「有給は権利と分かってるけど…」繁忙期に休むことに後ろめたさを感じてしまう時の処方箋【十束おとは】
働く女性が抱える仕事やキャリアにおけるメンタルヘルスのお悩みに、キャリア×メンタルヘルスの専門家、十束おとはさんが回答!心身ともにヘルシーに働き続けるためのヒントをお届けします。
もうすぐお盆休み。多くの人が休暇を楽しむ一方で、この時期に忙しさのピークを迎える仕事もあります。
そんな時期に有給休暇を取ることができたとしても、「同僚に申し訳ない」「今ごろ職場は大変なんだろうな」と罪悪感を抱いてしまう人もいるのではないでしょうか。
「有給休暇は労働者の権利」「休むことは大切」。そう頭では分かっていても、罪悪感から心が休まらず、リフレッシュできないまま休暇が終わってしまう……。
今回、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家・十束おとはさんに寄せられたのは、繁忙期に有給休暇を取得することへの罪悪感に悩む女性からの相談。
忙しい時期に休むことへの後ろめたさとどう向き合えばいいのか。気持ちよく休み、また前向きな気持ちで仕事に戻るためのヒントを、十束さんに教えてもらいました。
十束 おとは(とつか・おとは)さん
アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。年間の面談数は1000件超。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■X/Instagram
お悩み:権利だとは分かってるけど…忙しい時期に有給を取ることに罪悪感
私は接客業で働いており、お盆は一年でも特に忙しい時期です。
今年はたまたま有給休暇を取ることができたのですが、同僚が忙しく働いていると思うと、「自分だけ休んで申し訳ない」という気持ちになってしまいます。
休み中も職場のことが気になり、「今ごろ大変なんだろうな」「迷惑をかけてしまっているかもしれない」と考えてしまい、心からリフレッシュすることができません。
罪悪感を抱かずにしっかり休むためには、どうしたらいいのでしょうか。
ご相談いただき、ありがとうございます。
繁忙期に有給休暇を取得すると「今ごろ職場は……」といろいろ想像してしまい、休んでいても仕事のことが気になり、心からリフレッシュできない。
そんな経験は、みなさん一度はあるのではないでしょうか。
こうした気持ちは、「休む=迷惑をかける」と考えてしまうことから生まれます。
私たちは、出来事そのものではなく、それをどう受け止めるかによって、感じ方が大きく変わります。これは認知行動療法でも大切にされている考え方の一つです。
例えば、有給休暇を取得したことを「周囲に迷惑をかけてしまった」と考えると、申し訳なさや罪悪感が生まれます。
しかし、休暇は心と体を休め、また元気に働くための大切な時間でもあります。そう捉え直してみると、同じ出来事でも感じ方は少し変わってくるかもしれません。
もちろん、周囲への配慮は大切です。ただ、繁忙期の忙しさは、一人が有給休暇を取得したことだけで決まるものではありません。業務量や人員配置など、さまざまな要因が重なって生まれています。
それにもかかわらず、「自分が休んだから大変になった」と考えてしまうと、本来は自分だけの責任ではないことまで抱え込んでしまうことに繋がります。
以前の記事で、「事実と解釈を分ける」という話をしたことがありますが、この感情の整理方法は、今回のケースでも有効です。
「繁忙期に休んだ」ことは事実ですが、「皆に迷惑を掛けている」と感じるのは解釈です。
もしかしたら、忙しい時期に休みたいと言い出せなかった人たちが「休みやすい風土をつくってくれてありがたい」と感じているかもしれませんよね。
まずは、「申し訳ない」と感じている自分の気持ちを受け止めてみましょう。そして、「本当に周りは迷惑だと思っているのだろうか」と、一度立ち止まって考えてみることが、心を整理するための第一歩となるはずです。
自分にも「休んでいい」と許可を出そう
有給休暇は、誰もが利用できる制度です。休みに入る前に引き継ぎを済ませ、準備をしてきたのであれば、休むと決めた日はしっかり休む。そして、休み明けにはまた気持ちを切り替えて仕事に向き合う。そのくらいの気持ちでいることも大切です。
また、日頃から「困ったときはお互いさま」という関係を少しずつ築いておくことも、安心して休める職場づくりにつながります。
忙しいときには自分も誰かをサポートし、助けてもらったときには「ありがとう」を伝える。そうした積み重ねが、お互いに気持ちよく休める環境につながっていくはずです。
もし休みをもらったことが気になっているのであれば、休み明けに「ありがとうございました」と感謝を伝えたり、お菓子を差し入れたりすることも一つの方法です。
ただし、それは「休んでしまって申し訳ありません」という謝罪ではなく、「支えてくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えるためのコミュニケーションです。
そしてもう一つ、大切にしていただきたいのが、自分にも思いやりを向けることです。
もし同僚が休暇を取ることになったら、たとえ繁忙期であっても「ゆっくり休んできてね」と声を掛けられる方がほとんどではないでしょうか。
であれば、その言葉を自分自身にも掛けてあげてください。「しっかり準備をしたのだから、安心して休んでいい」と。
これはセルフコンパッションと呼ばれ、長く働き続けていく上で大切な考え方とされています。
そんなふうに、自分にも他人と同じ優しさを向けられるようになると、罪悪感は少しずつ和らいでいきます。
頑張る日があるように、しっかり休む日も大切です。
休むことは、これから先も元気に働き続けるために必要な時間。必要な準備をしたのであれば安心して休み、休み明けにはまた仕事を頑張る。そのくらいの気持ちで、有給休暇と付き合ってみてはいかがでしょうか。
少しでも気持ちが軽くなれば嬉しいです。応援しています。
『十束おとはの「キャリア×メンタルヘルス相談室」』の過去記事一覧はこちら
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