働くペースを自由にコントロール! 業務委託のセラピストが手にした“自分らしい”働き方

正社員として、ごくごく普通の社会人生活をスタート。そのまま働き続けていると、他のワークスタイルについて知る機会は少ないもの。何となく「毎日出社して、フルタイムで働くことが当たり前」な気がして、他の選択肢が持てていないという人は多いのでは?
最近では、結婚・出産後も働く女性が増えたことや、テクノロジーの進化、少子化による労働力の不足などの影響もあり、ワークスタイルは多様化してきている。
そこでこの特集では、さまざまワークスタイルで希望の働き方を実現している女性たちにインタビュー! どんな働き方があるのか覗いてみよう。
特集第1弾は、リラクゼーションスペース ラフィネ高円寺パル店で、業務委託のセラピストとして活躍している野上愛さん。“自分らしい働き方”を実現した彼女が思う、業務委託の魅力とは?
勤務場所や働くペースが自分で選べ、
働いた分だけ収入として報われる

リラクゼーションスペース ラフィネ高円寺パル店
マスターセラピスト 野上愛さん(30歳)
看護の専門学校を卒業後、歯科助手としてパート勤務。2009年9月に退職後、ボディワークアカデミーにて35日間の研修を受けた後、同年11月、株式会社ボディワーク、ラフィネ高円寺パル店に配属。業務委託として働き始める。13年、マスターセラピストに昇格。14年夏に結婚
ラフィネ高円寺パル店で、業務委託のリラクゼーションセラピストとしてリフレクソロジーやボディケアを施している野上愛さん。業務委託とは、企業に属さず、定められた業務を請け負う仕事の仕方だ。
「前職はパートで歯科助手の仕事をしていましたが、1年あまり勤めたころ、もっと自分で人をケアできるような仕事に就きたいと思うようになりました。
また、どのような働き方をしたいのかを考えたときに、勤務時間内はしっかりと仕事をし、成果を出した分がきちんと収入として返ってくる。そしてプライベートの時間も楽しめるような、メリハリを付けた働き方が自分に合っていると考えました」
ラフィネに興味を持ったのは、自分の技術や接客に対してお客さまからダイレクトな反応をもらえ、「やりがいを持って働けそう」と感じたことがきっかけ。
収入の安定を目指すために正社員として働きたいと仕事を探していたが、選考や研修を受けるうちに業務委託という働き方への迷いはなくなったという。
「よく考えてみると、私が求めていたのは安定した収入というよりも、働いた分だけ収入として報われるということ。話を聞いていくうちに、女性が長く働きやすく、技術を磨いていけば安定した収入を得られるイメージが持てたので、やってみることに決めました。
会社員ではないので、健康保険や年金などの手続きを個人でしなければならないのは少し手間が掛かりますが、勤務場所や時間、働くペースを自分で選べるので、メリハリを付けた働き方ができると思ったことも決め手になりました。
ラフィネの場合は業務委託とはいえ、元セラピスト出身のエリアマネージャーに相談ができたり、会社が用意しているスキルアップのための無料の研修や勉強会に参加できるので、そういったところも魅力的でしたね」
“自ら選んだ仕事”だからこそ
責任感が変わった
現在はマスターセラピストという職位に就き、60名ほどの顧客を抱えているという野上さんだが、仕事に慣れるまでは大変な時期もあった。
「正直、最初のころの収入はパートの時とほとんど変わりませんでした(笑)。研修で学んだ技術と接客をどう活かせば良いのか分からず、毎日が緊張していたように思います。
けれど、勤め続けると慣れてきて、スキルを上げていくとともに職位が上がり、収入も増えていきました。経験を積めば積むほど、効率的な技術や接客ができるということを周りの先輩の姿から学びましたし、キャリアパスも用意されているので、先のステップが見えていたこともモチベーションになっていましたね」
前職でも「責任のある仕事を任せられていた」という野上さんだが、業務委託という働き方を選び、より仕事への責任感を持てるようになったと振り返る。
「“与えられた仕事”ではなく、“自ら選んだ仕事”だと意識するようになりました。この仕事は目の前のお客さまの反応が直接返ってくる分、サービスへの責任は大きい。
また、業務委託の場合、お客さまに喜ばれなければ収入は得られません。だから、よりお客さまの満足度を意識する必要がある。こうした仕事に対する考え方の変化によって、責任感が強まったのだと思います」
仕事とプライベートのメリハリが付いた
「自分らしい」働き方を実現

業務委託という働き方にチャレンジしてから約6年。野上さんは、この働き方を選んだことに後悔はないと断言する。
「もちろん努力が収入という形で報われることは魅力ですが、働くペースの強弱が付けられることが業務委託という働き方の一番のメリットだと思います。
会社員だと会社の状況もあるので、なかなか自分の思い通りに働くペースを変えるのは難しい。でも、女性は、プライベートや家庭など、その時々によって優先したいものは変わりますよね。
そんな自分の意思や計画に合わせて働くペースや時間をコントロールし、フットワーク軽く動けることに、私はすごく満足しています」
実際、ラフィネでは、ママやプレママのセラピストも活躍している。必要以上の気兼ねをせずにライフステージに合わせて働き方の強弱を付けることができるのは、業務委託という働き方ならではの利点だ。
一方で業務委託だからこそ意識すべきこともある。
「雇用形態に関係なく、『ご予約を頂いているお客さまのために』というのは大前提ですが、業務委託の場合は自分が働いた分が収入に直結するので、より体調維持に気を付け、日ごろから病気や怪我をしないように身体のメンテナンスをする必要があります。
また、会社に属していないからこそ、自分で目標を設定し、モチベーションを保っていかなければなりません」
働くペースや目指すべき姿を自ら決めなければならないからこそ、「業務委託で働き始めてから、計画的に動けるようになった」と野上さん。そんな彼女が今描いている将来像とは?
「去年結婚したので、女性としてはこれからの働くペースの計画を立てつつ、お客さまに喜んでいただけるように、より技術と接客に磨きをかけたいと思います。
だからこそ、お店に出ている時間はバリバリ仕事をしたいし、お客さまと長くお付き合いをしていくためにも、この仕事をずっと続けていきたいですね。
私の周りには、自分の希望の働き方やプライベートの過ごし方の計画を立てて、それを実現している素敵な先輩女性がたくさんいます。私も彼女たちのようにメリハリを付けて、仕事もプライベートも充実させていきたい。
それが私にとって、自分らしく働くということだと思っています」
取材・文/朝倉真弓 撮影/赤松洋太