約6割が「休みの日も仕事の連絡を確認」。今からでも間に合う夏休みに“つながらない”ための3つの準備


いよいよ夏休みシーズン到来ですね!みなさんは今年の夏はどんな休暇を予定していますか?
連休を取る方はしっかりリフレッシュしていただきたいところですが、実は気になるデータがあります。ある調査によれば、休みの日に仕事の連絡(メール・チャット等)を確認している会社員は約6割にのぼるというのです(下図)。

また、仕事の連絡を確認している人のうち、実に85%の人が返信までしているといいます(下図)。

(yaritori調べ)
みなさんはいかがでしょうか?
「お休みの日に仕事の連絡をつい確認してしまう/返信してしまう」という人も多いのではないでしょうか。
ではなぜ私たちは休みの日に仕事の連絡を確認してしまうのでしょう?
同じ調査でそれぞれの理由を見ていきましょう(下図)。

(yaritori調べ)
結果を見てみると「緊急の対応が必要な場合があるから」(67.76%)、「自分にしか対応できない仕事があるから」(50.66%)といった回答が上位を占めています。
これは、組織内の仕事分担が不十分で、特定の個人に過度な負荷がかかっている状況を示しています。
また「休み明けに仕事が溜まるのを防ぎたい」と答えている人も3割弱おり、休暇明けの業務負荷を軽減するため先回りして仕事をしている人も少なくありません。
これらの結果から、組織の体制や働き方、コミュニケーションに改善の余地があることがわかります。
加えてデジタルデバイスの普及により、SNSやメール、メッセージアプリなど、さまざまなツールを通じて、いつでも誰とでも、もちろん休みの日にも「つながり続ける」ことが可能になっており、こうした環境も休日でも働いてしまう一つの要因になっていると考えられます。
ではこのような状況を踏まえた上で、どうしたら私たちはしっかり休むことができるのでしょうか?

業務の「見える化」&「共有」で「自分しか対応できない」を解決!
休みの日でも働いてしまう理由として「緊急対応が必要」「自分にしか対応できない仕事がある」といった回答が上位に来ており、「特定の個人に業務が集中し、その人が休むと業務が滞ってしまう状態」が起きていると考えられます。
よく「業務の属人化」と表現されます。属人化を解消するためには「業務の可視化と標準化」が必要です。例えば以下のような方法があります。
【業務フローの可視化】
それぞれの業務がどのように行われているのかを可視化し、全体像を把握します。業務の手順書やマニュアルを作成し、誰が担当しても同じように作業できるように(=標準化)します。
「今年の夏休みまでには間に合わない……!」という人は、チャットやメールのCCを活用し、自分以外の人が業務プロセスを理解できるようにしておくのもいいですね。
【引き継ぎ体制づくり】
自分が休む間に緊急時で代わりに対応したり判断したりしてくれる人を、業務を引き継いだ上であらかじめ決めておきます。
私が共同経営する会社でも、休みに入るときは「誰に業務を引き継ぐか」を必ず決め、情報共有しておくようにしています。これも「自分しか対応できない」といった事態を回避することにつながっていきます。
「つながらない状態」を意識的につくる
スマホやパソコンで「いつでもどこでも仕事ができてしまう」現代だからこそ、しっかり休息するためには休暇中はあえて「つながらない状態」をつくることも大切です。
「デジタルデトックス」という言葉を聞いたことはありますか?
「デジタルデトックス」とは、スマホやパソコンなどのデジタル機器から意識的に離れ使用を一時的に控えることです。
現代社会では、スマホが常に手元にあるなど、デジタル機器に囲まれて生活している人が多く、「デジタル疲れ」を感じている人も少なくありません。
デジタルデトックスは、そんな状態から解放され、心身をリフレッシュするための手段の一つとして注目されています。
フランスでは勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利(通称「つながらない権利」)が法制化され、話題にもなりました。
通知があるとどうしてもメール・チャットを確認してしまい、そこから返信へ……という人は少なくないでしょう。休暇の間だけでも思い切って仕事関連のメール・チャットの通知をオフにするのは、シンプルですがすぐ取り組める方法です。デバイスの使用時間を制限する手もあります。
スマホでSNSを見ていると、その流れで業務のメールやチャットが気になってしまう人も多いですよね。そういう人は休暇中はSNSの使用をやめてみてもいいかもしれません。
それでも「緊急の連絡が来たらどうしよう!」と「つながらない状態をつくる」こと事態に不安感を持つ場合は、緊急の場合の連絡方法を上司や職場の仲間と決めておきましょう。
どうしても緊急性が高い場合は私用の携帯電話へ連絡をもらったり、緊急の場合にどのような対応をしてもらいたいのかを具体的に伝えておいたりできると安心です。
デジタルデトックスできる体制を、チーム皆で考えてみる
そして3番目、夏休みに一人ひとりが安心して休暇を取れるよう、仕事とのつながりを断ち切るための社内ルールの整備も大切です。まずは休暇中は原則として「(仕事に関連するメール・チャットへの)返信禁止のルール」を設ける方法があります。
特に新たに制度をつくる必要はなく、「そうしましょう」と自分が所属するチーム内部で申し合わせられれば十分です。あらかじめ「メールは見ない」と宣言しておき、緊急の場合だけ電話をもらうよう休み前にチームに伝えていくのもいいでしょう。
自分たちのチームに合わせて、デジタルデトックスできる仕組みを皆で考えていけるといいですね。
「つながらない状態をどうつくるか」は、現代社会においてますます重要になってきています。
常にオンラインであることだけが、豊かな生活を送るための唯一の方法ではありません。
夏休み時期くらいは今回ご紹介したような方法も試しながら、オフラインの時間を取り戻し、しっかりと休息をとって仕事に備えていきたいですね。
書籍情報

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「私には強みもないし…」「人に誇れるような学歴や経歴がないんです」
みなさんの中にもそう思う人がいるかもしれません。でも安心してください!
私たちは100人いれば100通りの人生があります。これまでやってきたこと、取り組んできたこと…今まで経験したことが一人ひとり必ずありますよね。
大切なことは歩んできた道のりをしっかり振り返ること、その結果として自分の手の中に何があるかを正しく理解すること、そして今後どんな人生を歩みたいかを考えて行動へつなげていくことです。
すべてが今につながっているし、振り返ればたどってきた道がある。

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和
大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事
『ニューノーマル時代のLive Your Life』の過去記事一覧はこちら
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