リピート・紹介が次々に舞い込む営業は何が違う? 「お客さまがお客さまを呼ぶ」最強サイクルのつくり方
新規開拓でなんとかお客さまを見つけても、リピート受注にはつながらず、また一から新規でお客さま探し。そんな堂々巡りの日々につらさを感じている人もいるのでは?

そんな時にぜひ手に取って欲しいのが営業のカリスマ・和田裕美さんの最新著『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)です。
和田さんはいかにして高い実績をあげられる営業になったのか。ファンベースを使った営業の基本とあわせ、本書から一部内容を抜粋してご紹介します。

作家/株式会社HIROWA代表取締役/都光華女子大学客員教授
和田裕美さん
事務職を経て、外資系教育会社に入社し営業職に。お客さまの98%から契約をもらう「ファンづくり」のスタイルを構築し、日本でトップ、世界142カ国中第2位の成績を収める。その後、独立し、“愛されて売れ続ける”人材を育成するコンサルタントとして、1300社以上、延べ34万人以上を送り出し、サポートし続ける。著書にベストセラー『成約率98%の秘訣』(小社)、小説『タカラモノ』(双葉社)、『人生を好転させる陽転思考』(ポプラ社)、18年目となる『和田裕美の営業手帳』(クラーケン)などがある
見返りを求めず仕事をしたら、お客さまがお客さまを呼び込んでくれた
私が世界142カ国中で営業成績が第2位になれたのは、「紹介契約」を多くいただいていたという要因があります。
ただ、紹介が欲しいから施策を打ったわけではなく自然とそういう流れができたのです。
当時は教育事業の会社で語学学校の部署にいたのですが、たとえば、そこで語学を学んでいる就職活動中の学生さんがいたら、どういう会社で働きたいのかを聞いておき、誰か自分のお客さまで関連のある仕事をしている人がいればつなげるということをやっていました。
人と人とをつなげたところで、私の売上が上がることはなかったのですが、とにかく感謝されたので、自分でも嬉しかったことを覚えています。
何かの見返りを求めずにお客さまと仲良く和気あいあいとやっていることがとても楽しかった。
そうしていくと、こちらから頼んだわけでもないのにどんどん「紹介」が増えて売上が上がっていったのです。

言うまでもなく、私の売上は次第に伸びていきました。「和田さんって紹介ばっかり」「新規を開拓してるわけじゃないじゃない」と陰口を言われていたこともあります。
新規を取ってくることこそ王道で、優秀な営業。紹介で買ってもらうなんてズルをしているとでも言いたげな中傷も耳に入ってきました。
でもお客さまに信頼されて、その人の大事な人を紹介してもらうほうが自分の精神面でもすごく楽だったので、何を言われても、とにかくお客さまとお客さまをつなげてつなげてつなげたのです。
ある日、1人のお客さまが私に一枚のチラシを見せてくれました。そこには「和田ファミリーの集い」と書いてあったのです。今で言う“コミュニティ”が勝手に出来上がっていました。
さらに、その和田ファミリーに紹介で新しいお客さまが入会してくれました。バスツアーなどが企画され、そこに「なんか楽しそう!」と、どんどん人が入ってきてくれました。
一度買ってくださったお客さまが継続してくれたり、新たなお客さまを連れて来てくれたり。そういった現象が私の数字を支えてくれていました。
その時にやっていたことが、今もつながって、現在の私がいるのだと思います。
ノルマに追われない営業で売上増
コロナ禍での世界経済損失は13兆円にもなると言われています。
そんな中、JASDAQ に上場した企業があります。それは人材開発・組織開発を支援されている株式会社セルムさん(※)です。
決して、追い風が吹いた業界ではないのに売上が伸び続けている理由は何か? その秘訣を実際に役員の方にお聞きしました。
(※)株式会社セルム:人材・組織基盤の強化」と「優れたリーダーの輩出」を支援する人材開発・組織開発のプロフェッショナルファーム。豊富な実務経験を持つプロフェッショナルタレント/パートナーのネットワークを活かし、企業の経営を人材開発・組織開発の側面から強力にサポートする。
その答えこそ、「ファンづくり」だったのです。

1つめは営業が抱えるクライアント数です。
業界的には1人30社から50社を担当するのが普通ですがセルムさんでは必ず2~3人のチームで担当。そのチームで10社ほどなので、1人の営業が抱えるクライアント数はなんとたったの3社ということ。
それぞれの営業は担当する企業さまとパートナーシップを築き徹底的に関わって、お互いを知る時間をじっくり確保されています。
だからこそ、継続的な売上が中長期的に上がっているのです。
2つめは数字よりもパートナーシップを重視。
もちろん執行役員や部門長マネージャー以上が、業種目標としての売上を問われることはあるそうですが、現場の営業担当は何よりもお客さまとのパートナーシップを重視し、お客さまとの課題解決と向き合うことが優先されるそうです。
つまり、営業が毎月のノルマ追われていないのです。
3つめは「採用基準」から変えていること。採用担当の役員の方いわく、「プロダクトアウト(顧客のニーズより企業側の理論を優先させること)でやります!」などとアピールしてくる「the営業」というタイプは採用しません」とのこと。
「相手のために」「一緒にやることに喜びを感じる」という思いのある人を採用されるそうです。

「お客さまを知れば知るほど思い入れが増してくる。そうなるとお客さまも応えてくれる。
このサイクルが起き始めると、同じ1時間を新規にかけるよりも“目の前のお客さまのためになりたい”と思えてきます。
すると、そのお客さまが他の会社や系列の会社を紹介してくださる。“大切なお客さまから紹介してもらったから大切にしよう”とよりよい循環が生まれるのです」
これまで4回にわたって、ファンベースを使った営業の考え方や実践方法についてご紹介してきました。
1:営業のカリスマ和田裕美さんに学ぶファンベースを使った営業の極意
2:「普段使いの言葉」を変えて愛され営業になる方法
3:目先の営業成績に縛られない人の売上がみるみる伸びる理由
4:「お客さまがお客さまを呼ぶ」最強サイクルのつくり方(今回)
今日からできることを、一つずつ始めてみてはいかがでしょうか?
書籍紹介

『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)
営業のカリスマ和田裕美が新しい時代の営業の極意を、佐藤尚之氏が提唱するファンベース®を元に紹介!
『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』の過去記事一覧はこちら
>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/knowhow/fan-sales/をクリック