CAからの“大幅キャリアチェンジ”を成功させた女性が教える「自分をステップアップ」させる転職って?/株式会社ユキリエ
転職を考えるとき、目の前に大きく立ちはだかるのが未経験という壁。自分の将来設計に最適な環境を選ぼうにも、職種や業界という壁に阻まれ、「私には無理かも」と諦めてしまう人も少なくない。だが、そんな固定観念を乗り越え、理想の未来を自由に選択した人たちもいる。彼女たちがステップアップに成功した秘訣はどこにあるのだろうか。
そこで、CA(客室乗務員)から転職し、事務スタッフのアウトソーシングサービスを展開する株式会社ユキリエで事務職として活躍する山中真理子(仮名)さんに、納得感のある未来を掴むための仕事・職場選びで大切なことを聞いた。
CAから事務職へ。“夢の仕事”を手放す勇気を持てたワケ
国際線のCAとして約4年間働いた山中さん。CAになることは学生時代からの夢だった。飛行機に乗れば、毎日さまざまな国々の人たちと出会える。その楽しさに夢中になり、月の半分は海外暮らしという体力的にハードな面も、「当時はまったく気にならなかった」と笑顔を見せる。
心境が変わり始めたのは、勤続3年を過ぎた頃から。とにかくCAのスケジュールは不規則だ。早朝に帰宅し、その日の夕方に次のフライトへ出発するというケースも日常茶飯事。友人と会う時間も、女性として自分自身をケアするゆとりもほとんど持てない。少しずつ山中さんの心は疲れ始めていた。
「転職を決める最大のきっかけは、結婚でした。パートナーとの将来を考えたとき、日本に滞在する時間さえまともにとれないCAの仕事を続けていけるイメージが沸いてこなかったんです。実際、周囲にも子育てをしながら仕事を続けているような女性の先輩はほとんど見当たりませんでした」
人気職種の1つとして知られるCA。その道は、文字通り狭き門だ。決して仕事自体を嫌いになったわけではない。悩みに悩んだ末、自分が1番大事にしたいもののために、山中さんは決断を下した。それが、事務職への転職だった。
「入社してからの3年間、無我夢中で働いた結果、自分の人生を充実させる上で一番大切なものが何なのかが見えてきました。就職当時は分からなかったけれど、私の人生は“仕事だけ”では納得感のあるものにはならないという気付きです。そして、これから結婚、出産を経ても長く働き続けていくためにも、ワークライフバランスを充実させたいという意識が芽生えてきました」
“夢だった仕事”を手放す踏ん切りが付いたのは、自分にとっての「ゆずれないもの」が明確になったからだった。ワークライフバランスの充実。その軸を持って転職活動を始め、出会ったのがユキリエだった。
アウトソーシングという働き方が、自分の新しい能力を見つけるきっかけに!
ただ、事務職への転職を決めたものの、これまでの職務経験はCAとしての接客だけ。基本的なExcelの作業すらできるかどうか不安だったそう。しかも、全くの異業種へのキャリアチェンジとなると、中途採用される可能性は低いのではと懸念していたそうだ。しかし、「チャレンジする人を応援したい」というユキリエのマインドとマッチし、新しいキャリアを始められることに。
「事務職ならどこでもいいというわけではなく、どうしてもユキリエの事務として働きたいと思った理由は、絶対に譲れないと考えていたワークライフバランスです。普段からほとんど残業はない環境なので、夜の予定も非常に立てやすいです。それに、5年勤続した人に長期休暇を付与するサバティカル休暇や誕生日休暇など、休暇が充実していたことも魅力に感じました。充実した休暇が人生を豊かにし、それがまたいい仕事をつくることにつながると思うんですよね」
現在、山中さんが常駐しているのは、ある外資系企業のマーケティング部。最初は得意の語学力を活かして、会議資料の翻訳業務などに従事した。その後、徐々に仕事内容をシフトし、今では予算管理などのオペレーション業務に就いている。
「正直なところ、ユキリエに転職するまで事務職ってルーティンワークのイメージが強かったんです。CAという仕事が好きだった分、今回の転職では『やりがい』は二の次と考えていました。でも、実際に働いてみたらそのイメージがガラッと変わりました。全体の数字を見ながら予算の配分を決定したり、会議に出て自分の意見を発言したり、どんどん自分から動いていかなくちゃ自分の価値を認めてもらえない。事務は企業経営の上で欠かせない存在なんだということに気付いたら、みるみるうちに面白さを感じるようになりました。まさか自分が会社の経営に関わることをダイレクトに担当できるようになるなんて想像もしていなくて、自分でもびっくりしています」
懸念していたOAスキルも自ら学習し、基本スキルを徹底習得。その後も実務を通して叩きこむことで、ぐんぐん事務作業の能力が上がっていった。
収入が上がること・昇進することだけが“ステップアップ”ではない!
最重要項目だったワークライフバランスの充実にも、満足そうな笑顔を浮かべる。
「仕事終りには友人と会ったり、ジムやヨガスタジオに通ったり、安定的に自分の時間を持てるようになりました。昨年結婚し、今は家庭との両立になりましたが、その点でも苦労や不安はほとんどありませんね」
CA時代は、「子どもを育てながら働くイメージはまったく持てなかった」と言う。だが現在は、いずれ出産することも視野に入れながら、自分のキャリアプランを設計している。
「ユキリエでは、各社員に担当マネジャーが付きます。距離が近く何でもお話できるので、自分の将来についても安心して相談できるようになりました」
結婚、出産、育児、介護――。女性のキャリアは、男性以上にライフステージの変化に影響を受けやすい。
「私も最初は夢のためにCAという仕事に就きました。もちろんそのことについては何の後悔もありません。ですが、働いていくうちに、自分の人生で本当に大切なものが何か見えてきた。それを手にするために一歩踏み出すことは、自分の人生を自分らしく生きるためには必要なことでした」
だからこそ、山中さんは転職について決断する上で最も重要なことをこう話す。
「自分が何を目的に働くのか。はっきりと決めることです。単に今の環境が嫌だからというだけでは理想の未来は掴めない。その上で自分は何がしたいのかが大事だと思うのです。もちろんその内容は人それぞれ。私の場合は、それがワークライフバランスの充実でした。自分の人生を豊かに生きるための“絶対譲れない条件”をきちんと明確にできたからこそ、納得できる転職ができました」
未経験職種への転職についても、「前職の経験は、どんな場所への転職でも活かせるものが必ずある」と後押しする。
「接客と事務は全く違う職種のように思えるけれど、CA時代に培った柔軟性とコミュニケーション能力はどんなポジションでも活かせると実感しています。業界や職種に左右されないベーシックなスキルをきちんと日頃から磨いておくことが、何か新しい選択をするとき、自分の武器になりますよ」
山中さんのように自分の人生をもっと輝かせるためのキャリアチェンジこそ、本当の意味でのステップアップと言えそうだ。自分自身が決めたステップアップを応援してくれる環境を見つけて、理想の未来を掴む一歩を踏み出してほしい。
取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太