転職か、結婚・出産か。「あっちを選べばよかった」の恐怖を和らげる2ステップ【十束おとは】

転職か、結婚・出産か。「あっちを選べばよかった」の恐怖を和らげる2ステップ【十束おとは】

Woman type15周年特集
「後悔しない選択」なんてない。28歳からの人生の決め方

転職、結婚、出産……人生の分岐点が次々とやってくる28歳。どの道を選んでも、きっと少しは後悔が残る。それでも「私が選んだ」と言える人生のために。15周年を迎えたWoman typeが、識者の視点や、迷いながら自分の道を選んできた人たちの言葉を通して、“自分で決める”ためのヒントを届けます。

「ずっとやってみたかった仕事に挑戦するなら、30歳までに……」
「でも、転職してすぐに産休・育休を取るのも気が引ける……」

転職もライフイベントもタイムリミットを感じるからこそ、まだ起きていない“未来の後悔”まで怖くなってしまう。

今回、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家・十束おとはさんに寄せられたのは、転職と結婚・出産のタイミングに悩む28歳女性からの相談。

どちらを選んでも後悔しそうな時、何を手掛かりに決断すればいいのでしょうか。

後悔への恐怖が生まれる心理的なメカニズムと、不安に振り回されず、自分で納得して決断するためのステップを十束さんに教えてもらいました。

十束 おとはさん

十束 おとは(とつか・おとは)さん

アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。年間の面談数は1000件超。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■X/Instagram

お悩み:転職か、結婚・出産か…どっちを選んでも後悔しそうで怖い

28歳/事務職/転職経験なし

今の会社は安定していますが、以前からやってみたい仕事があり、転職したい気持ちもあります。

一方で、今、結婚を考えているパートナーがいて、いずれは子どもも持ちたいと考えています。

ただ、転職してすぐに産休・育休を取るのは気が引けるし、かといって転職前に出産すると、未経験の仕事に就けるハードルがさらに高くなりそうで……。

どちらを選んでも後悔しそうで、なかなか決断できません。

どうすれば、後悔への恐怖を乗り越えて、自分で決断できるようになるのでしょうか。

ご相談いただき、ありがとうございます。

今の会社は安定しているけれど、以前からやってみたい仕事があり、転職にも挑戦したい。

一方で、大切なパートナーとの結婚や、将来は子どもを持ちたいという願いもある。

どちらも大切な未来だからこそ、簡単には決められないですよね。

特に、転職や結婚、出産など、これからの人生に関わることをどのような順番で考えていけばいいのか分からず、慎重になるのも自然なことだと思います。

実際、周りの友人の転職や結婚の報告を聞いて、「私はこのままでいいのかな」と立ち止まった経験がある方も、多いのではないでしょうか。こうした20代後半から30代前半にかけての迷いは、「クォーターライフクライシス」と呼ばれることもあります。

クォーターライフクライシスとは…
人生の4分の1が過ぎる20代後半から30代前半にかけて、将来への不安や生き方への迷いを感じる心理的な危機のこと

私も、「この先、どう生きていくのだろう」とふと思ったことがありました。

思えば、同じように育ってきた友人たちが、枝分かれするようにそれぞれの人生を色濃く歩み始めた時期だったからかもしれません。

きっと30年後くらいには、その枝はまたどこかで合流するのですよね。

ここで知っておきたいのが、「損失回避」という心の働きです。人は、何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みを強く感じやすいと言われています。

転職を選べば、以前からやってみたかった仕事に挑戦できる一方で、今の安定した環境を手放すことになる。出産を先に考えれば、未経験の仕事に挑戦する機会を逃してしまうかもしれない。

どちらの道にも「失うかもしれないもの」が見えると、なかなか決断できなくなるのです。

悩んでいる女性の写真

さらに、人はまだ起きていない後悔を、先回りして感じてしまうことがあります。これは「予期的後悔」と呼ばれるものです。

「もし失敗したら、きっと後悔する」。そんな思いが強くなるほど、決断を先延ばしにしたくなることもあるでしょう。

けれど、未来がどうなるかは、誰にも分かりません。選ばなかった方の人生が、幸せだったとも限らないのです。

では、そんな後悔への恐怖と、どう向き合っていけばいいのでしょうか。ここからは、自分で決断するための2つのステップを紹介します。

「後悔への恐怖」を和らげる2ステップ

【STEP1】「そうなるかもしれない」を「そうなる」と決めつけない

まずは、今感じている不安を紙に書き出してみましょう。頭の中だけで考えていると、不安はどんどん大きくなりますが、書くことで少し距離を置いて眺められるようになります。

書き出したら、一つずつ「これは、もう決まっている未来なのかな?」と問いかけてみてください。

たとえば、「転職してすぐに産休・育休を取るのは気が引ける」という不安。

新しい職場で周囲に迷惑をかけてしまうのではないか、せっかく採用してもらったのに申し訳ない。そんな気持ちがあるのかもしれません。

でも、実際にどんな反応をされるかは、入社してみなければ分からないこと。子育てしながら働く人が多い職場なら、「お互いさま」と受け止めてもらえることもあるでしょう。

それでも不安なら、産休・育休の取得条件や、子育てと仕事を両立するための制度など、事前に確認できることもありますし、「いずれは子どもも考えているけれど、ライフステージが変わっても仕事を頑張っていきたい」と面接の場で相談してみるのも一つの手。自分では思いつかない解決策が出てくる可能性もあります。

面接を受ける女性の写真

また、「出産後は未経験の仕事に挑戦するのが難しそう」という不安も同様です。職種やこれまでの経験、そのときの転職市場によって、可能性は変わってきます。

もちろん、仕事と出産の両立には、実際に難しさが伴うこともあります。ただ、まだ起きていないことを「きっとこうなる」と決めつけてしまうと、本来は残されているはずの選択肢まで閉ざしてしまうことも。

「調べたり確認したりすれば分かること」と「まだ誰にも分からないこと」に分けるだけで、不安の正体が少し見えてくるはずです。

【STEP2】「完璧な選択」を探すより、「今できる一歩」を決める

不安を整理できたら、次は具体的な行動を考えてみましょう。

転職と結婚・出産のタイミングについても、最初から一つの順番に決める必要はありません。

たとえば、今の会社で働きながら転職先の情報を集め、仕事と子育てを両立しやすい職場を探してみる。

以前からやってみたかった仕事について、未経験から挑戦するために今できることを調べてみる。その仕事で子育てと両立している人の働き方を知ることも、きっと参考になるはずです。

また、パートナーと将来の働き方や子育てについて話し合ってみるのもいいでしょう。

こうして実際に動いてみることで、頭の中で考えているだけでは見えなかった選択肢や、自分の気持ちに気づくきっかけにもなります。

もちろん、妊娠や出産のタイミングは、必ずしも計画どおりになるとは限りません。だからこそ、「こうなったら、こうする」という選択肢をいくつか持っておくことも大切です。

今すぐに結論を出す必要はありません。ただ、ある程度情報が集まったら、「いつまでに決めるか」という目安を設けてみるのもおすすめです。

赤ちゃんの足の写真

不安が消えるのを待ち続けるより、自分で決めるための区切りをつくってみましょう。

大きな決断を一度にしようとせず、今できることから少しずつ。そうして自分で考え、行動した経験が、次の選択をするための自信につながっていくはずです。

後悔しても、間違いだったとは限らない

どんな道を選んだとしても、思い通りにいかないことや、「あちらを選んでいたら」と感じる瞬間はあるでしょう。人生ってそういうものです。

でも、後悔したからといって、その選択が間違いだったとは限りません。

どの道を選ぶかも大切ですが、選んだ道を、その後どんなふうに歩んでいくかも、同じくらい大切なのだと思います。

だからこそ、未来の自分が絶対に後悔しないことを目指すよりも、「あのときの私は、自分なりに考えて選んだ」と思えることを大切にしてほしいです。

迷いや不安がすべて消えるのを待つ必要はありません。自分なりに考え、できることを重ねてきたのなら、少し勇気を出して一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

相談者さんのこれからを、心から応援しています。

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