コロナ禍に独立して大丈夫? 「フリーランスになりたい」と思ったら考えるべき2つのポイント

コロナショックを受けて転職や独立を考える女性が増えている……という話を前回書かせていただきました。
実際、私が共同経営するWaris(ワリス)にも勤務先の事業縮小や業績悪化を受けて、「このタイミングで(会社員を辞め)フリーランスとして働きたい」という女性たちからご相談が寄せられつつあります。

私が理事を務めるフリーランス協会が今年5月に実施した調査(以下参照)では、コロナショックを受けて会社員の40.6%が「働く時間が減った」、32.1%が「収入が減った」と回答しています。
不確実性の高いwithコロナの時代、会社員だから「安心」「安定」とも言い切れないことがよく分かるデータです。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」より
しかし、働く時間や収入の減少は単なるきっかけに過ぎません。
このタイミングで「フリーランスになりたい」女性たちの話を聞いていると、「フリーランス」という選択肢自体は以前から考えていたという人が少なくないのです。
ただ、「フリーランス=不安定」という印象がぬぐえず、なかなか独立へ一歩を踏み出す勇気が持てなかった、と。
ところが、コロナ禍を受けて「会社員=安定、フリーランス=不安定」とも言い切れない現実に直面し、「だったら(以前から興味がある)フリーランスにむしろこのタイミングでチャレンジしよう」という背景があるようです。

フリーランスという選択肢を考えた場合に「今がその時」なのかと問われると、「やりたい」気持ちがあるなら、一歩踏み出したらいいと私は思います。
たしかにWarisでフリーランス向けの案件を見てみると、その数自体は平常時に比べるとやや少なくはあります(他のフリーランス向けのエージェントの関係者と話しても同様の状況のようです)。
コロナショックを受けて、フリーランス人材含め、人材採用や新規契約自体をいったん取りやめている企業が少なくないからです。
一方で、コロナ禍に対応した新たなアクションのため、フリーランス人材を活用されたい企業からのお問い合わせも入って来ています。
具体的には、事業活動のオンライン化にともなうデジタルマーケティングやインサイドセールス、ECサイトの構築、また新たな動きにあわせたコミュニケーション施策の立案・実行をになうPR人材のニーズなどが強くなってきています。

また、以前と比べてテレワークでの就業が可能な案件が増加してきており、コロナ禍における事業環境にあわせて、スピーディーに人材採用戦略を修正する企業が増えてきています。
企業はこの先行き不透明な時代に事業環境にあわせた柔軟な人材調達を行う必要があります。
先日も大手生活用品メーカーのライオンが新規事業開発にたけた副業人材(フリーランス人材)を公募・採用するというニュースが報じられました。今後もこのトレンドは続くでしょう。
ここでご紹介したいのが、「フリーランスになりたい」と思ったときに考えるべき2つのポイントです。
ポイント①
独立系でいく? 副業系でいく?
「フリーランス」には大きく2つのタイプがあります。「独立系」と「副業系」です。
「独立系フリーランス」は組織との雇用関係は一切なく、完全に独立して個人として知識やスキルを提供して対価を得る働き方です。
それに対して「副業系フリーランス」は組織に社員として雇用されつつ、並行して(いわゆる副業として)フリーランスとしても働く形を指します。
内閣官房が今年発表した最新調査によれば日本におけるフリーランス人口は462万人で、うち独立系が214万人、副業系が248万人なので、副業系フリーランスの方がやや多いくらいです。
「働き方改革」の一環による「副業・兼業 解禁」の流れを受けて、副業としてフリーランスを考える会社員の人は増えつつあります。
独立系と副業系のメリット・デメリットを簡単に図式化したものが以下です。

独立系のメリットは何と言っても自由度の高さです。どこかの組織と雇用関係があるわけではないので、いつ、どこで、誰と、どんな仕事をするのか、完全に自分の裁量で決めることができます。
独立系フリーランスのデメリットとしては不安定さが挙げられます。特定の組織に雇用されているわけではないので、自由度が高い反面、場合によっては仕事の状況・収入の状況が不安定になる可能性はあります。
社会保険も会社員に比べると脆弱な側面はあり、自身で備えることが大切です。
フリーランス協会の調査によれば10社以上と取り引きしているフリーランスが全体の2割を占め、このように複数社と取り引きすることでリスクを分散するのは一つの手です。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2020」より
副業系フリーランスのメリットは特定の組織に雇用されているので(雇用形態により多少の差はあれ)、フリーランスに比べると仕事の状況・収入の状況に安定感はあります。
ただし、雇用関係があった上でフリーランスとしても働くことになるので、自分の限られた時間やパワーを上手にやりくりする部分はチャレンジになります。
ポイント②
フリーランスとして「何を」する?

もう一つ考えておいた方がいいのは、「何を」フリーランスとしてするか、ということです。
そもそも「フリーランス」と言ってもその種類は非常に多様化しています。テクノロジーの進化でスマホ1台あれば請け負える業務もあり、独立のハードルはここ数年非常に低くなってきています。
前述のフリーランス協会で主なフリーランス職種をマッピングしたものが以下の表です。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会ホームページより
これまでの会社員として培ってきたスキルや経験の延長にある業務もあれば、ご自身が趣味や得意なこととして取り組んできたことが業務になる場合もあります。もちろんそれらの組み合わせということも……。
実は数年前にフリーランスの「幸福度」について調べたことがあります。フリーランスは自分でその生き方を選んでいる人が多いので、総じて幸福度や満足度は平均的な日本人に比べると高くなります。
ただ、そんな中でも幸福度が高い人と低い人はどうしてもいらっしゃって。その差を分けているのが「今の自分がなりたかった自分かどうか」というポイントです。
ですから、フリーランスに挑戦することでどんな生活や人生を実現したいのか……ぜひご自身のビジョンとあわせて「何を」「どんな形で」やってみるのか考えてみてください。
フリーランスになった後、仕事を獲得する方法は?

「フリーランスとして働いてみたい! でも、どうやって仕事を獲得したらいいの……?」そう思われた方もいますよね。
フリーランス協会で調査すると7~8割のフリーランスは個人的なつながり(=人脈)経由で仕事を獲得しているのですが、最近はフリーランスの方に仕事を紹介するサービスが増えてきています。
フリーランス協会で作成した「フリーランス人材マッチングサービス カオスマップ」をご紹介します(下図参照)ので、ご自身が関心のあるジャンルのサービスのホームページをぜひチェックしてみてください。
お仕事の情報や成約事例などが掲載されているので、どんなお仕事があるのか、見ていただくとイメージが湧きやすいはずです。

フリーランス人材マッチングサービス カオスマップ
でも実は、私は「みんなフリーランスになったらいい」とは決して思っていないんです。
独立系にしろ副業系にしろ、フリーランスは個人としてスキルを提供する代わりに報酬を得る働き方です。成果にコミットすることが強く求められます。それはときにタフなことだったりもします。
しかし、今は本当に選択肢が増えていますから少しでも「自分らしく生きる」延長上に「フリーランス」があるなら、ぜひぜひ積極的に挑戦してほしいと思っています。

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和
大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事
『ニューノーマル時代のLive Your Life』の過去記事一覧はこちら
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