凸版印刷 SPアートディレクター 澤岡史織さん/女性らしい感性を活かして“販促”をデザイン! 「年齢や経験を重ねて、 得意分野の幅を広げたい」
仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。
今回紹介するワーキングビューティーは、凸版印刷株式会社の澤岡史織さん。美大で培ったセンスと女性らしい感性を武器に、多くのデザインコンペを勝ち抜いてきた。彼女が考える“デザインを仕事にする醍醐味”とは?
机の上で描いていたスケッチが
形になって世に出る喜び
編集部:まず、お仕事の内容を教えてください。
セールスプロモーションを手掛ける部署で、アートディレクターをしています。メーカーの商品が売れるように、POPやノベルティなどを企画・開発し、販促の仕組みを考えるのが仕事です。店頭のPOP一つとってもさまざまな仕様があるので、商品の魅力が最大限伝わるベストな形を考え、デザインから構造まで企画します。案件にもよりますが、販促物のデザインだけでなく、売り場の見せ方から最終的な制作まで、総合的にプロデュースできるのが醍醐味です。女性向けの製品を手掛ける機会も多いので、等身大の自分のセンスを活かすことができるのも楽しいですね。今の部署は男性が多いので、女性ならではの視点が私の強みにもなっています。
編集部:女性らしいセンスを活かして手掛けたお仕事の事例を教えてください。
入社してまだ1年も経たないころに、初めてメインで担当を任せてもらったのが、女性をターゲットとしたカップ麺のプロモーションだったんです。そこで、「女性に親しみを持ってもらえるカップ麺の売り場を作りたい」と思い、花柄をモチーフにした販売台を作りました。自分が机の上で描いていたラフスケッチが形になり、実際の売り場に陳列されているのを見たときは、本当に感動しました。さらに、このときの案件で、プロモーションツールのコンテスト『JPM Creative Solution Award』のキット部門で金賞を受賞することができました。
編集部:初めて手掛けた案件で賞を取るなんて、すごいですね! クライアントから選ばれるアイデアを発想し、形にするコツは何ですか?
一つ目は、流行に敏感になることです。得意先の男性から「若い女性の間では今、何が流行っているの?」と聞かれることも多く、答えられないと話になりません。ですので、毎月ファッション誌をチェックしたり、話題のお店に足を運んだり、いつも新しいことに貪欲でいたいと思っています。二つ目は、自分が気に入ったチラシやパンフレットを集めてファイリングすることです。きっかけは、美大を受験するときに通っていた予備校の先生からいただいた「かわいいと思ったり、自分の感覚にヒットするデザインは、全て集めてスクラップしておきなさい」というアドバイス。それから10年くらい、こつこつファイリングを続けてきて、それが今の発想の源になっています。仕事で行き詰まったときは、そのファイルを眺めることも多いですよ。販促物の構想が固まってから、デザイナーさんにイメージを伝えるときのサンプルとしても役に立っています。
編集部:それはかけがえのない財産ですね。しかし、美大で学んだのに、なぜデザイナーではなくアートディレクターの道に進んだのでしょうか。
美大ではグラフィックデザインを専攻し、4年間多くの課題制作に取り組む中で、「自分は制作作業が苦手だ」と感じるようになりました。頭の中に描いているイメージを、自分でパソコンなどを使ってデザイン画としてアウトプットするよりも、アイデアを考えたり、人と協力しながら企画をブラッシュアップし、ものづくり全体をディレクションすることの方が、自分に向いていると思ったんです。
年齢や経験を重ねて
得意分野の幅をもっと広げたい
編集部:昔からセールスプロモーションに興味があったんでしょうか?
いいえ、実はパッケージデザインがやりたくて入社したんです。でも配属されたのはセールスプロモーションを手掛ける現在の部署だったので、数年後には異動希望を出そうと思っていました。ただ、半年ほど経ったころには、パッケージよりも制約が少なく、自由に発想できるプロモーションツールの制作が楽しくなってきて……。商品を乗せ、その魅力を引き立てる販売什器(じゅうき)などは、もはやパッケージの一部とも考えられますし。今は、広告とパッケージデザインいずれの視点も活かせる中間的な立ち位置がすごく気に入っているんです。
編集部:意識に変化が現れたんですね。今後はどんな仕事をしていきたいか教えてください。
20代の女性向け商品の販促は、ターゲットの気持ちがよく分かりますし、企画していて楽しいので、これからもかわいいものをもっと作っていきたいです。できれば、プロモーションもパッケージもイベントも、全て手掛けられるような仕事がしてみたい。今の部署でも、そうしたチャンスがあれば積極的に手を挙げていくつもりです。また、自分の年齢が上がって目の付けどころが変われば、作りたいと思うものも変化していくはず。もう少し年齢を重ね、結婚や出産でライフステージが進んだら、発想の幅も広がるんじゃないかと楽しみにしているんです。今は若い女性向け商品の案件が得意ですが、今後は主婦向け、ママ向けなど、得意分野を拡大していきたいです。
健康な体があってこそ働ける
食事や休養をしっかり取るのも自分の仕事
編集部:常に新しいアイディアが必要とされる仕事なので、オンとオフの区別がしづらそうですが……?
そうですね、プライベートの刺激が仕事に活かされることは多いです。土日は、行ったことのないカフェを訪れてカラーコーディネーター検定の勉強をしたり、学生時代に演劇をやっていたのでお芝居を見に行ったり。最近は友人と一緒に月1回ダンス教室にも通っています。普段はどうしても運動不足になりがちなので、気分転換ができてとても楽しいです。そんなふうに一日をアクティブに過ごしたら、もう一日は家でゆっくりするのがほとんど。
編集部:健康にも気を遣っていらっしゃるんですね。
以前、忙しい時期に、食事の時間を惜しんで仕事をしていて体調を崩してしまったんです。そのとき母に「体調管理も仕事のうち。食事を取るのも仕事だと思いなさい」と言われて。それからは、きちんと食事を取り、休むことも重要だと思うようになりました。
編集部:素敵なアドバイスですね。ちなみに、澤岡さんは透き通るような白い肌が印象的ですが、スキンケアなどは力を入れているんでしょうか。
普通に日焼け止めを塗っているだけで、特に何もしていません(笑)。親からの遺伝なんだと思います。
陶器を思わせるほど白く、華奢な澤岡さん。お人形のようなかわいらしい見た目とは裏腹に、インタビューからは仕事への熱い想いが伝わってきた。オンオフ関係なく、日ごろの生活の中で得た刺激で常に自分を磨き、仕事のアウトプットへと繋げている澤岡さん。そんな彼女の活躍が、今後も楽しみだ。
取材・文/岩井愛佳 撮影/赤松洋太
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