02 JUN/2022

妊活と仕事どちらを優先すべき? 30代女性の悩みにキャリアのプロがアドバイス「計画通りにいかない前提で行動を」

妊活も仕事も頑張りたい

経験もスキルもついてきて、仕事に対する責任も増してくる30代。働き盛りと言える年代ですが、妊娠・出産を望む女性にとってはライフイベントとキャリアに悩みやすい時期でもあります。

そこで、キャリアコンサルタントの宮地夕紀子さんに「妊活と仕事、どちらを優先すべきか」迷う30代の働く女性の悩みを相談してみました。

宮地 夕紀子さん

宮地 夕紀子さん

大学卒業後、マイクロビジネスの創業支援活動(教育・融資の審査事務局等)に従事。その後、大学院でキャリア自律意識、行動および これを促進する個人・環境要因に関する研究を行う。2011年より現職、ライフキャリア論、キャリア開発演習を担当。その他、慶應丸の内シティキャンパスでのキャリア・アドバイザー養成講座の講師(キャリア開発諸理論)や、企業内の健康相談室担当者へのコンサルテーション等を行う

【相談】30代、妊活スタート。でも仕事も頑張りたくて……

営業系/31歳/女性

30代になって、妊活を始めました。ただ、仕事も面白く、昇進昇格もしたいし、新しい部署での仕事にも興味があります。

でも、いつ子どもができるか分からない状況では、大きな仕事を引き受けたり、部署異動に手をあげたりするのはよくないよな、とも思います。

仕事と出産、どのように優先順位をつけるといいのでしょうか。

【回答】妊娠・出産は「計画通り」とはいかないことも。同時並行で進めてOK

とても難しい話ですよね。何が難しいって、一つは、出産にはどうしても年齢が関わってしまうこと。そしてもう一つが、自分の意志でタイミングを決められないことです。

「子どもは授かりもの」とはよく言ったもので、たとえ準備を万端にしていても、必ずしも授かれるとは限りません。かと思えば、予想外のタイミングでやって来てくれるかもしれない。

妊活は、仕事のタスク管理とはまったく別物であると考えておいた方がよいと思います。

妊活も仕事も頑張りたい

さて、その前提に立つと、「仕事と妊活、どっちを優先?」という考え方自体を変えた方がいいかもしれません。だって、優先順位を決めたところで、思い通りにことが運ぶとは限りませんから。

計画を立てても、その通りに進まないリスクがある。しかも、その間にも時間は流れていくわけでしょう? それならば、あえて同時並行で進めてしまうのはどうでしょうか。

「必ず今年中に」などと思い詰めるよりも、「果報は寝て待て」くらいのおおらかな気持ちで構えていた方が、何事にもプラスになるのではないでしょうか。

妊活に限らず、ワークライフバランスを考える上で、ワークとライフはトレードオフ(片方を得るためには、片方を犠牲にしなければならない)と考える方は多いです。でも、本当は、両者は相互補完的な存在だと思うのですよね。

仕事が充実しているからこそ、プライベートでも生き生きと過ごせる。もちろん逆も然り、と。無理に優先順位をつけるよりも、健康的な考え方だと思います。

妊活も仕事も頑張りたい

と、いったんは質問者さんの幸せにフォーカスして回答してみましたが、質問文を見るに、「重要な仕事を任されたあとに、すぐに産休に入るのは無責任かも」とも心配されているんですよね。

これも難しい話で、各種制度は当然の権利なんだけれども、やっぱり人間同士のことですから、自ら手を挙げた仕事を途中で中断させてしまうのでは、と遠慮してしまうのも分かります。仕事への意欲と責任感が高い質問者さんのようなタイプは、なおさらですよね。

私から一つアドバイスできるとしたら、日頃から自分が仕事にかける思いや考えを、チームメンバーや上司に話しておくことだと思います。「私はこのような思いで仕事に取り組んでいて、自分なりに一生懸命頑張りたい」のように。

職場を空けることに遠慮してしまうのも人情なら、頑張っている人を応援したいと感じるのも人情。仕事に高い意欲を持ち、責任感をもって務めたい、努力したいと考えていることが伝われば、いつかライフイベントで休暇を取ることになっても、「多少の制約はあれど、一緒に働きたいメンバー」になれるのではないでしょうか。

妊活も仕事も頑張りたい

ただ、こうは言ったものの、本当に出産・育児は個別で事情が異なりますので、解決できるとは限らないのが悩ましいところです。

人によって体質も違えば、利用できるリソースも同じではないですし、もちろん業務内容によっても変わってきますしね。万人に当てはまるアドバイスなんて存在しないのが出産・育児の問題。キャリアカウンセラーに直接相談してみるなど、必要に応じて、客観的な意見も聞いてみるといいと思います。

【次回は「キャリアプランの立て方が分からない!」という相談に回答します】

取材・文/夏野かおる