石田ゆり子「20代は選択肢が多すぎてつらかった」50代の今“何も後悔がない”と言える人生を歩めたワケ
転職、結婚、出産……人生の分岐点が次々とやってくる28歳。どの道を選んでも、きっと少しは後悔が残る。それでも「私が選んだ」と言える人生のために。15周年を迎えたWoman typeが、識者の視点や、迷いながら自分の道を選んできた人たちの言葉を通して、“自分で決める”ためのヒントを届けます。
「自分ではない人生を生きてみたい」
亡き友人が生前に発したそんな言葉から、これまで実直に生きてきた大人たちが、「お互いのパートナーを交換する」という冒険に打って出る。
2026年10月31日よりWOWOWで配信される『連続ドラマW マイ・スイート・ホーム』は、他人の暮らしを借りることで、自分の人生を見つめ直す物語だ。
生き方の選択肢が広がる時代。「違う人生を選んでもよかったな」と思うことは、誰しもありそうだが、本作で主演を務める石田ゆり子さんは「自分の選択を後悔したことはない」と言い切る。
「20代は選択肢がありすぎて、一番つらかった」と語る石田さんだが、なぜ“後悔のない選択”を重ねてこられたのだろう。
石田ゆり子さん
1969年10月3日生まれ、東京都出身。88年、 NHKドラマ『海の群星』で俳優デビュー。以降、ドラマ・映画・舞台・執筆など多岐に わたり活動。近年の主な出演作品は、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系/21年)、『妻、小学生になる。』(TBS系/22年)、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK/24年)。映画『マチネの終わりに』(19年)、『望み』(20年)、『汝、星のごとく』(26年)。劇場版『虎に翼』2027年1月15日公開予定。26年10月31日よりWOWOWで放送・配信される 『連続ドラマW マイ・スイート・ホーム』 では主演を務める
「なあなあな生き方」を突破する思いつきは、美しい
作中で石田さんが演じた上原春花は、これまで大きく道を外れることなく、真面目に生きてきた女性。
夫と豊かで穏やかな生活を送ってきたが、友人の訃報をきっかけに、「このまま何もなく終わってしまうのだろうか」「もし違う人生だったらどうだっただろう」という思いが芽生え始める。
亡くなった友人の冬美が、生前口にしていた「一度でいいから、自分じゃない人になりたい」という願いを思い出した春花たちは、「お互いのパートナーを交換する2週間のお試し生活」という、天国の冬美が笑ってくれそうなバカな思いつきを行動に移します。
冷静に考えると「こんなバカな話はない」と思うんですけど、「バカバカしいことをやってみんなで笑い合って暮らしたい」「自分ではない人生を疑似体験したい」という気持ちは、私もなんとなく分かる気がしました。
大人になると、「もういい年齢だし……」「ここまできたら、築き上げてきたものを守らなきゃ」と、どうしても守りに入ってしまいがちだ。
そんな、何となくなあなあに日々を過ごしてしまう自分を打ち破るような春花の思いつきを石田さんは「美しい」と表現する。
人生って、いくつになっても始まりがあるんだなと感じていて。
春花たちのようにちょっと突拍子もない行動に出てみて、少し離れたところから自分の暮らしを眺めてみると、「今いる場所が一番幸せだったね」なんていうことに気付いたりするんですよね。
そういう一歩に繋がる思いつきって、とても美しいものだと思います。
隣の芝生は青く見えるもの。「もし違う道を選んでいたら」と考えてしまう瞬間は誰にでもあるだろう。
でも、一度自分の世界の外側を覗いてみることで 、自分がもともと持っている「幸せ」にきっと気付ける。本作には、そんなふうに自分の人生を肯定したくなる、素敵な仕掛けがある。
選択肢と可能性が溢れていたからこそ、つらかった20代
本作では、他の人の人生を疑似体験するという試みが描かれているが、石田さん自身は「他の誰かの人生を生きてみたい」と感じたことはないという。
私はずっと自分の判断を信じて生きてきたので、「他の誰かになりたい」と思ったことはなくて。やっぱり、自分自身の人生を生きたいじゃないですか。
仮に失敗したとしても「次に生かすための経験だ」と捉えるようにしています。だから変に引きずったり、後悔して立ち止まってしまったりすることなく、ここまで生きてきました。
これはもしかしたら、幸せなことなのかもしれないですね。
仕事に加えて結婚や出産などさまざまな選択肢がある女性の人生。
特に周りとの違いが広がり始める20代後半の頃は、石田さんも迷いながら進んできた時期だったという。
その頃は私にとっても一番悩みが多く、つらい時期でした。20代って、人生で初めて直面することばかりですよね。
結婚して人生があっという間に変化していく人もいるし、山あり谷ありの年齢っていうか。そんな中で、より良い人生を送るために大きな決断を迫られることも多い。
私自身、まだまだ中途半端で何もできないのに、いろんなお仕事をいただいて。選択肢や可能性がありすぎるからこそ、苦しかったなと思います。
29歳のときに個人事務所を設立している石田さん。そうした20代での大きな決断を経て50代になった今、自身の選択を「何も後悔していない」と言い切れるのはなぜなのか。その答えは非常にシンプルなものだった。
自分が決めたことを、やり切ってきたからじゃないでしょうか。
全力でやり切ることができれば、たとえ思ったような結果にならなかったとしても、後悔することはないと思っています。
一番もったいないのは、全力で人にぶつからないとか、自分が思っていることを言えないとか、思い切り行動できないことですよね。
だから今20代の方にも、せっかく自分で決断したことがあるのであれば、悔いなくやり切ってほしいなと思います。
悩み抜いて決めたことは、きっとどれも間違いじゃない。それなら、自分が決めたことに対して本気で取り組めば、その選択を「悔いのない選択」にしていけるはずだ。
自分の選択に責任を持てるなんて、自由で楽しくない?
自分の選択を信じてやり切ろうと思っても、周りの目や世間の声に惑わされてしまうこともある。石田さんが、自分の選択とまっすぐ向き合い続けられるようになった背景には、10代の頃まで打ち込んでいた水泳の経験がある。
子供の頃ずっと水泳をやっていて、9歳から17歳まで選手として泳いでばかりの日々を送っていました。
水の中でひたすら自分と向き合う中で、自分が自分の意思でどれだけ頑張れるのか、頑張るとどのくらい自信を付けられるのかを、知ることができたんです。
子どもの頃から自分自身と向き合ってきたので、誰かと自分を比べて落ち込んだり、くよくよしたりすることがあまりなくて。人からどう見られるかも、そんなに気になりません。
もちろん悩みはたくさんありますけれど、最後は「やるしかないよね」って思っています。
全ての経験は「成功するか」「失敗するか」だけが答えじゃないし、今やりたいことや進みたい道があるけれど迷っている人がいるなら、まずはやってみるといいんじゃないかな。
頑張り切れば、自信が付く。それを体感してきたからこそ、石田さんは自分の選んだ道を信じて進めるのだ。
自分で決めてやったことなら、どんな結果になっても全部自分の責任ですよね。そう思うと、楽しくないですか?
自分の責任ということは、自由ってことだから。
子どもが不自由なのは責任を取れないからですよね。だから親の言うことを聞かなきゃいけない。でも、大人は自分の意思で動く自由がある分、責任もある。
それってすごく楽しいことなのに、世間の正解に合わせて「こうしなきゃ」って考えちゃうのは、すごくもったいないなって思います。
自分の選択に責任を持ち、思い切りやり切る。うまくいかなかったら、その経験を糧にまた次の道でやり切ればいい。
自分の意思で人生を選べる自由を、思い切り楽しむこと。それこそが、後悔のない人生を歩んでいくための近道なのかもしれない。
取材・文/根津香菜子 撮影/笹井タカマサ ヘアメイク/岡野瑞恵
作品情報
連続ドラマW マイ・スイート・ホーム
10月31日(土)よりWOWOWにて放送・配信スタート(全6話/第1話無料放送)
毎週土曜 午後10:00〜
『春夏秋冬』は、学生時代からいつもずっと一緒だった。 ある日突然もたらされた、冬美の訃報。3人は冬美に想いを馳せながら、レールを外れることなく真面目に生きてきた、そろそろ還暦を迎える自分たちのこれまでや、これからどうありたいかを再確認していく。「一度でいいから自分じゃない人になりたい」。生前、冬美が言っていた願いを思い出す3人。そうして、天国の冬美が笑ってくれそうなバカな思いつきを、みんなでやってみることにした。それはお互いのパートナーをシャッフルする、二週間の“お試し生活”だった。
出演:石田ゆり子 仲村トオル 中嶋朋子 三宅健
中田青渚 中井友望 片田陽依 石塚瑚子 白本彩奈 / 松金よね子 丘みつ子
富田靖子 武田真治 / 坂井真紀 椎名桔平
脚本:岡田惠和
監督:萩原健太郎
音楽:山田勝也 橋本和昌
主題歌:竹内まりや「あなたでなければ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
プロデューサー:植田春菜 平部隆明
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:WOWOW
番組特設サイト: https://www.wowow.co.jp/drama/original/my-sweet-home/
『Woman type15周年特集 28歳からの人生の決め方』の過去記事一覧はこちら
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