川栄李奈「人生選択で間違えたことは一度もない」後悔の多かった20代を経て気付いたこと
転職、結婚、出産……人生の分岐点が次々とやってくる28歳。どの道を選んでも、きっと少しは後悔が残る。それでも「私が選んだ」と言える人生のために。15周年を迎えたWoman typeが、識者の視点や、迷いながら自分の道を選んできた人たちの言葉を通して、“自分で決める”ためのヒントを届けます。
「私は本当に、人生の選択を間違えたことが一度もないんです」
そう言い切るのは、俳優の川栄李奈さん。2015年にAKB48を卒業し、ドラマに映画、舞台と活躍の場を広げてきた。現在公開中の映画『RYUJI 竜二』では、柳楽優弥さん演じる竜二の妻・まり子を演じる。
ただ、その言葉の裏には、仕事を断れずにすり減った20代がある。人に決めてもらい、「本当は違うことをやりたかった」と後悔した経験もあった。
そんな川栄さんが、31歳になった今、自分の選択を肯定できるのはなぜなのか。
「間違えたことが一度もない」と言える理由を尋ねると、決断に身構える気持ちが少しほどける、意外な答えが返ってきた。
川栄李奈さん
1995年2月12日生まれ。神奈川県出身。2010年にAKB48第11期研究生オーディションに合格し、2015年に卒業。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインを務めるなど、ドラマ、映画、舞台で活躍している マネージャー公式X Instagram
柳楽優弥さんの作品なら出ると決めていた
映画『RYUJI 竜二』は、1983年公開の名作を、43年の時を経て新たな物語として描いた作品だ。舞台は、84年から90年にかけての新宿・歌舞伎町。腕っぷしが強く、舎弟たちから慕われるヤクザの竜二(柳楽優弥さん)。愛する人と出会い、息子を授かったことを機に、裏社会から足を洗う決意をする。
私はどの時代でも、「女性が一番強い」と思っているんです。男女で括ること自体、今の時代には合わないのかもしれませんが、まり子を通して、女性のたくましさを見せたいと思いました。
一方で、完成した映画を観て、竜二の気持ちにも共感したという。
裏社会の世界を覗いて、一般社会とは感情の始末のつけ方が違うんだなと感じました。でも私自身も、普段から男性っぽいと言われることが多くて。考え方もそうですが、義理と人情は絶対に忘れたくないので、竜二の気持ちが分かる気がしました。
川栄さんが今、仕事を選ぶ時に確かめるのは、「この役をやりたいか」「この人と一緒にお芝居をしたいか」という自分の気持ちだという。最新出演作『RYUJI 竜二』の出演の決め手を尋ねると、返ってきたのは柳楽さんの名前だった。
私、柳楽優弥さんの出演作品なら絶対に出ると決めているんです。『RYUJI 竜二』も柳楽さんが主演と聞いて、「やります」と即答しました。
今回で4回目の共演になるのですが、どんな役でもお芝居に惹かれるものがあって。同じ作品に参加させていただくだけで、勉強になるんです。
「人情か。愛か。」というコピーを掲げる本作。簡単には答えの出ない問いを前に、登場人物たちは守りたいものを選び取っていく。川栄さんが見どころに挙げたのは、彼らの生き方だ。
それぞれが愛情を持って自分の人生を生きていて、仲間を守るために、さまざまな決断をしています。今の時代にも通じる姿だと思うので、楽しみに見ていただけたらと思います。
うまくいかなければ、違う道へ行けばいい
川栄さん自身も、仕事や人生の岐路で選択を重ねてきた。ただ、自分で決めたからといって、すべてが思い描いた通りに進むとは限らない。
「選んだ道を正解にする」ために、どんな気持ちで仕事に向き合っているのか。尋ねると、返ってきた答えは軽やかだった。
失敗することも、成功のうちだと思っているんです。その経験が次につながると思いますし。
そもそも選んだ道がうまくいかなくても、それで人生終わりになるわけじゃないですよね。私は「失敗したら、別の仕事をすればいいか」くらいに、ちょっと達観しているというか。
「でも、30代になってからの失敗は恥ずかしくないですか」。投げかけた瞬間、川栄さんはきょとんとした顔になった。
え、全く恥ずかしくないですよ! 失敗は、あればあるほど私は嬉しいです。悩むことはありますけど、性格的に切り替えが早いんです。終わったら終わり、過去は過去で、とにかく前に進みたい。
信頼する人に相談することもありますが、いつも「もう決まってるよね」と言われます。自分の中で答えが出ているんでしょうね。結局は自分で決めるので、家族にも事後報告です(笑)
「断れない」20代から「自分で選ぶ」30代へ
30代に入ってから「仕事を自分で選ぶようになった」という川栄さん。きっかけは、仕事を長く続けていくために、それまでの引き受け方を変える必要を感じたことだった。
20代の頃は、頑張りすぎていたんです。性格的に断れなくて、来たお仕事はスケジュールを縫ってでも引き受けるのが当たり前でした。
でも、自分がすり減ってしまうというか、プライベートの時間も取れなくなって。この仕事を長く続けるなら、自分で選んで決断しないと続かないなと思いました。
忙しさに加えて、仕事の決め方にも悔いが残ることがあった。
「これをやってください」と言われたまま動いたり、悩んだ末に人に決めてもらったりしたことがありました。
うまくいかなかった時に、「本当はこっちをやりたかったのに」「やりたかったけど、言えなかったな」という後悔があって。
悔いの正体は、結果の良し悪しではない。自分の意思で選べなかったことだった。主語を自分に戻した川栄さんの言葉には、静かな覚悟が宿っている。
自分で決めた道なら、正解にするしかありません。誰かのせいにはできないし、結果はすべて自分に返ってくる。
それで人生が決まっていくと思うと、より自分に喝を入れるようになるというか。今は、本当に自分がやりたいことをやるようにしています。
けれど、20代の頑張りを否定しているわけではない。
20代で頑張ったからこそ、今は選ばせていただけるようになれました。がむしゃらでも進んで良かったと、心から思っています。
自分で決めると、毎日が楽しい
過去の選択を振り返っても、自分の判断は正しかったと話す。2015年、20歳でAKB48を卒業し、俳優の道へ進んだ時には、周囲から「まだ20歳なのに」と言われることもあったという。
周りから見れば、早い決断だったと思います。でも、あの頃は役者をやりたい気持ちがはっきりしていたし、AKB48で掲げていた「選抜メンバーに入る」という夢も叶えられたので、次へ進もうと決めました。あの時の判断も、間違っていなかったと思っています。
周囲には早く見えた卒業も、川栄さんにとっては、やりたかった芝居へ進むための選択だった。他人からどう見えるかと、自分がその決断をどう受け止めているかは、必ずしも一致しない。
自分で決めたことで、間違っていたなと思うことは一度もないんです。
はたから見れば、「その選択、本当に正しい?」と思われることもあるかもしれません。でも本当のところなんて、自分にしか分からない。私は自分で人生を選択しているからこそ、毎日がすごく楽しいんですよ。
仕事、結婚、出産。20代で人生の大きな選択を前にすると、「後悔したくない」と慎重になることもあるだろう。後悔しない「正解」を探して足が止まってしまう読者へ、川栄さんはこう語りかける。
正解って、誰がどう決めて正解になるんでしょう。結局は、自分の気持ちの問題なんじゃないかなと思います。
しんどいことや悩むことがあっても、生きていかなきゃいけません。同じ“生きる”なら、楽しく過ごしてほしいですね。あまり、思い詰めすぎずに。
後悔したくないと考えるほど、「失敗しないこと」が一番の目的になってしまう。けれど、本当に望んでいたのは、間違いのない人生だっただろうか。
川栄さんの「同じ“生きる”なら、楽しく過ごす」という言葉が、その手前にあったはずの楽しみや願いを思い出させてくれる。
取材・文/川上良樹 撮影/笹井タカマサ
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当選連絡は商品の発送をもって代えさせていただきます。
映画『RYUJI 竜二』2026年10月30日(金)より全国公開中
1983年公開の映画『竜二』を、柳楽優弥主演、水田伸生監督で新たに描く。
舞台は1984年から1990年にかけての新宿・歌舞伎町。ヤクザの竜二は、まり子との間に息子が生まれたことをきっかけに、裏社会を離れる。酒屋の配達員として働き、家族との穏やかな生活を始めるが、かつての兄弟分や舎弟たちが再び現れ……。妻子との暮らしと、仲間への思いの間で揺れる竜二は、何を選ぶのか。
出演:柳楽優弥、川栄李奈、萩原利久、JUNON(BE:FIRST)、田中美里、RYUKI(MAZZEL)、千原ジュニア、三宅健、伊藤英明
監督:水田伸生
主題歌:BE:FIRST「It’s not a bad life」
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト
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