TBSラジオ&コミュニケーションズ 白井京子さん/用意された原稿なんてない。 現場へ行って、取材して、原稿を書いて、伝える。 全部、私の仕事です 【連載:ワーキングビューティー・アルバム Vol.2】

突撃! 隣のステキ女子
ワーキングビューティ・アルバム

仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。

TBSラジオ&コミュニケーションズ 白井京子さん/用意された原稿なんてない。 現場へ行って、取材して、原稿を書いて、伝える。 全部、私の仕事です 【連載:ワーキングビューティー・アルバム Vol.2】

TBSラジオ954の情報キャスターとして活躍する白井京子さん。キャスターと言えば、パリっとしたスーツを着てニュースを読み上げ、旬な芸能人やスポーツ選手と会える憧れの仕事というイメージが強いが、白井さんによると、ちょっと事情が違うようだ。

“伝える仕事”がしたくてラジオのキャスターへ。
リスナーの声が元気のみなもと!

たしかに普段会えない有名人やスポーツ選手に会える仕事ではありますが、ラジオのキャスターという仕事はとってもシビア。中継車を運転して現場まで出かけていって、重い中継道具が入ったキャリーをガラガラ引いて、配線して、スタジオと電波をつなげて、という準備をすべて自分ひとりでこなすことも。その後、取材して、原稿書いて、マイク持ってしゃべるんです。もちろん撤収作業もひとり。もう何でも屋さんですね(笑)。週2日くらいは朝4時起きとスケジュールも不規則ですし、毎日違う現場なので新鮮ですが気が抜けませんね。

編集部:かなりハードなお仕事なんですね。
それでも、白井さんの表情からはすごく充実感が感じられますが。

やっぱりこの仕事が好きなんでしょうね。ラジオってリスナーの方との距離がとても近いんです。厳しいご意見もたくさんいただきますが、「今日も声が聞けて元気が出た」とか「いつも適切な情報を届けてくれてありがとう」とか言われるとホント救われます。
落ち込んでいる時も、それを隠して話しているつもりが、昔から応援してくださっているリスナーの方には伝わってしまうこともあるようで、「大丈夫ですか?」とか「そんなに張り切らなくてもいいよ、いつでも聞いてるよ!」という励ましの言葉をかけてくださる方もいて。ありがたくて涙が出そうになりますね。

編集部:震災の影響もあり、ラジオの重要性も再認識されているように思いますが。

たしかにそうですね。私も3月11日の震災の時はお台場にいたのですが、交通機関が麻痺して陸の孤島と化していたんです。その状況を逐一取材して、今バス停にはこれだけの人が並んでいるとか、レインボーブリッジはいつ頃封鎖される見通しだとか、どこの道を経由すればお台場を出られる、などをリポートし続けました。大変な仕事ですが、意義のある仕事をさせてもらってるな、という実感はありますね。

編集部:新卒でラジオのキャスターになったのですか?

はい。何かを伝える仕事、会いたい人に会って話を聞ける仕事がしたくてアナウンサーを志したのですが、キー局の試験はあえなく全滅。そんな時、偶然新聞で954情報キャスターの求人広告を見つけたんです。テレビではないですが、“伝える仕事”という意味ではラジオも同じ。思い切って挑戦してみたら運よく受かったんです。最初は夢の扉が開いた!と心が躍りましたが、待っていたのは厳しい現実でした(笑)

実力だけで仕事がもらえるわけではない。
若いアイドルに、突然担当を取って代わられることも

TBSラジオ&コミュニケーションズ 白井京子さん/用意された原稿なんてない。 現場へ行って、取材して、原稿を書いて、伝える。 全部、私の仕事です 【連載:ワーキングビューティー・アルバム Vol.2】

編集部:やはりアナウンサーの世界も、熾烈なポジション争いなどあるのでしょうか?
また、今まで仕事で大きな挫折感を味わったことはありますか?

ポジション争いはもちろんありますよ。若くてかわいいアナウンサーはどんどん出てきますし、34歳の私でかなりのおつぼねです。
たとえ仕事の質が評価されたとしても、同じ番組にまた呼んでもらえるとは限らないのがこの仕事。次のチャンスをどう掴むかが大事。だまっていて次の仕事が来るわけではないので。
数年前に半年限定のスポーツ番組を担当したことがあったんですが、半年後、再びその番組がスタートした時には、他の子が担当していて…。自分のパフォーマンスに問題があったのか。実力不足だったのかな。と再びチャンスをもらえなかった自分を責め、悶々とする日々が続いて、3~4㎏痩せました(笑)

編集部:そんな苦労も終始笑顔で語り、スケジュールもびっちりの白井さん。
求められるキャスターであり続けるコツって何でしょうか?

小さな仕事、やり慣れた仕事でも絶対手を抜かない、ということでしょうか。「こんなもんでいいや」と思った瞬間にミスをして足元をすくわれます。プロ意識を持ってクオリティの高い仕事を目指しつつも、おごらず、謙虚に。素直に「ごめんなさい」を言える人でありたいですね。

20代の頃は嫉妬ばかりして、一度手に入れた仕事を手放すのは怖くてできなかったんです。でも30代になり、自分がチャンスがなくて悔しい思いをした分、やる気のある後輩にはチャンスをあげたいと思えるようになりました。自分はまた次を目指せばいいと、少しずつですが長年担当した番組やコーナーをバトンタッチしていければと。こうした仕事上での“断捨離”みたいなことが、いい運を引き寄せることにつながっているかもしれません。

ひとり野球観戦と、連ドラの一気見で気分転換!
がっつり反省したら、思い切ってあとは人のせいにすることも(笑)

編集部:ストレスもかなりたまりそうですが、どうやって解消していますか?

ひとつは野球観戦ですね。日本の野球も海外の野球も観ますよ。スタジアムにも出かけていきますが、集中して観たいのでもっぱらひとりです。熱狂的に応援するのではなく、腕組みをして黙って観るタイプ(笑)監督の采配とか、ピッチャーの配球とか、バッターの打ち方とかに、「なるほどねぇ」と感心してみたり、「あれは何故なんだろう…」と考えてみたり。奥深くて楽しいですよ!

ほかには、ドラマと映画を見まくって現実逃避(笑)。とくに落ち込んだ時は、大好きな「ロングバケーション」と「やまとなでしこ」を1話から全部見ます。ハッピーエンドでスカッとするんですよね。
好きな映画は「リアリティ・バイツ」。「ココ・シャネル」もぜひ観たいと思っています。どちらも働く女性が主人公の映画ですが、少し自分と重ね合わせている部分もあるのでしょうか。夢を追って、挫折して、それでも頑張って、みたいな女性を観るのが好きなんです。

あと、ある方から言われて心に残っているのは「人のせいにしちゃいな」という一言。たしかにな、と思いました。なので、ひとしきり落ち込んで反省したら、責任転嫁。これもひとつのストレス解消法だと思います(笑)

編集部:最後に、今後の目標を聞かせてください。

フリーのキャスターになって、結婚も子育ても仕事も、全部するのが理想ですね。私の今の雇用形態は完全歩合性なので、産休も育休もありません。なので、結婚・出産後も仕事を続けるというのは現実的にはとても難しいことなのですが、好きな仕事なのであきらめたくありません!

この年になると、「まだ仕事続けるの?」とか、「そろそろ結婚したら?」とか色々言われがちですが、そんな雑音に負けずにいたい(笑)いつまでも胸を張って、やりたい仕事をしたいですもん!


前向きでエネルギッシュに見える白井さんだが、本人いわく「本当はとてもネガティブ」なのだそう。だからこそ、自身のブログを「前向きでいこ~♪」というタイトルにしているのだとか。
荒波にもまれたキャスターだけあって、場の空気を読んでふっとその場に溶け込む速さや、相手に警戒心を与えない、ハキハキしつつも柔らかな話し方はお見事。普段は聞き流すだけのラジオだが、彼女が担当する中継レポートや交通情報であれば、今度はぜひじっくり耳を傾けてみたい。

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キラキラのストップウォッチとケータイラジオは必需品。何分話したか、今どんなラジオ番組が流れているかは逐一チェック。

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仕事運UPのターコイズブレスレットとご祖父様の形見の時計がお守り。お気に入りのネイルで気分を上げる。

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のど飴、のどスプレーは常備。のどのケアはこまめに。

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いつでも電波が入るようにケータイは2台持ち。ユナイテッドアローズで一目ぼれしたサルと、一緒に番組をしていた横浜ベイスターズの三浦大輔選手からもらったストラップを付けて。

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オフィシャルブログ「前向きでいこ~♪」

取材・文/柳 梨恵(編集部)  撮影/高木美佳