといって変わるものではありません。
2年前と同じことをしても面白くない。もしかすると、子どもを出張先に一緒に連れて行くことで、仕事の面でも違うアウトプットが生み出せるのではないか。 そう考えたことが、今回のワーケーションの実現を後押ししました。
【3】長女にエンターテインメントの最前線を見せたかった
私がLAに「行く」という決断した時点で、次女は同行が決定(母乳を飲ませているので)。一方で、長女については保育園にも通園しているし、パパと一緒に日本に残っても何ら問題ありませんでした。
でも、私はどうしても長女をLAに連れて行きたいと思いました。というのも、感受性豊かな長女に、人種も価値観も多様な人たちがつくり出すアメリカのカルチャーや、エンターテインメントの最前線をつくるLAの景色を見せたかったから。
彼女はそこで、一体何を感じるのか。どんな化学反応が起きるのか、知りたいと思ったのです。
上記のような理由から、二人の子どもを連れてLAでのワーケーションに向かうことに。いつ仕事の時間が確保できるのか、16時間の時差が子どもたちと私にどう影響するのか……、やってみないと分からないことばかりです。
ただ、もともと「ワーケーション」は、リモートワーカーやフリーランスワーカーの多いアメリカの方が親和性が高いと言われています。それならば、行ってみてからいろいろ考えてみよう。期待に胸を膨らませながら、娘二人を連れてLAへと旅達ました。

LAへ向かう飛行機。娘たちも問題なく乗れました/筆者撮影